米国時間2021年3月30日にARK Investから待望の宇宙関連ETFのSpace Exploration & Innovation ETF (ARKX) が上場しました。
ARKXの他に、宇宙関連のETFというと、2019年4月11日に設定されたProcure Space ETF (UFO)もあります。この奇抜なティッカーは一度聞いたら記憶に残ります。
ARKXとUFO、似ているようですが、組入銘柄や投資方針に違いはあるのでしょうか。
どちらのETFも買えない
私が現在取引に使用している楽天証券ではUFOもARKXも購入することは出来ません。日本国内で取り扱う外国投資信託の届出が金融庁には出ていないETFの模様なので、SBI証券やマネックス証券でも取り扱いはないでしょう。
「そんな日本で取引できない商品を調べてどうするんだ?」と思う人もいるでしょう。
しかし、将来的な取扱いの期待だけではなく、個別株への投資を検討時にこれらETFがどのような考え方で運用されているかを知ることは無駄ではないと考えます。
VOICEROID解説動画
VOICEROIDの結月ゆかりさんが、UFOについて解説をしてくれますので、ぜひご覧ください。情報は動作作成時のものです。
Procure Space ETF (UFO) とSpace Exploration & Innovation ETF (ARKX)の基礎情報
ETFの基礎情報を比較します。
| UFO | ARKX | |
|---|---|---|
| 設定日 | 2019年4月11日 | 2021年3月30日 |
| 運用会社 | ProcureAM | ARK Invest |
| 経費率 | 0.75% | 0.75% |
| 純資産 | 3億6,689万ドル | 8億2,102万ドル |
ARKXは当初設定から間もないのですが、純資産では既にUFOを超えています。また、両社の経費率はこの種のETFとしてはよく見かける水準です。
組入銘柄
組入銘柄数は両者とも40銘柄以内となっています。
- UFO:50
- ARKX:35
UFO組入銘柄
UFOの銘柄を見ると、2021年は32銘柄でしたが、2026年には50銘柄へ増えています。また、21銘柄は2026年も継続して組み入れられています(緑のチェックマーク)。

日本の会社は以下の六銘柄が組み入れられています。
- スカパーJSATホールディングス(9412)
- QPSホールディングス(464A)
- アストロスケールホールディングス(186A)
- Synspective(290A)
- ispace(9348)
- ウェザーニューズ(4825)
ARKX組入銘柄
ARKXは2021年の38銘柄から35銘柄となっており、23銘柄が引き続き構成銘柄となっています。

コマツ(6301)は、2021年からずっと含まれています。2021年当時、米国人の個人投資家にはコマツを注目しているという意見を言う人をYouTubeで見かけていました。
建機や工作機械の技術が宇宙開発に活用できるから、と想像します。当時の中期経営計画には「宇宙」の気配はなかったのですが、2025年~2027年の中期経営計画に、事業領域の探索の箇所で、月面建設機械のイラストが含まれており、納得感が出てきました。
共通銘柄
ふたつのETFで共通する銘柄は七銘柄と多くありません。
航空機や防衛産業のHoneywell、L3Harris、Lockheed Martinに加え、2021年頃に話題になったTrimbleがあります。

Trimbleは2026年に入っても両ETFに含まれています。この会社の事業は何なのでしょうか。
Trimble (TRMB)
Trimbleは、建設(建築・土木)、測量、農業、輸送・物流などの分野で、GNSS、GPSなどの高精度測位、3Dモデリングソフトウェア、レーザースキャナー、建設機械制御システム、データ解析ツールなどを展開しています。
一時は、きれいな右上がりの線を描いていましたが、2023年~2024年にかけては低迷していました。
投資方針
組入銘柄を眺めていると、UFOとARKXの性格は随分異なると感じることでしょう。各ETFの方針を確認します。
UFO
投資戦略は、同社のETFサイトに記載があります。概要は以下の通り。
- 売上の最低50%を宇宙産業から得られているセグメントが一つ以上ある会社に投資
- 総資産の最低80%を上記の会社で運用
ベンチマークは、VettaFiによる「The S-Network Space Index」です。
この宇宙産業に対する定義も示されています。ProcureAMの説明によると「宇宙」は一般的に受け入れられている定義である、海抜高度100km(62マイル)のカーマン・ラインを宇宙の端とするものです。
カーマン・ラインがどのあたりかというと、地表から対流圏(我々がいるところ、飛行機もここを飛ぶ)、成層圏、中間圏、熱圏と上昇していきます。熱圏を越えたくらいのオーロラが発生する高度です。
カーマン・ラインを超えるところでビジネスが成り立たないとUFOの組入銘柄にはなりません。
それを、ProcureAMはGPSを例に挙げて説明しています。具体的には、GPS機能スマートウォッチとナビゲーションシステムを搭載した自動車との比較です。
前者はGPS衛星とつながらないと機能が使えないのに対し、後者はGPS衛星とつながらなくても自動車という機能は成立するため、後者を製造、販売している会社を宇宙関連とみなさないといいう事です。
この説明にはありませんでしたが、スマートフォンもGPSを使わなくても通話、通信という基本機能の役目を果たすので、宇宙関連とは言わないでしょう。
UFOはこのような宇宙関連の定義を用い、ベンチマークを目指しているETFとなります。
ARKX
ARK Investのサイトにある投資目的を見ると、概要は以下の通り。
- 本ETFのテーマである「宇宙探査・イノベーション」に事業従事する会社に投資
- 総資産の最低80%を上記の会社で運用
ベンチマークは見当たりませんでした。
ARK Investの言う「宇宙探査・イノベーション」の「宇宙探査」は四つの企業カテゴリーで定義されています。
- Orbital Aerospace Companies:人工衛星やロケットなど衛星軌道に打ち上げたり、軌道上で運用を行う技術やサービスを提供する企業
- Suborbital Aerospace Companies:衛星軌道上にとどまることはない(基本的には低空)ものの、宇宙空間で運用を行う技術やサービスを提供する企業
- Enabling Technologies Companies:航空宇宙事業を実現させるための技術を提供する企業
- Aerospace Beneficiary Companies:航空宇宙事業の受益企業
UFOと異なり、カーマン・ラインという単語は使われていませんが、宇宙空間の事業を対象にしています。
2021年当時は、航空宇宙事業を実現させるための会社、もしくは受益者となる会社が多く含まれている様に感じました。
例えば、当時Workhorseが含まれていた理由を推察すると、WorkhorseはEVトラックだけではなく、ドローンによるHorseflyという配達システムやMetronというGPSによるトラック追跡システムを開発しており、同社は受益企業 (Aerospace Beneficiary Companies) と言えるでしょう。
更に、Netflixは宇宙開発が進んだり、より身近になったりするとそれらを題材にしたドラマを作成することで利益を得る、つまりAerospace Beneficiary Companiesであるという見方もできます。
ARKXは宇宙空間での事業だけではなく、その技術やサービスを使って事業をする会社まで幅広く投資するETFです。
UFOとARKXは宙(そら)の範囲が異なる
UFO、ARKXと各ETFを見てきました。
どちらも視点は空を見上げていますが、その範囲が異なることが分かります。今回の記事を書くにあたって調べた結果を図表にまとめてみました。

UFOは高度100km以上で使われる技術を使った事業を行っている会社が対象。ARKXは衛星軌道だけでなく、それ以下の高度も対象。更に宇宙につながるであろう革新的/イノベーティブな技術開発をしている会社も含む。
宇宙関連のETFは、似てそうで組入銘柄が異なる。その理由は事業と収益の関係、海抜高度が異なるということが分かりました。
これらETFで投資をすることは出来ませんが、宇宙関連は将来有望と言われているので、情報を見てみると気付きがあります。
