野村インデックスファンド・⽶国株式配当貴族で貴族のような生活はできる?(動画解説あり)

動画解説(メカブ投資channel)

S&P500の銘柄から配当銘柄を選んだインデックスが存在します。

例えば、S&P 500 High Dividend Index が配当ETFのSPYDの基準となっていることは、ご存じだと思います。

この他にもS&P Globalは、S&P 500 Dividend Aristocrats というインデックスを提供しています。このインデックスを基準にした商品も存在しており、「野村インデックスファンド・⽶国株式配当貴族」という投資信託があります。

単純に英語を訳しただけなのですが、「配当貴族」とは、なんとも特徴的な名称です。

さて、この配当貴族とはどのようなものなのでしょうか。

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VOICEROID動画解説

本ファンドの動画解説を作成しています。動画の情報は作成時のものとなります。

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S&P 500 Dividend Aristocrats

このインデックスは、名称の通りS&P500に含まれる企業の中で、25年連続で増配をしている銘柄を選定しています。加えて、各銘柄の構成割合は均等になる様にポートフォリオを組んでいます。

S&P Globalの文書を確認すると、インデックス策定に際して以下の基準を設けています。

  • 対象銘柄:S&P500銘柄の中から選定
  • 選定基準:25年連続増配をしている銘柄
  • 時価総額:銘柄選定の基準日時点で浮動株時価増額が最低30億ドル
  • 流動性:銘柄選定の基準日より過去三ヶ月間で、日次の取引が500万ドル分あること
  • 分散:インデックスを構成する銘柄は最低40で、業種は単独で30%を超えない

増配銘柄を選定し、均等に組み入れているうえに、特定の業種に偏らないようにしているのが本インデックスの考えとなります。

上位組入銘柄

組入の上位十銘柄は以下の通りです。上位銘柄と言っても均等組入のため、さほど意味をなしていませんが、いくつかの銘柄は、米国人投資家が配当株として挙げるものが含まれています。

銘柄(2021年9月30日時点)銘柄(2023年5月31日時点)
Albemarle Corp (ALB)Albemarle Corp (ALB)
People’s United Financial Inc (PBCT)S&P Global Inc (SPGI)
West Pharmaceutical Services Inc (WST)Pentair PLC (PNR)
Sysco Corp (SYY)Cardinal Health Inc (CAH)
Pentair PLC (PNR)Cintas Corp (CTAS)
Nucor Corp (NUE)Intl Business Machines Corp (IBM)
Chubb Limited (CB)Roper Technologies, Inc (ROP)
Archer-Daniels-Midland Co (ADM)Essex Property Trust (ESS)
Exxon Mobil Corp (XOM)Brown & Brown Inc (BRO)
Chevron Corp (CVX)Church & Dwight Co (CHD)
データ引用:S&P Global

セクター別構成

セクター別構成を以下に示します。時間の経過で構成比に動きが若干ありますが、資本財、生活必需品が上位二位であることは同じですが、その比率を伸ばしています。これに伴い、一般消費財の比率は半減しています。

データ引用:S&P Global

S&P 500 Dividend Aristocrats の特長

S&P Global(S&P Dow Jones Indices)が2021年9月23日に、S&P 500 Dividend Aristocrats に関するリサーチペーパーを発行しています。

本インデックスの説明に加えて、インデックスがリスクとリターンのバランスを保持している事、株価の値動きが激しくない事、そして下落時での強さなどの分析を行い、配当金を支払う優良企業への投資の正当性を示しています。

野村インデックスファンド・⽶国株式配当貴族

このような特長を持つインデックスへの連動を目指す投資信託を見ていきます。

基本情報

  • 設定日:2017 年 1 ⽉ 10 ⽇
  • 運用会社:野村アセットマネジメント株式会社
  • 手数料
    • 購入時手数料:購⼊価額に2.2%(税抜2.0%)以内で販売会社が独⾃に定める率を乗じた額(購入時に手数料がかかると記載がありますが、楽天証券では手数料無料で購入可能)
    • 信託報酬:年0.55%(税抜0.50%)
  • 純資産:492.9億円(2023年6月23日時点)
  • 組入銘柄数:66(2023年5月31日時点)

純資産は、2021年10月22日時点の128.2 億円から三倍以上に膨らんています。

なお、このインデックスに連動には、S&P 500 Dividend Aristocrats ETF (NOBL) というETFが存在しますが、主だった証券会社で取引は出来ません。そのため、NOBLの代わりの候補と考えることも出来そうです。

分配金

本投資信託は分配金の支払いを毎年4月22日に行うとされていますが、分配金は設定来支払われていません。

投資信託の名称からすると、分配金が支払われそうなのですが、そうではないのはどういうことでしょうか。ヒントを探るべく、請求目論見書を読んでみると、下記記載が肝なのではないかと思っています。

ファンドは、計算期間中に発生した運用収益(経費控除後の配当等収益および評価益を含む売買益)を超えて分配を行なう場合があります。したがって、ファンドの分配金の水準は必ずしも計算期間におけるファンドの収益率を示唆するものではありません。

野村インデックスファンド・米国株式配当貴族【投資信託説明書(請求目論見書)】

SPYDやHDV等のETFに慣れてしまうと、分配金の支払いがなく、その理由として考えられるこの記載は腑に落ちないかもしれません。しかし、過去の実績が未来を示すわけでもありません。一つ言えるのは、分配金については、このことを頭に留めておく必要があるでしょう。

配当金目当てではなく、優良企業への均等投資と考えてみる

先日、Market Watchで「S&P500への投資は分散投資になっているのか」と言う記事を読みました。

記事ではS&P500構成割合の内、約四割がテクノロジー系企業で占められていることに触れ、分散投資への疑問を呈しています。

しかし幸いなことに、米国にはS&P500銘柄を均等に投資・運用するInvesco S&P 500 Equal Weight ETF(RSP)というETFがあります。本ブログの別記事でも触れています。現在、RSPは日本から気軽に買うことできるようになりました。

本記事の初稿を書いた時点ではRSPは買えなかったため、均等に投資・運用をしているRSPの代わりとなりそうな投資商品を探してみたところ、この「野村インデックスファンド・⽶国株式配当貴族」を見つけました。

見つけた時は、「やった!」と思ったのですが、ここで記載している通り、S&P500の500銘柄から増配銘柄を選択、抽出して組み入れるため、RSPとは全く異なる商品である上に、本投資信託は分配金の支払いもなく、残念な気持ちが湧いています。

そして、「この投資信託を買う意味があるのか」とも考えてしまいます。

恐らく、S&P500銘柄の中でも配当金を支払う、しかも増配を続けている優良企業へ均等に投資することで、リスクとリターンのバランスを保つことが謳われているため、そこに魅力を感じる人が投資候補にするのかもしれません。

もちろん、この投資信託を勧めている訳ではなく、ご自身で内容を確認し、十分に納得した上で最終判断をしてください。