SPYDの銘柄入替は一月と七月に行われます。入替時期を待たずして、その合間にも銘柄が抜けていき、七月中旬に銘柄を調べたら61銘柄にまで減っていました。
その後、入替のことは頭から抜けており、今頃になって調べてみたら80銘柄に戻っています。
抜けた銘柄、追加された銘柄、セクターの構成変化を見ていきます。記事のタイトルにある通り、レムデシビルで有名になったギリアド・サイエンシズは抜けています。
61+29-10=80
2020年7月16日時点の銘柄数は61銘柄でした。
SPYDは、S&P500の中で配当が出る80銘柄から構成されるという説明が成り立ってないと心配していましたが、80銘柄に戻っていました。7月16日から追加された銘柄は29、除外は10銘柄となります。
これら銘柄を以下に示します(数が多いのでスプレッドシートで作成したものを画像にしています。上部が追加銘柄、下部が除外銘柄。)
追加銘柄で日本人が知っていそうな企業は、ゼロックス、ヒューレット・パッカード エンタープライズ、AIGくらいでしょうか。海外旅行をしたことがある人は、旅行先でWalgreensやBootsといったドラッグストアを見たことがあるかもしれません。その運営会社である、Walgreens Boots Allianceも追加されています。
反対に除外銘柄では、新型コロナウイルスで話題に上がったギリアド・サイエンシズやスキャンダルを嫌気したバークシャーハサウェイが売却したウェルス・ファーゴが含まれています。
セクター構成の変化
銘柄入替に伴い、セクター構成も変化しています。9月3日時点で以下の通りです。
金融の会社が増えており、セクター比率でも四分の一近くを占めています。不動産も比率が上がりました。
一方で、素材、ヘルスケアは3ポイント近く下げています。
銘柄の入替と同時に、保有比率もほぼ均等になる様に調整されています。7月16日時点では最も高い保有比率はギリアド・サイエンシズの2.5%で、最も低い比率はONEOKの0.8%と1.7ポイントの差がありました。
9月3日時点では、Ventasの1.5%が最も高いものの、最も低いHollyFrontier Corporationでも1.1%であるため、差は0.4ポイントとほぼ均等の保有比率となっていることが分かります。
保有比率の調整により、例えばコミュニケーション・サービスは銘柄数は4から6へ増えていますが、ベライゾンやAT&Tの高い保有比率を是正したことで、セクターとしては7.6%へ減少しています。
抜けたギリアド・サイエンシズのパフォーマンス
個人的には盛り上がって記事まで書いていたギリアド・サイエンシズが今回の見直しで除外されました。
除外理由を検索等で探してみたものの、見つけることが出来なかったので実情と妄想を認めます。
株価はレムデシビル認可周辺が最高値
2020年1月からの株価推移をみると4月30日の終値で84ドルを付けた時がピークでした。この日の最高値は85.97ドルまで達しています。
以降、70ドル前半まで下落してから上下を繰り返し、七月下旬からは下降線を描き、9月4日の終値は66.01ドルとなりました。
四月末の急激な株価上昇は、新型コロナウイルスに対抗する薬の開発が難航する中で、一足早く認可が下りたことが要因と言われています。その後、他社での研究も進んでより有効な治療法や薬の目途が立ってくると、市場の関心が他所に向いたことは株価に影響がありそうです。
当初レムデシビルは、重症患者への処方のみ認可されており、それほど出荷されていないとのことです。ようやく米国では中程度の症状を持つ患者への処方も認められ、レムデシビルの在庫は減少して始めています。
また、ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬であるレムデシビルがVeklury(発音分かりません、「ベクルリー?」)として先日新型コロナウイルス向けに認可を受けていて、今後どのような影響を与えるのかが気になります。
パフォーマンスはいまいち
HIV、C型肝炎、急性骨髄性白血病治療薬を作っている同社のパフォーマンスは2020年第2四半期決算を見ると、売上が51億ドルで前年同期の57億ドルから減少しています。純損益は33億ドルで、マイナスに転じています。
ただ、向こう三年で利益は出ると予想されています。
配当については、配当利率は約4%で支払いもされています。しかし配当は無理に捻出しているとも言われています。当面は配当金も支払い可能だろうと目されている一方で、五年から十年後までは難しいのではないかというアナリストの見方も出ています。
現状利益がない中で、無理矢理に配当金を支払い、利益は将来的には見込まれるものの、継続的に配当を支払う体質にはなりきれないという予想が今回のSPYD除外理由でしょうか。
2020年9月13日に買収のニュース
既にSPYDから除外されているので、SPYDへの影響はありませんが、週末にギリアド・サイエンシズが、乳がん治療薬が主力であるImmunomedics(IMMU)の買収が間もなくなされるというニュースが入ってきたので、追記します。
過去にはPionyr Immunotherapeutic、Forty Sevenと、がん治療に関連する会社の買収を行ってきていて、今回買収を予定しているImmunomedicsの時価総額は97億ドルであるものの、200億ドル規模の買収に上ると言われていますが、詳細は不明です。
SPYDの株価はむしろ安定的
八月から九月にかけてS&P500は、最高値を記録したり、一日で3.5%の下落をしたりと、その値動きは忙しいものでした。それに対しSPYDは、銘柄の入替があっても安定的に下落から回復せずに29ドル近辺を上下しています。
以前から継続的に購入していた人にとってはバーゲンは続いています。
今後の配当金もどのようになるのか気になります。