2020年当時、日本人に米国ETFで高配当な銘柄を問うと、SPYDという回答になっていたのではないかと思っていました。
正確な統計がない上に、私のパソコン、スマホの環境が日本であることも影響してか、Google検索で言語を問わずに「SPYD」を検索すると日本語のサイトが上位に上がってきます。またYouTubeでも日本人によるSPYD関連の動画が多くヒットします。
一方、別記事で何回か触れている様に、米国人はSPHDなどSPYD以外の銘柄を言及しています。これには、選択できるETFの種類が我々よりも多いことにも因るでしょう。
それでも日本でも選択肢はあるのだから、そこにも目を向けた方がよいのではないのかと思い立ち配当ETFを物色してみようと思い、バンガード・米国増配株式ETF(VIG)を見ていきます。
【注意】本銘柄は個人の意見として記載しているのみで、推奨されるものではありません。ETFの商品内容を確認した上で、ご自身の責任で投資判断を下してください。
VOICEROID解説動画
本ETFについて、VOICEROID解説動画を作成しています。情報は動画作成時のものとなります。
基準となる指数
VIGの英語名称は「Vanguard Dividend Appreciation ETF」で、日本語は「米国増配株式ETF」と心躍る名称です。
どのようなETFかをVanguard社のVIG紹介のサイトからいくつか情報を拾います。
以前の指数は、NASDAQ US Dividend Achievers Select Index
NASDAQ US Dividend Achievers Select Indexとは
VIGは「NASDAQ US Dividend Achievers Select Index」に連動する商品です。指数と言うとS&P Globalの印象が強いですが、今回はNASDAQが提供している指数となります。
さて、この「NASDAQ US Dividend Achievers Select Index」はどのようなものでしょうか。
NASDAQのサイトを見ると、2000年1月31日設定の、「最低十年間連続で増配をしている株式銘柄で構成される」インデックスと説明しています。なお、インデックスとしては2006年3月29日から歴史を刻んでおり、1169.75でスタートしています。
この1169.75の単位は不明ですが、数値は以下の式で算出されているとのことです。
The formula for index value is as follows:
NASDAQ
Aggregate Adjusted Market Value/Divisor
The formula for the divisor is as follows:
(Market Value after Adjustments/Market Value before Adjustments) X Divisor before
Adjustments
指数は、調整後時価累計÷除数で算出で、この除数は、調整後時価÷調整前時価 X 調整前除数で求められます。個人的には除数を求めるための除数は何なのかが、分からないのが突っ込みたいところです。
NASDAQ US Dividend Achievers Select Indexに含まれるには
本インデックスに含まれるには、普通株式であるという条件が冒頭に記載されています。そして、他の条件は以下の通りです。
- 合資会社(Limited Partners)とREITを除く、NASDAQ US Broad Dividend Achievers Indexに含まれている
- 追加で独自基準を適用
「基準は非常にシンプル」と言いたいものの、「NASDAQ US Broad Dividend Achievers Index」という新しい言葉が気になります。このNASDAQ US Broad Dividend Achievers Indexを調べると、「最低十年増配を続けている銘柄」と記載されており、同じことがリピート。
いずれにしても、増配を続けられる業績の会社の株式が含まれているという事と理解しました。
銘柄入替
銘柄の評価は毎年三月に行われます。条件を満たした銘柄はインデックスに含まれ、追加や削除は三月の第三金曜日に市場が閉じた後の実施です。
そして、一つの銘柄で4%を超えないように調整が二月の最終営業日に行われます。
現在の指数は、S&P U.S. Dividend Growers Index
VIGの指数は、2021年9月20日からS&P U.S. Dividend Growers Index という指数に変更されました。
この変更による影響が気になりますが、VIGの目論見書を見ると、NASDAQ US Dividend Achievers Select Indexから、S&P U.S. Dividend Growers Index への移行に際して、中継ぎの指数も使っているとのことで、恐らく影響は無いと思われます。
銘柄選定について、大きく以下の三つが挙げられます。
- REITは含まず
- 三ヶ月間の日次取引量の中央値が100万ドルを超える流動性がある
- 10年増配がある
銘柄選定時に配当利回りで順位付けを行うのですが、その際上位25%は除外をするという方針もあります。
この点は、一瞬疑問に感じますが、理由がS&P Dow Jones Indices のブログに書かれています。
簡単に言うと、配当利回りは株価に影響を受けるため、極端に市場の評価が低く株価が下がっていると、配当利回りが大きくなります。これを「配当の罠」と呼んでいて、現時点の利回りは高くても成長余地があるとは考えにくい、とS&Pでは考えています。
確かに、そのような銘柄は株価の変動も大きい上に、将来の増配が見込まれにくいと想像に難くありません。いわゆる、統計学的には「異常値」となりうる銘柄を外すということでしょう。
どのようなETFなのか?
VIG基礎情報
基礎情報は2026年2月6日時点で、SPYDと比較しています。
| VIG | 参考:SPYD | |
|---|---|---|
| 設定日 | 2006年4月21日 | 2015年10月22日 |
| 経費率 | 0.05% | 0.07% |
| 純資産 | 1,215億ドル | 75億ドル |
| 分配利回り | 1.59% | 4.46% |
投資信託の信託報酬に相当する経費率はVIGが僅かに下回り、純資産額はVIGが巨額であることが分かります。
分配利回りはETFの名称からもどれくらいなのか気になりますが、実際は1.59%とちょっと拍子抜けする数値です。
VIGのパフォーマンス
改めて、VIGの株価は2026年1月で220ドルを超えています。設定時が70ドルくらいだったので、昨今の米国市場のパフォーマンスに連動する形で成長しています。
以前は、Vanguard社のサイトでVIGの過去十年間のパフォーマンスをS&P500などの指数と比較ができました、参考までにそのチャートを下記に掲載します。
チャートは、一万ドルを十年前に投資をしていたら、現在幾らになっているかという事を示しています。2011年から2021年の十年で三万ドルを超える額に成長しています。とはいえ、チャートをよく見れば、S&P500の方がVIGよりも大きく成長しています。

構成銘柄
VIG構成銘柄は、2025年11月30日時点で338に及びます。この記事の初稿を書いた2020年10月時点の銘柄数は212、2021年11月30日が268であったので、銘柄数は増加しています。
上位十銘柄比較
まずは上位銘柄を見てみます。VIGは2025年11月30日時点、SPYDは2025年12月30日時点の情報です。
SPYDには日本人には馴染みがなさそうな銘柄が多く並んでいます。有名なのはフォードくらいでしょうか。対してVIGの上位銘柄は比較的知っている名前が並んでいます。
| VIG | SPYD |
|---|---|
| Broadcom Inc. | CVS Health Corp. |
| Microsoft Corp. | Viatris Inc. |
| Apple Inc. | APA Corp. |
| JPMorgan Chase & Co. | Merck+ Co. Inc. |
| Eli Lilly & Co. | Invesco Ltd. |
| Visa Inc. Class A | Abbvie Inc. |
| Exxon Mobil Corp. | Citizens Financial Group |
| Johnson & Johnson | Ford Motor Co. |
| Walmart Inc. | Edison International |
| Mastercard Inc. Class A | US Bancorp |
VIGは上位十銘柄で約35%を占めているのに対し、SPYDは各銘柄ほぼ均等割合であるため、上位十銘柄でも約16%となっています。
セクター比較
2025年12月31日時点のセクターを比較すると、VIGとSPYDはかなり異なります。
VIGでもっとも高い割合は情報技術で、金融、ヘルスケアと続きます。反対に、SPYDは情報技術は最も小さい割合となっています。SPYDで最も構成割合が高いセクターは不動産ですが、VIGでは含まれません。
分配金履歴
VIGの分配金履歴は四半期ごとの支払いです。チャートの棒グラフに凸凹はあるものの、二十年近く増加傾向にあります。

有名な会社にごそっと投資
VIGをSPYDと比較しながら見てきました。
名称で大きな分配金を期待してしまいそうですが、利回りはSPYDと比較すると見劣りする印象です。
それは選定基準が異なることと、VIGの指数であるS&P U.S. Dividend Growers Indexは、配当利回りで上位25%を除外していることもありますが、「増配」という点にもトリックがあると考えます。
配当利回りで順位付けを行っていますが、その前提となるのが増配。僅かでも増配を続けていれば選定の条件に合致するため、高い分配を謳うETFと比較すると見劣りする恐れがあります。
成長に目を向けると、VIGには優良な大企業が含まれています。ある意味、成熟した企業であるため、大きな成長は見込みにくく、実際に過去十年ではむしろS&P500の方が高いパフォーマンスとなっています。
そのようなVIGの純資産額が非常に大きいということは、十数年という歴史と共に支持があるのは理解ができます。
配当金狙いとして、VIGに含まれる銘柄を個別に買い集めるにはそれなりの資金が必要になります。しかし、それをVIG一本で賄えるというのが本ETFの魅力と捉えても悪くはないと思います。
