2020年7月30日に発表されたAppleの第3四半期決算では、売上が596億ドルと、前年同期の538億ドルに対して11%の増収。利益も112億ドルで、前年同期比で12%増益でした。
配当も一株当たり0.82ドルとなり、2020年8月10日時点の株主名簿を基に31日に支払いが行われます。
しかし、今回の発表で最も話題になったのは四分割の株式分割で、2014年に行われた株式分割以来、六年ぶりの株式分割となり、上場来五回目となります。
Appleは一気に400ドル超え
Apple(AAPL)は2020年に入ってから、三月の株式市場の下落で200ドル台前半まで落ち込みましたが、以降は300ドル台でじわじわと上昇してきていました。
下記チャートは7月27日週のもので、決算発表翌日の7月31日には300ドル台を一気に抜けて、終値が425.04ドルとなっています。
決算も好調、配当のお知らせがあるのに加え、株式分割が好意的に受け取られているという見方ができます。
Appleは、いわゆるGAFAの一つですが、今回の株式分割ニュースでは他の「GAF」と比較されています。
Google(Alphabet)
2014年に二分割の株式分割を実施。ただし、物議を醸しだしたものでした。
理由は発行済みの株式をするのではなく、Class C(ティッカー:GOOG)という議決権のない株式発行を行ったことによります。
Amazon
1998年から1999年にかけて四回分割を行って以降、分割は行っていません。
当時は一桁ドル台であったり、50ドルくらいから100ドルまで上がったかと思うと30ドルくらいを動くなど、買いやすい価格の株式でありながらも値動きは激しいものでした。
ここ数年はロケットの様に株価は上がり、3,000ドルを超えていますが分割はされていません。
上場以来分割は行われていません。
分割でうれしい人は誰か
Appleの株式分割で嬉しい人は投資家の中でも、大きな投資額が用意できない個人の投資家ではないかと考えられます。
「400ドルは用意できないけど、200ドルなら用意できる」といった人であれば四分割されて一株100ドル程度になった株を二株買うことができるので、株式投資に参加し易くなります。
米国で最近使われている「Robinhood Investors」という単語で呼ばれる層がいます。
彼らは手数料無料の証券会社であるRobinhoodで株式投資をする若い人たちのことで、このような層はApple株に手を出しやすくなることが予測されます。
株価は基本、需給関係で決まるので、買いたい人が増えれば株価は上がり、売りたい人が増えれば下がります。多くの人が買いやすくなったことで買いに走れば嬉しい結果になります。
Appleが組み入れられている投資信託商品への影響はどうでしょうか。例えばQQQでは2020年7月31日時点でAppleの組み入れ割合は13.07%です。結構な割合ですね。
S&P500と連動しているVOOにおいては2020年6月30日時点で5.8%で、こちらはQQQよりも割合は小さくなってます。
間接的な投資になるので、いくばくかの恩恵はあるかもしれませんが劇的な株価の変化を感じることは難しそうです。
最後に、バフェット氏は実は嬉しいのではないかと思っています。
氏の率いるバークシャーハサウェイはAppleの発行済株式の5.78%保有しており、バークシャーハサウェイのポートフォリオの20%程度を占めています。QQQよりも多い割合ですね。
ただ、これがバークシャーハサウェイの株価を直ぐに押し上げるかは判断しにくいです。
GAFAの株式分割は間接的に市場に影響を与えそう
Appleの株式分割が個人投資家、機関投資家など誰にとって嬉しそうなものですが、実際のところは様々な思惑がうごめく株式市場においては判断がつかないのが正直なところです。
今回はGAFAの一社であるAppleが上場以来五回目の株式分割をしたということで市場への影響を与えそうです。
議決権の無い株式の発行でお茶を濁したり、分割をせずに高いままとしておくのは各社の考えですが、今回の株式分割は市場に好意的に受け入れられていることはどの会社も無視はできないと思います。