2021年3月第二週の米国市場は週の中盤から、前週発生した下落を取り戻す動きを見せていました。
特にダウ平均とS&P500は高値の記録が塗り替わっています。
一方で、NASDAQ総合指数も回復はしていたものの、他の指数ほどは奮わず。加えて、10年国債利回りも1.6%を超えていました。
保有株の動きを見ていると、それらの値動きは小幅でした。対するテクノロジー株は乱高下をしていて、特にテスラはジェットコースターのようです。
具体的には、配当株として保有しているJPMorgan & Chase、Lockheed Martin、CVS Healthの値動きは大人しく、テスラは暴落と呼べるくらいの急降下でした。

テスラの2021年3月12日の終値は693.73ドルまで回復していますが、一週間前にあたる3月5日の最安値は539.49ドル。予てから買いたかった人はチャンスだったのではないでしょうか。
さて、このような値動きをする市場の中で、以前買いそびれて気になっていたCerence (CRNC) を買ってみました。ARK InvestのETFもeMAXIS Neoの投資信託の組入銘柄リストにない会社です。
【注意】本銘柄は個人の経験を基にして記載しているのみで、推奨されるものではありません。企業の財務状況やビジネス内容を確認した上で、ご自身の責任で投資判断を下してください。
Cerence (CRNC)
同社はもともとニュアンス・コミュニケーションズという会社でした。2019年10月1日にオーモーティブ部門が分社し、Cerenceとして独立した法人となっています。
ニュアンス・コミュニケーションズは対話型AIを開発している会社で、その技術を自動車に特化して開発しているのがCerenceです。
技術の内容は運転者のサポートをするもので、自動運転やロボットというほどのものではないため、ARK InvestのETFやeMAXIS Neoの投資信託には組み込まれてないと思われます。
また、自動車に限らず、二輪車、エレベーター向けのシステム開発をしているだけではありません。顧客企業にはApple、IFFFT、トリップアドバイザー、マクドナルドと、複数業種が含まれ、裾野が広いことがうかがえます。
カーナビで駐車場の空き状況や周辺のレストランを音声認識で聞くと回答してくれる。これが高度に発展したものを同社は開発しています。
対話型AIと言いながらも、運転者のサポートを主軸に置いていることもあり、2023年に入ってからの「AIブーム」の波に乗っていませんが、乗り遅れ銘柄との下馬評もあります。
Cerenceの業績
2021年第1四半期決算
2021年2月8日に発表された第1四半期決算の内容は以下の通りです。
- 売上:9,496万ドル(前年同期7,746万ドル)
- 純利益:2,164万ドル(前年同期-1,176万ドル)
- EPS:0.54ドル(前年同期-0.33ドル)
前年と比較すると増収増益。
また、同社の決算資料では将来性についても触れています。
車載AIおよびクラウドサービス共に成長予測をしています。このような機能やサービスは、これまで高級車のみに搭載されていましたが、今後は大衆車にまで広がることを期待しています。

2023年第1四半期決算
二年経って、2023年2月8日に発表された第1四半期決算の概要を見てみます。
- 売上:8,366万ドル(前年同期9,443万ドル)
- 純利益:-198万ドル(前年同期2,293万ドル)
- EPS:-0.05ドル(前年同期0.49ドル)
安定して成長していくという予測に反した結果となっています。
2025年第1四半期決算
更に二年経過した2025年2月6日発表の第1四半期決算は以下の通りです。
- 売上:5,089万ドル(前年同期1億3,833万ドル)
- 純利益:-2,428万ドル(前年同期2,385万ドル)
- EPS:-0.57ドル(前年同期0.53ドル)
経年で見ると、売上と利益が踊っています。
Cerenceの株価
2020年3月頃、同社の株価は20ドルにも達していませんでした。ところが、2021年3月12日の終値は112.34ドル。一年で約五倍にまで上昇しています。
過去記事で「アナリストの予測は好きではない」と書きましたが、世の中のCerenceへの期待を探るべくTIPRANKSの情報を見ると、アナリストの強気の予想が見えます。

TIPRANKSの株価予想から二年が経過した時点、Cerenceの株価は2023年6月9日終値で29.85ドル。
同社株を最初に買ったタイミングからの株価推移を見ていくと、見事なジャンピングキャッチをしていました。2022年後半には20ドルを切りながらも、微増ながら上昇した場面もありました。しかしながら、以降は低迷。
平均取得価額は73.0143ドル
Cerenceと出会ったのは、2020年の夏の終わりから秋にかけての、まだ暑い頃。
そこで買えば良かったにもかかわらず、値下がりを期待して待っている内に、あれよあれよという間に手を出しにくい価格に上がっていきました。
そして、手の届かない存在となったCerenceは、すっかり忘れていました。
しかし、ふと思い出した時に、株価を調べると100ドルを超えているではありませんか。
「もう買い時は来ないだろう」と諦めていた2021年3月。突然のテクノロジー株暴落。
2020年夏頃の株価水準までには下がっていないにもかかわらず、「最高のチャンスに違いない」ということで買い付けました。
その時の平均取得価額は87.4080ドル。

買増しを考えたものの、約定後に一気に上昇して再び100ドルを超え、2021年7月に再び120ドルを超えたところで買増しの期待は儚くも終了。
その後、値が下がった時を見つけては少しずつ買い増して、平均取得価額を73.0143ドルまで下げました。
しかし下落の低迷続き。
AIバブル銘柄となるか
自動運転技術が普及した時、同社はどのようなポジションになるのかは未知数です。運転手のサポートというよりも搭乗者に対するインフォテインメント(Infotainment)を強化していくのか、自動運転のAIに旅程情報を提供するような、サポート的なAIとなるのか。
と書いたのが、2023年。
塩漬け状態は、長期間続いています。
ところが、2025年1月3日に、同社が自社のCerence Automotive Large Language Model (CaLLM)を進化させるため、NVIDIAとの協業を拡大するというリリースを出したのち、株価が140%アップとなりました。
AIバブルに乗り遅れている銘柄と言われていましたが、ようやくニュースが舞い込んできたと思ったのも束の間。2025年1月6日に27.50ドルの最高値をピークに下落しています。
NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏が、量子コンピューターが使えるものになるまでの時間軸を15年から30年と言及したことで、IonQ (IONQ) などの量子コンピューター銘柄の株価が下落。
タイミングは合致しないものの、CRNCの株価も下落をしており、同社は量子コンピューター銘柄ではないにもかかわらず、NVIDIA関連として引きずられているのか、憶測が出てきます。
依然として、塩漬け状態であることには変わりありません。