最近、個別銘柄の物色をしておらず、ETFばかりに目を向けていました。
その理由は明確で、気になっていた個別銘柄が悲惨な状態になっていたためです。その状況は以下の通りです。
- Foresight Autonomous (FRSX):2021年1月には8ドルをマークしていたこともあるものの、2022年7月には1ドルを下回る水準。ただし、同社は1:6の株式併合をしているため、株価が変わり、2023年5月は2ドル前後を推移しています。
- Maxar Technologies (MAXR):2021年2月は47ドル超えもあったが、2022年7月は26ドルの水準と低迷。しかし、2023年3月3日にAdvent Internationalという会社が、一株53ドルで買収することをアナウンスし、上場廃止。
- Verizon Communications (VZ):50ドルを超えていた株価もじりじりと下げ、2022年後半からは40ドルを割る水準を推移。
この他にも、ARK Investのキャシー・ウッドが惚れていたと言われるNano Dimension (NNDM)や燃料電池のFuelCell Energy (FCEL)も奮いません。
悲観的な情報を列挙しても仕方がないので、期待が持てそうな銘柄ということで、Matthews International (MATW) を偶然見つけたこともあり、それを見ていきます。
【注意】本銘柄は個人の意見として記載しているのみで、推奨されるものではありません。企業の財務状況やビジネス内容を確認した上で、ご自身の責任で投資判断を下してください。
About Matthews International
Matthews International という社名には馴染みが無いと思います。日本で事業をしているのか探してみたところ、株式会社シャーク・ジャパンという関連会社を発見。同社はブランドコンサルティングやデザイン関連の業務をしている様子。
こんな関連会社を持つMatthews Internationalとはどんな会社なのでしょうか。
170年以上の歴史
同社は1850年にイギリスから移民としてアメリカにやってきた、彫刻師のJohn Dixon Matthewsが装飾のエッチングや焼き印などを販売する店を開いたことから始まります。
そして、ゴム印を考案して販売したり、段ボールへの印刷と手広く商売を広げていきます。
創業から100年は米国内で事業を行っていましたが、1960年には海外へ展開。時間が下った1994年に株式上場を果たします。
上場の翌々年である1996年、火葬にビジネスの機会を見出し参入してきます。そして葬儀ビジネスも拡大し、2001年にはYork社を買収して棺の部門を立ち上げます。その後も積極的な買収を続けていき、北米最大の葬儀関連の会社となります。
また、別の部門では産業オートメーションのビジネスに携わっており、その事業も2000年代中盤に拡大すると同時に、花崗岩の取扱いも始めています。
さらに、SGK社を買収し、ブランドソリューションにも注力するようになり、今に至ります。
三つのセグメント
企業の歴史をあまり整理せずに時系列に追いかけたところ、Matthews Internationalが何の会社なのか良く分からなくなってきました。一旦整理するために、三つのセグメントを記載します。
- Industrial Technologies:燃料電池(リチウムイオン電池)、倉庫のオートメーション、プロダクトID
- Memorialization:墓地、棺、火葬設備
- SGK:ブランドソリューション、パッケージサービス
個人的には脈絡が無い気がするのですが、Eコマースが普及している現在、倉庫の自動化や段ボールや商品の箱への印刷は無くならないだろうし、人が生きている限り、死は無くならない。
理に適っている気がします。
余談ですが、上述の株式会社シャーク・ジャパンは、SGKセグメントの関連会社となります。
売上構成比
これら三つのセグメントの売上構成は以下の通りです。(2021年9月時点)
- Industrial Technologies:17%
- Memorialization:46%
- SGK:37%
全米最大の葬儀関連会社という事もあり、Memorializationの売上が最も大きくなっています。
構成比が最も小さい Industrial Technologies でも、2023年1月にEV用のエネルギー貯蔵事業で2億ドルの受注をしたことをリリースしており、貢献をしています。
株価
Matthews Internationalの現在の株価は39.53ドル(2023年5月19日終値)です。この株価がどんなものか過去からの推移を見てみます。
堅調な成長と言いたいところですが、2016年に70台半ばまで一気に上昇したものの、新型コロナウイルスの影響による暴落のタイミングまで急激な下降線を描いています。2017年は大型買収を行った時期なのですが、市場評価はイマイチだったのかもしれません。
新型コロナウイルスの影響による暴落から株価は戻ってきたけれども、2022年の市場状況に合わせる形で30ドルを割る水準でしたが、2023年は戻りを見せています。
配当
現在の時価総額が12億ドルと、米国ではSmall-capと呼ばれるグループに入る同社の注目点は、その増配の長さと配当性向です。
Dividend.com の情報を参考にすると、27年増配と上場してからずっと配当を増やしてきています。配当利回りは2.82%と株価上昇に合わせて下がって来ているものの、悪くない水準です。
もう一つの注目点である配当性向は29.53%と低いです。しかしながら、この記事の初稿を書いた2022年当時は13%だったので、配当性向は上昇しています。
企業規模と事業領域を考えると、成長の余地がありそうなので、配当に回すお金を控えめにして事業への投資をしていると考えられますが、逆に言えば配当に回すお金もあると言えそうです。
実際に買ってみました。
この記事の初稿を書いた後の2022年7月27日に同社株を買いました。その後も少しずつ買い増して、現在の平均取得価額は26.8977(2023年5月19日時点)となっています。
株価推移は月次の記事で報告していきます。