テスラの2020年第2四半期は利益を確保、S&P500採用条件整う

S&P500

先週の記事でテスラがS&P500銘柄に採用される条件について触れました。

S&P500への採用条件の一つに「直近四半期で利益を出す」というのがあり、2020年7月22日に発表される第2四半期決算報告が注目されていました。

そして当日の発表は、米国市場が閉まった後の時間帯に設定されていました。そこでは、利益を弾き出したことを発表。時間外取引で4%程度の上昇で推移しています。取引量が多くないので、変動幅が小さいと見込まれます。

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1億400万ドル

最も気になる利益を推移と共に下記にまとめます。

Q1-2019Q2-2019Q3-2019Q4-2019Q1-2020Q2-2020
Net (loss) income attributable to common stockholders (GAAP)(702)(408)14310516104
TeslaのQ2 2020決算資料から抜粋。単位はUSD in million

第2四半期は1億400万ドルで黒字を達成しました。前年同月と比較すると、4億ドル超えの赤字とは対照的な結果です。

S&P500の採用条件だけの視点で見れば、この話は終わりですが、折角なので他の数値も見てみましょう。

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決算資料を眺める

テスラの決算資料を眺めてみると興味深いことがあります。

売上

自動車による売上は51億7900万ドルと、前年同期比で-4%でした。2020年7月2日に発表された第2四半期の納車台数が9万台強で、第1四半期の8万8千台強を上回る水準であるため順当な売上げとも言えますが、このコロナ禍では特筆できると思います。

粗利など

粗利率は25.4%と、完成車メーカーとして見ると業界平均よりもやや高いくらいの割合です。テスラの場合、面白い項目が寄与していることが分かります。資料のコメントには”A sequential increase in regulatory credit”とあるように、クレジット収入が含まれ、4億2800万ドル相当あります。

これはゼロエミッションではない車両を販売するメーカーにゼロエミッションのクレジット販売をするもので、二酸化炭素排出権の売買に似たようなものと考えればよいと思います。

この販売先がGMやFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と言われおり、Regulatory credit を除くと17%程度の粗利率となるため、電気自動車専業メーカーならではの数値と捉えることができます。

ほかにも人件費の削減や4800万ドルのFull Self Driving(FSD)に対する”Deferred revenue recognition(前受収益)”も利益に寄与していると触れられています。

一旦話は飛びます。このFull Self Drivingとは何か、と思って探すと決算資料に、

“As of Q2, our FSD-equipped cars will either stop at an intersection or drive through it without driver confirmation when it is deemed safe to do so. Ultimately, the necessity for confirmation will be withdrawn completely.”

と書かれており、交差点で車が安全確認が取れた際に自動車で停止、進行を判断する仕組みが第2四半期から導入されているようです。

更に、決算資料のページを繰っていくと、前述のクレジット収入に加え、四月から五月の工場操業停止で、買掛残高が当初予想ほどではなかったと触れられています。

キャッシュフロー他

キャッシュフローが今回の決算では4億1800万ドルとなり、第1四半期のマイナスからプラスに転じたことを投資家が好意的に受け止めている記事を目にします。

他には、第2四半期のEPS(1株当たり純利益)が50セントでした。これはPER(株価収益率)と掛け合わせて株価の予想をする材料になります。詳しい説明は割愛しますが、数字が跳ねすぎていて、今の株価が異常に高い計算になってしまいます。

S&P500採用の発表を待つ

決算資料でテスラならではの特徴、新型コロナウイルスによるビジネス環境の変化はあれど、S&P500採用に際して、最も気になる基準であった利益が達成されました。

S&P500の銘柄入替は年四回行われ、次回は九月となります。

最終的には、S&P Dow Jones Indicesの決定に委ねるのみですが、最近ではS&P500のパフォーマンスは他の指標-特にNASDAQ100-と比較すると奮わないこともあり、話題性のある銘柄を組み入れたいのではないか、という下馬評もあります。

もうしばらくは、テスラ株は見逃せない銘柄となりそうです。