米国時間の2020年9月4日に、S&P Dow Jones Indicesのプレスリリースで九月のS&P500入替銘柄が発表されました。(注:リンク先をクリックするとPDFがダウンロードされます。)
新たに含まれるのは三銘柄。しかしその中にはテスラは含まれていません。
7月22日に発表されたテスラの決算では条件は整っていましたが、S&P Dow Jones Indicesの選考委員会はテスラを選びませんでした。
さて、今回はどの銘柄が選ばれて、除外された会社はどこでしょうか。
「テスラが選ばれなかった」
S&P500の銘柄入替のプレスリリースは米国の恐らく東部時間の9月4日午後です。
そのため、YouTubeでは本件に関する動画はまだ多くありませんが、動画に対するコメントで反応を見ることができます。またredditのスレッドでも会話があり、様子がうかがえます。
これらコメントをざっと見ると、S&P500はおかしい、ウォール街はテクノロジーに理解がない、古臭い、アメリカの新しい芽をつぶす事態だ、といったようなことが書かれています。
コメントを書いている人の中には、オプション取引をしている人もいる様子で「どうしてくれるんだ!?」といった内容もあります。
一方で、テスラはRegulatory creditがないと利益が出せていないので、現時点でS&P500に含まれるのは時期尚早なのでは、と冷静な人もいます。実際に、この収入は第2四半期で4億2800万ドルあり、業績に大きく寄与しています。
加えて、先週話題になった50億ドル相当のテスラ株の増資による希薄化についても憶測が飛びましたが、関連性は分かりません。
九月の銘柄入替ではテスラの採用はありませんでしたが、十二月の銘柄入替について、テスラ採用が先んじてS&P Dow Jones Indicesから11月16日にプレスリリースされました。従来と異なり、プレスリリースが独立していて、テスラと言う会社の話題性や特徴を実感します。
2020年9月の入替銘柄
今回の入替でS&P500に含まれた銘柄と除外された銘柄は次の通りです。
- 含まれた銘柄
- Etsy Inc.(ETSY):クラフト(手作り品)のオンライン取引
- Teradyne Inc.(TER):半導体製造装置
- Catalent Inc.(CTLT):医薬関連の技術、製造
- 除外された銘柄
- H&R Block Inc. (HRB):税務申告代理サービス
- Coty Inc.(COTY):化粧品
- Kohl’s Corp.(KSS):デパートチェーン
この入替の特徴は、S&P MidCap 400の銘柄からEstyなどの三銘柄をS&P500に移し替え、除外の三銘柄をS&P MidCap 400に入れた、というものです。
9月4日時点の時価総額を並べると、銘柄の入替が行われたのも理に適っていると思ってしまいます。
- 含まれた銘柄
- Etsy Inc.(ETSY):152億ドル
- Teradyne Inc.(TER):131億ドル
- Catalent Inc.(CTLT):143億ドル
- 除外された銘柄
- H&R Block Inc. (HRB):29億ドル
- Coty Inc.(COTY):30億ドル
- Kohl’s Corp.(KSS):34億ドル
現在のテスラの時価総額は3,897億ドルですが、時価総額が小さい時は利益も出ていなかったため、「S&Pなんとか」の銘柄に選ばれることはありませんでした。そのため、出世してS&P500銘柄になるというルートがない今、どうすればよいのかは分かりません。
しかも、テスラはまだ積極的に投資している段階なので、安定的に利益を出し続けることは難しいかもしれません。であれば、大きな期待はしていましたが、拙速にS&P500銘柄になることを切望する必要はないと考え直します。
S&P500でなくても、キャシー・ウッドはテスラを選ぶ
ARK INVESTという会社が運用しているアクティブETFという分野の商品があります。
創業者であり、現在はCEOとCIOを務めるキャシー・ウッドがARK INVESTで運用しているETFは、未来を大きく切り開く会社に投資することを基本方針とし、将来社会を変える可能性のある銘柄を組み込んでいます。
ETFもテーマ別に分かれ、イノベーション全般、自動運転・ロボティクス、次世代通信、ゲノム革命、フィンテックといったものがあります。
そして、ARK Innovation ETF(ARKK)、ARK Autonomous Technology & Robotics ETF(ARKQ)、ARK Next Generation Internet ETF(ARW)の各ETFではテスラ株が最も高い割合となっています。
具体的な保有数と割合は以下の通りです。2020年9月4日時点の情報で括弧のパーセントは構成割合です。
- ARK Innovation ETF(ARKK):1,880,510株(9.89%)
- ARK Autonomous Technology & Robotics ETF(ARKQ):135,357株(9.50%)
- ARK Next Generation Internet ETF(ARKW):527,204株(9.53%)
テスラを含め、未来を変える可能性のある事業をしている会社に投資をしている人はキャシー・ウッドの動きを見ていて、いま注目を浴びています。
インターネット上のコメントにあるよう、S&P500が未来を変える可能性のある会社を含めないことは気にせず、分かっている人は注目している、と割り切るのが今回の件では気持ちの整理が出来そうです。
ちなみに、楽天証券、マネックス証券、SBI証券を調べてみたところ、ARK INVESTのETFは取り扱われてないため、ARK INVESTの情報を参考にするのも面白いでしょう。下手なアクティブ投資信託商品よりも情報は積極的に公開されています。