米国株を嗜んでいる人にとって、S&P500のパフォーマンスは気になると思います。しかしながらそれよりも、NASDAQ総合指数の方が動きは激しいものの、値上げの期待も見込まれるため注目をしているでしょう。
実際に、NASDAQ100を対象にしたQQQや投資信託商品を買って投資をする人もいると思います。
世の中には数多のETFがあり、QQQには及ばずながらも、一定のパフォーマンスが期待できそうなVUGというETFがあります。
どの様なものか。過去五年のVUGとQQQの株価推移を見てみます。VUGはQQQほどの値上がりはないものの、S&P500に連動するVOOを上回っています。
さて、このVUGとはどのようなETFなのでしょうか。正式名称は「Vanguard Growth ETF」で、日本語名称は「バンガード・米国グロースETF」と呼び、名前から成長が期待できそうなETFです。
【注意】本銘柄は個人の意見として記載しているのみで、推奨されるものではありません。ETFの商品内容を確認した上で、ご自身の責任で投資判断を下してください。
ETF基本情報
まずは、VUGの基本情報を確認します。
VUG | |
---|---|
設定日 | 2004年1月26日 |
経費率 | 0.04% |
総資産 | 1,839億万ドル |
配当利回り | 0.50% |
配当金支払い頻度 | 四半期 |
銘柄数 | 278 |
インデックス | CRSP US Large Cap Growth Index |
2004年から長期間運用されているだけあって、総資産も大きくなっています。また経費率も低廉です。
一方で配当利回りは0.5%と、配当ETFと比較をすると見劣りするかもしれませんが、QQQも0.44%であることから、VUGとQQQはお互いに似たような性格のETFと思えてきそうです。
株価推移
過去五年間の株価推移を再掲します。参考比較のVOOを含め、2022年1月6日時点の株価を下記に示します。
- VUG:307.56ドル
- QQQ:384.02ドル
- VOO:430.08ドル
2020年3月以降の回復から株価が大きく伸びていることもあり、値がさ株となっています。
VUGがベンチマークとする指数
VUGがベンチマークをする指数は、「CRSP US Large Cap Growth Index」と言うものです。バンガード社はCRSP社(Center for Research in Security Prices)のインデックスを採用していて、VUGもその一つとなっています。
CRSP US Large Cap Growth Index
指数の作り方
CRSPのインデックスは、階層的に作られています。まずは、米国市場を反映する CRSP US Total Market Indexを作成し、時価総額等を基にして規模(Mega、Mid、Largeなど)でグループ分けを行い、グロース株に相当するか、バリュー株に相当するかと言う仕訳の結果、各指数が出来上がります。
余談ですが、上述のCRSP US Total Market Indexは、VTIで採用されている指数となります。
Growth Indexの対象銘柄になるかは、グロース株に仕分けられる必要がありますが、複数の要素をモデル化して算出しているとのことです。その要素は以下の六つです。
- Future Long-term Growth in Earnings Per Share (FLGE)
- Future Short-term Growth in Earnings Per Share (FSGE)
- Three-year Historical Growth in Earnings Per Share (HGE)
- Three-year Historical Growth in Sales Per Share (HGS)
- Current Investment-to-Assets Ratio (INV)
- Return on Assets (ROA)
組入銘柄
こういった指数に連動するVUGの構成銘柄は、2021年11月30日時点で278銘柄となっています。上位十銘柄をQQQの銘柄を比較しながら記載します。
上位での重複銘柄は、Apple、マイクロソフト、NVIDIA、アドビの四つです。
VUGの上位銘柄で、全体の43%を占めているのに対し、QQQは36%と控えめになっています。構成銘柄数を加味すると、VUGは上位銘柄に比較的偏りがあると言えそうです。
VUG 銘柄 | 構成割合(%) | QQQ 銘柄 | 構成割合(%) |
---|---|---|---|
Apple Inc. | 11.08% | Apple Inc. | 11.68% |
Microsoft Corp. | 10.60% | Microsoft Corp. | 9.75% |
Amazon.com Inc. | 6.44% | NVIDIA Corp. | 4.10% |
Tesla Inc. | 3.91% | Broadcom Inc. | 1.80% |
Alphabet Inc. | 3.64% | Cisco Systems Inc. | 1.76% |
NVIDIA Corp. | 3.31% | Adobe Inc. | 1.68% |
Meta Platforms Inc. | 3.30% | PayPal Holdings Inc. | 1.55% |
Home Depot Inc. | 1.80% | Intel Corp. | 1.51% |
Adobe Inc. | 1.36% | QUALCOMM Inc. | 1.43% |
Visa Inc. | 1.35% | Texas Instruments Inc. | 1.18% |
また組入銘柄全体でVUGとQQQの重複を確認すると、67銘柄となっていました。つまりQQQの7割近くの銘柄がVUGに含まれているとも言えます。
セクター構成
VUGのセクター構成を確認すると、テクノロジーが最も大きく、生活必需品、資本財と続いています。この比率は、別記事で紹介したDGRWに似ています。
参考までにQQQのセクター構成も掲載します。半分がテクノロジーとなっていて、VUGと同様ですが、二番目はコミュニケーションで、生活必需品と続きます。
配当金履歴
配当金履歴を確認します。下記は過去三年の配当金推移を表しています。
VUG、QQQ共に株価水準が近く、配当利回りが似た水準であることもあり、配当金額も同じような金額であることが分かります。
なお、各年の配当金額も参考にまで下記に掲載します。
- 2019年
- VUG:1.738ドル
- QQQ:1.582ドル
- 2020年
- VUG:1.684ドル
- QQQ:1.737ドル
- 2021年
- VUG:1.540ドル
- QQQ:1.697ドル
VUGを選ぶ理由
VUGをQQQと比較しながら見てきました。
似た水準の株価、似たような配当金。現時点ではQQQの方が高パフォーマンス。さて、VUGを選ぶ理由はあるのか。
一つ目の理由としては、組入銘柄数でしょうか。QQQは100社程度であるのに対して、VUGは300近い銘柄を組み入れているため、分散がなされていると言えます。
二つ目はセクター構成で、QQQはテクノロジーとコミュニケーションで7割近くを占めています。これまでの状況であれば力強く上昇してきましたが、将来的に何か下落のきっかけがあった場合、一気に暴落するという事も考えられます。
VUGは、四分の一が生活必需品です。この業種は全般的に値動きがテクノロジーよりも控えめであるため、上昇はQQQに及ばないものの、下落時の緩衝材にもなるかもしれません。
三つ目は経費率です。QQQの0.20%は高いとも言い難いのですのが、VUGの0.04%は相対的にかなり低いです。コストを重視する場合には、検討要素になると言えます。
まとめると、QQQは今は好調だけど、何かあった時の値動きが心配。それでも高いパフォーマンスを期待出来る商品に、低コストで投資をしたいというニーズには応えられるのではないかと思われます。