S&P500の銘柄から投資対象を全米に拡大したら
前回の記事「S&P500という指数の性質」では、S&P500は時価総額加重平均型指数という指数であること、時価総額の大きな会社の影響を受けやすいことに触れました。さらにS&P500を基にしつつも時価総額の影響を除外したETFであるRSPのパフォーマンスについても比較しています。
現時点では通常のS&P500に連動しているSPYのパフォーマンスの方がRSPよりも僅かながら、よくなっていました。
2016~2017年のRSPのパフォーマンスがよかったのは、均等割合で投資しているため、成長が見込める小型株が寄与したと思われます。そこで、ふと考えたのが「小型株は成長が期待できるので、大型株中心のS&P500に投資するよりも米国の株式全体に投資した方がリターンは見込めるのではないか」ということです。
構成銘柄数の差
パフォーマンス
まずは、ETFでパフォーマンスを比較してみます。S&P500連動のETFはSPY、IVV、VOOとありますが、日本人に馴染み深いVOOを採り上げます。
比較対象となる全米株式のETFは約3,900社から成るバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)です。
両方とも重なる様にほぼ同じ線を描いています。それでも2021年はVTIが上回っていましたが、最近はVOOの方が上回ります。

構成銘柄
「小型株が含まれていると成長が期待できる分、リターンがあるのでは」という上述の仮説に照らし合わせて、VTIにどれくらいVOOの銘柄が含まれているか重複を調べてみました。(2025年2月時点)
- 重複銘柄数: 497
- 構成割合の重複: 87%
当然のことながら、VTI(3,618銘柄)には、VOO(508銘柄)の殆どである99.6%分が含まれています。、銘柄数は膨大であるものの、構成割合で見ると16%相当です。この割合がVOOとVTIで異なる線の動きを作っています。一社あたりの構成割合は1%にも満たないため、どれか数社が頑張って成長しても大きくETFの価格に影響を与えることはないでしょう。
それでも、上記のチャートにある様にVOO、つまりS&P500の方が運用成績が良いという結果となっています。
寄与の度合いを計算している訳ではないのですが、S&P500の中でも高いパフォーマンスを出している、所謂Magnificent 7と呼ばれる銘柄の構成割合は、VOOの方が大きくなっています。
Weight in VOO | Weight in VTI | 差 (VOO – VTI) | |
---|---|---|---|
Apple Inc. | 7.0% | 6.1% | 0.8% |
Microsoft Corp. | 6.0% | 5.3% | 0.7% |
NVIDIA Corp. | 5.8% | 4.8% | 1.0% |
Amazon.com Inc. | 4.3% | 3.9% | 0.5% |
Meta Platforms Inc. | 2.9% | 2.6% | 0.4% |
S&P500と全米株式を対象にした投資信託
次に投資信託を見ていきたいと思います。
現時点で多くの方が気になるのは、S&P500をベンチマークとするのはeMAXIS Slim米国株式(S&P500)ではないでしょうか。対する全米株式は、楽天・全米株式インデックス・ファンドを挙げたいと思います。
パフォーマンスよりもむしろ特徴をまとめていますが、それらは以下の通りです。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | |
---|---|---|
ベンチマーク | S&P500 | CRSP US Total Market Index |
設定日 | 2018年7月7日 | 2017年9月29日 |
信託報酬(税込) | 0.0814% | 0.132% |
純資産額 | 69,219.59億円 | 18,517.22億円 |
楽天・全米株式インデックス・ファンドが一年早く設定されていて、純資産額も時間に比例して大きいです。一方でeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は急速に純資産額を増やしています。

各投資信託で運用するとどうなる?
この記事の初稿を書き始めた時は、「VTIの方がパフォーマンスが良いので、全米に広く投資するとリターンが期待できます。」といった結末を考えていましたが、実際に二年試してみたところ、S&P500の方が高いパフォーマンスでした。
つみたてNISAを想定した金額での運用比較は下記記事で記載しています。ただ、特定期間の二年間なので、その結果だけで優劣はつけられないことはご理解ください。