米国配当ETFを探すシリーズ。
JEPIの記事を書いている中で「これは記事にしておこう」と思ったETFがあります。
それは、Nasdaq 100 Covered Call ETF (QYLD) です。
QYLDはその名前の通り、NASDAQ100のカバードコールETFで「JEPIと似たようなものなのか」と気になります。
NASDAQ100だけではなく、XYLDというS&P500のカバードコールETFもあるので、これらETFがどのようなものかを確認したいと思います。
【注意】本銘柄は個人の意見として記載しているのみで、推奨されるものではありません。ETFの商品内容を確認した上で、ご自身の責任で投資判断を下してください。
VOICEROID動画解説
VOICEROIDでQYLDの特性を解説しています。情報は動画作成当時のものとなります。
QYLD、XYLDはどのようなETFか
ETF情報
まずは、ETFの情報を見てみましょう。
| QYLD | XYLD | |
|---|---|---|
| 設定日 | 2013年12月11日 | 2013年6月13日 |
| 経費率 | 0.60% | 0.60% |
| 純資産(2026年2月20時点) | 83億6,000万ドル | 31億6,000万ドル |
| ベンチマーク | Cboe Nasdaq-100 BuyWrite V2 Index | Cboe S&P 500 BuyWrite Index |
どちらのETFも設定日が2013年で、長く運用されている商品となります。
経費率は0.60%と、とりわけ高額という訳ではないですが、JEPIの0.35%と比較をすると高めに感じてしまいま。ただ、JEPIの経費率が低いというのが適切な表現になると思っています。
QYLDの投資信託もある
QYLDについては、大和アセットマネジメントから、一歩先いくシリーズ(投資信託)の一つとして「一歩先いく NASDAQ-100 毎月カバコ戦略(QYLD)」が出ています。
この投資信託の投資対象はQYLDなのですが、注意点として信託報酬が0.0825%(税込)とQYLDよりも高いことと、信託期間が2034年3月17日までであることです。
為替ヘッジもない投資信託なので、ご自身で米ドルを持っており、長期間で運用を考えるのであれば、ETFの方が適切かもしれません。
ベンチマーク
QYLD、XYLD共に聞き慣れないベンチマークを設定しています。
「聞き慣れない」と言ってもCboeには聞き覚えがある方もいるでしょう。シカゴ・ボード・オプション取引所を運営しているCboe Global Markets, Inc.です。そして、この「CBOE」で思い出すのが、恐怖指数。
恐怖指数は、S&P500のオプション取引を用いて算出され、市場の不確実さやムードを示すものとなっています。別記事にてこの指数について書いていますので、ぜひご覧ください。
カバードコール
コールオプションの売りを行う取引
カバードコールをかいつまんで説明すると、オプション取引を使った投資手法で、原資産を持ちながら、持っている原資産のコールオプション(買う権利)の売りを行うことを言います。
コールオプション(買う権利)の買い手がその権利を行使すると、カバードコールの売り手はプレミアムと言うオプション料を受け取りますが、手持ちの原資産を売る義務が発生します。
この取引は、通常の株式取引での売却と異なり、あらかじめ約束した価格での売却をしなければならないことです。その価格は市場価格を上回るとは限りません。
代わりとしてプレミアム収入を受け取り、これが分配金の原資となっています。
カバードコールの説明
カバードコールについては詳細を、別記事で説明をしています。下記リンクからご覧ください。
QYLD、XYLDの特徴と特性
構成銘柄
両ETFの構成銘柄をGlobal Xのサイトで確認すると、NASDAQ100、S&P500の構成銘柄と同じであることが分かります。
同時にカバードコールETFであるため、上述のコールオプション取引を用いて運用しています。
値動き特性
このカバードコールETFの特性として知っておきたいのが値動きです。
QYLDとQQQの株価推移は以下の通りで、QQQの大きな右上がりの線に対し、QYLDは地を這うような動きとなっています。

XYLDとS&P500の推移も同様で、S&P500の上昇に対し、XYLDは変化の少ない動きとなっています。

QYLD、XYLDはカバードコールを活用しているので値動きは穏やかと言いながらも、下落相場で多少の影響を受けています。また、急激な上昇相場では恩恵を受けることが殆ど出来ないというか、制限されます。
このようにかなり動きが異なることは理解しておく必要があるでしょう。
分配金
カバードコールETFの特徴は高い分配金。
両ETFの分配金推移は以下の通りです。XYLDの方が、QYLDを上回る水準にあります。株価も異なるので、この差には違和感はありません。

もう少しデータを見てみます。
下記は、2014年から2026年までのQYLD分配金単価の推移を示しています。
同時に、分配金単価の平均値と標準偏差を算出して線を加えると、単価が増えることも減ることもなく、一定の範囲であることが分かります。

分配金から見えるQYLD、XYLDの特徴
ネットを見ていると、QYLD、XYLDを保有している人の意見として、NASDAQ100が上がっているのに、QYLDが上がらないというものを時折見かけます。
QYLDはNASDAQ100で構成されているし、分配金が毎月支払わる。しかも利回りが高いとなると、買わない理由はありません。
しかし、それほどおいしい商品であれば、誰もが購入するでしょう。純資産額からも、誰もが買っているという訳でも無く、その理由を考察します。
分配金
Global Xが公開している利益の分配に関する情報を確認します。
各銘柄に三つのパーセント表記があります。Distribution Yieldが予定となり、目安になります。
- 30-Day SEC Yield:株式による配当
- 12-Month Trailing Yield:過去12ヶ月で受け取ったであろう分配金
- Distribution Yield:分配金

カバードコールETFのQYLD、XYLDはオプション取引のプレミアムで利益を上げて投資家に分配を行っています。それが高い分配となる一方で、分配金が右上がりに増え続けたりすることはありません。
オプション取引が故の特徴
このようにオプション取引で運用しているETFであるため、以下の様な事も考慮をしておいた方が良いと考えます。
- 配当利回りはプレミアムの利益に依存。そのため、個別銘柄の増配の影響を受けにくい。
- オプション取引を活用しているので、現物の株価と連動しない。特に上昇の制限があり、恩恵を受けにくい。
QYLD、XYLDで運用をしたい人
利益の分配を高配当と言う形で毎月受け取れる代わりに、増配の期待を持ちにくく、値動きも大人しいといった特色があるQYLD、XYLDを買う人はどんな人か想像すると、JEPIを購入する人の像と重複しそうです。
JEPIの記事では、以下の様な人物像を想像しました。
退職で退職金や年金の脱退一時金などでまとまったお金はあるけど、若いころに投資をしてこなかった、今更になって、まとまったお金を減らしたくないし、少しでも手元の現金を確保したい
また、FIRE (Financial Independence, Retire Early) を目指す方には、向いているのかどうかを考えてみると、種銭がある程度あり、上昇益を狙うのではなく、定期収入に重きを置く場合は選択肢になりそうです。
もし、上昇を狙っていて、運用する時間が確保できるのであれば、NASDAQ100やS&P500の現物で運用する商品の方が良いと考えています。
最終的には運用する方の投資方針に依存するので、調査をした上で判断を下してください。


