eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) と楽天・全米株式インデックス・ファンド の積立での差はどれくらい?(動画解説あり)

S&P500

つみたてNISAでeMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) を積み立てています。

積立をするのであれば、S&P500に連動する投資信託商品、もしくは全世界株式を対象とした投資信託商品にしておけ、という話はよく聞きます。

しかし、米国の厳選された500社でもなく、全世界の企業でもない商品があります。それは楽天・全米株式インデックス・ファンド。主に、バンガード・トータル・ストック・マーケットETF (VTI) に投資をする商品です。

昨年、eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) と楽天・全米株式インデックス・ファンドについて記事を書きました。

当時の記事ではパフォーマンスよりも特徴をまとめていたのですが、実際に2020年12月から両者を積み立て、資産がどのように増えるのか実験をしています。

さて、米国の大企業約500社を対象に投資する商品と、米国市場で投資可能な企業ほぼ全部へ投資する商品のパフォーマンスにはどれくらい違いがあるのでしょうか。

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動画解説

本記事についてVOICEROIDとCeVIO AIによる解説動画を作成していますので、ぜひご覧ください。

本記事と動画の比較期間は異なり、動画の方が九か月と長くなっています。

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VTIとは

VTIの正式名称は、Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF Shares (VTI) で、日本語ではバンガード・トータル・ストック・マーケットETFと呼ばれています。

名前の通り、バンガード社の商品です。商品概要は、

  • CRSP US Total Market Indexに連動することを目指す
  • 大企業および中小企業に幅広く投資
  • 低コストでかつ低い乖離を目指す

といったものになります。ETFということもあり、投資信託で信託報酬に相当する経費率は0.03%となっています。

2021年4月30日時点で3,781銘柄に投資をしていて、最も比率の高いセクターはテクノロジーで25.8%を占め、一般消費財の16.4%と続きます。

なお、指標のCRSPとはCenter for Research in Security Price LLC.という会社です。同社は1960年から証券に関する過去の価格やパフォーマンスに関する情報について研究を開始し、データベースの構築を進めてきました。

時代は下って2012年、同社はCRSPインデックスを世に出すことになります。このインデックスはベンチマークとしても使われ、バンガード社は同社の一部のETFに対するベンチマークとして採用することを発表しています。

CRSPは学術的なインデックスと言えます。

投資信託基礎情報

eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) と楽天・全米株式インデックス・ファンドの基礎情報は以下の通りです。

eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500)楽天・全米株式インデックス・ファンド
ベンチマークS&P500CRSP US Total Market Index
設定日2018年7月3日2017年9月29日
信託報酬0.0968%0.162%
総資産4559.28億円2811.44億円
2021年6月3日時点

eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) の方が信託報酬は低く、総資産も楽天・全米株式インデックス・ファンドを上回っています。

なお、昨年の記事を見返すと、両投資信託は2021年2月から大幅に総資産が増額しています。

  • eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) :7.7倍
  • 楽天・全米株式インデックス・ファンド:3.2倍

株価の上昇による資産増額を加味しても、eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) の増え方は驚異的に感じます。

比較

ETF

積立の比較の前にETFのパフォーマンスを見てみます。

過去五年間のVOOとVTIを比較すると、差は2.4ポイントでVTIが上回るというものでした。

S&P500とCRSP US Total Market Indexの重複は約八割です。残りの二割のパフォーマンスに対する影響はあまり大きくありません。

Yahoo! Finance(青:VTI、ピンク:VOO、過去五年の株価推移)

積立

さて、つみたてNISAの枠を最大まで使った場合、両者でどれくらいの差が出るのでしょうか。

比較における条件、留意事項は以下の通りです。

  • 積立期間は2020年12月約定分から半年間
  • 積立金額はどちらも33,333円
  • 評価額は保有口数に単価を乗じたもので、信託報酬や再投資などの要素は加味せず

2021年6月4日時点での評価額を見ると、額が大きいのはS&P500に投資をした場合。しかし、その差は1,236円と小さいものです。

大企業のみに絞ったほうが僅かながらの好成績を収めています。最終的に手元に残る金額は信託報酬などを加味すると、現時点ではeMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) と言えそうです。

当然の事ながら、半年間という短い期間での比較ということもあり、これだけの情報で楽天・全米株式インデックス・ファンドは良くない投資信託と結論付けるのは適切ではありません。

おまけ:VTI連動ファンドがSBI証券からも登場

最後に余談ですが、SBI証券でも、VTIに投資する「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」を2021年6月15日から募集を開始します。なお、設定日は6月29日。

信託報酬が0.0938%程度を予定していて、楽天・全米株式インデックス・ファンドの0.162%を下回ります。SBI証券のみの取扱いとはいえ、ライバル登場です。