S&P500の銘柄から投資対象を全米に拡大したら
前回の記事「S&P500という指数の性質」では、S&P500は時価総額加重平均型指数という指数であること、時価総額の大きな会社の影響を受けやすいことに触れました。さらにS&P500を基にしつつも時価総額の影響を除外したETFであるRSPのパフォーマンスについても比較しています。
現時点では通常のS&P500に連動しているSPYのパフォーマンスの方がRSPよりも僅かながら、よくなっていました。
2016~2017年のRSPのパフォーマンスがよかったのは、均等割合で投資しているため、成長が見込める小型株が寄与したと思われます。そこで、ふと考えたのが「小型株は成長が期待できるので、大型株中心のS&P500に投資するよりも米国の株式全体に投資した方がリターンは見込めるのではないか」ということです。
構成銘柄数の差
パフォーマンス
まずは、ETFでパフォーマンスを比較してみます。S&P500連動のETFはSPY、IVV、VOOとありますが、日本人に馴染み深いVOOを採り上げます。
比較対象となる全米株式のETFは三千を超える銘柄から成るバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)です。
両者とも線の形はほぼ同じですが、VOOのパフォーマンスがVTIを上回っています。

構成銘柄
「小型株が含まれていると成長が期待できる分、リターンがあるのでは」という上述の仮説に照らし合わせて、VTIにどれくらいVOOの銘柄が含まれているか重複を調べてみました。(2026年1月時点)
- 重複銘柄数: 493
- 構成割合の重複: 88%
当然のことながら、VTI(3,537銘柄)には、VOO(509銘柄)の殆どである99%分が含まれています。銘柄数は膨大であるものの、構成割合で見ると14%相当です。この割合がVOOとVTIで異なる線の動きを作っています。
VTIでは構成割合が1%にも満たない会社が多く、どれか数社が頑張って成長しても大きくETFに影響を与えることはないでしょう。逆に言えば、分散が大きくなっているという事です。
寄与の度合いを計算している訳ではないのですが、S&P500の中でも高いパフォーマンスを出しているテクノロジー関連銘柄の構成割合は、VOOの方が大きいです。
| Weight in VOO | Weight in VTI | |
|---|---|---|
| NVIDIA Corp. | 7.8% | 6.6% |
| Apple Inc. | 6.9% | 6.2% |
| Microsoft Corp. | 6.2% | 5.5% |
| Amazon.com Inc. | 3.8% | 3.4% |
| Alphabet Inc. Class A | 3.1% | 2.8% |
S&P500と全米株式を対象にした投資信託
次に投資信託を見ていきたいと思います。
現時点で多くの方が気になるのは、S&P500をベンチマークとするのはeMAXIS Slim米国株式(S&P500)ではないでしょうか。対する全米株式は、楽天・全米株式インデックス・ファンドを挙げたいと思います。
まずは、基本情報です。
| eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | |
|---|---|---|
| ベンチマーク | S&P500 | CRSP US Total Market Index |
| 設定日 | 2018年7月7日 | 2017年9月29日 |
| 信託報酬(税込) | 0.0814% | 0.132% |
| 純資産額 | 100,406.95億円 | 22,899.03億円 |
楽天・全米株式インデックス・ファンドとeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の純資産推移は以下の通りです。(単位は億円)
両者は、新NISAが始まった後に大きく差が開き、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は2026年には10兆円を超えています。とは言っても楽天・全米株式インデックス・ファンドも2兆円を超えているので、純資産は巨額です。
各投資信託で運用するとどうなる?
この記事の初稿を書き始めた時は、「VTIの方がパフォーマンスが良いので、全米に広く投資するとリターンが期待できます。」といった結末を考えていましたが、実際に二年試してみたところ、S&P500の方が高いパフォーマンスでした。
つみたてNISAを想定した金額での運用比較は下記記事で記載しています。ただ、特定期間の二年間なので、その結果だけで優劣はつけられないことはご理解ください。


