宇宙関連EFTのUFOとARKXは似てる?

投資

米国時間2021年3月30日にARK Investから待望の宇宙関連ETFのSpace Exploration & Innovation ETF (ARKX) が設定日を迎えました。

初日の終値は20.30ドル。最初の週が終わり4月1日の終値は20.91ドルとなっています。ETFなので短期間の大きな値動きは見られません。

宇宙関連のETFといえば、2019年4月11日に設定されたProcure Space ETF (UFO) があります。この奇抜なティッカーは一度聞いたら記憶に残ります。

UFOを運用しているProcureAMのサイトもゲーム関連のサイトのようで、ネットスラングの「厨二心がそそられる」という表現が似合います。

画像引用:ProcureAM

UFOの4月1日終値は28.97ドル。

ARKXもUFOも20ドル台。株価を含め、なんとなく似たような雰囲気を感じますが、組入銘柄や投資方針に違いはあるのでしょうか。

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どちらのETFも買えない

私が現在取引に使用している楽天証券ではUFOもARKXも購入することは出来ません。SBI証券やマネックス証券でも取り扱いはありませんでした。

他のARK ETFを扱っているサクソバンク証券は「2,700銘柄のETFやETN」と謳っているので、扱っていそうな雰囲気ですが、取扱い銘柄を確認できませんでした。

「そんな取引できない商品を調べてどうするんだ?」と思う人もいるでしょう。

しかし、将来的な取扱いの期待だけではなく、個別株への投資を検討時にこれらETFがどのような考え方で運用されているかを知ることは無駄ではないと考えます。

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Procure Space ETF (UFO) とSpace Exploration & Innovation ETF (ARKX)の基礎情報

ETFの基礎情報を比較します。

UFOARKX
設定日2019年4月11日2021年3月30日
運用会社ProcureAMARK Invest
信託報酬0.75%0.75%
総資産1億3200万ドルN/A
UFOは2021年4月3日に取得した情報、ARKXは2021年3月26日付

ARKXが運用開始前の情報なので、総資産が不明となります。両社の信託報酬はこの種のETFとしてはよく見かける水準です。

組入れ銘柄

組入銘柄数は両者とも40銘柄以内となっています。

  • UFO:32
  • ARKX:38

UFO組入銘柄

UFOの32銘柄を掲載します。数が多いため、作表したものを画像データとしています。

2021年4月5日付、ProcureAMのデータから筆者作成、記載は組入比率の降順

興味深いことに、日本の会社も三銘柄組み入れられています。

  • スカパーJSATホールディングス(9412)
  • ウェザーニューズ(4825)
  • IHI(7013)

ARKX組入銘柄

ARKXも同様に38銘柄を掲載します。

2021年4月1日付、ARK Investのデータから筆者作成、記載は組入比率の降順

日本の銘柄であるコマツ(6301)も含まれていて、米国人の個人投資家にはコマツを注目しているという意見を言う人をYouTubeで見かけました。

建機や工作機械の技術が宇宙開発に活用できるから、と想像します。ところが中期経営計画を見ても「宇宙」の「う」の字が無い点が気になります。

他の銘柄でも例えばNetflixやWorkhorseのように「なぜ宇宙?」と思えるものが散見されます。

共通銘柄

ふたつのETFの銘柄を印象で、かなり異なるのではないかと感じました。案の定、共通する銘柄は多くなく、十銘柄のみでした。

ProcureAM、ARK Investのデータから筆者作成、記載はアルファベット順

航空機や防衛産業のAirbus、Boeing、L3Harris、Lockheed Martinに加え、ベンチャーのVirgin Galacticも含まれています。

興味深いのはTrimbleという会社の組入比率がどちらのETFで最も高いことです。さて、この会社の事業は何なのでしょうか。

Trimble (TRMB)

Trimbleが事業として行っていることを一言で言うと、地理情報の提供に加え、交通、農業、建設の分野で効率化を図るためのシステムを提供している、になりそうです。

個人的にはORBCOMM (ORBC) に似ていると思ったのですが、ORBCOMMは人工衛星を使って地上の機器を追跡、監視するのに対し、Trimbleは最適化システムの構築なので、異なる事業と言えそうです。

Yahoo! Finance(TRMB概要)

過去一年の株価を見ると、きれいな右上がりの線を描いています。

同社の株式はARKのETFでは、Autonomous Technology & Robotics (ARKQ) に240万株が組み入れられていました。ARKXでは3月30日は約4,600株だったところ、4月1日には約384,000株にまで増えています。

投資方針

組入銘柄を眺めていると、UFOとARKXの性格は随分異なると感じることでしょう。各ETFの方針を確認します。

UFO

投資戦略は、同社のETFサイトに記載があります。概要は以下の通り。

  • 売上の最低50%を宇宙産業から得られているセグメントが一つ以上ある会社に投資
  • 総資産の最低80%を上記の会社で運用

ベンチマークは、S-Network Global Indexes, Inc.による「The S-Network Space Indexes」です。

この宇宙産業に対する定義も示されています。ProcureAMの説明によると「宇宙」は一般的に受け入れられている定義である、海抜高度100km(62マイル)のカーマン・ラインを宇宙の端とするものです。

カーマン・ラインがどのあたりかというと、地表から対流圏(我々がいるところ、飛行機もここを飛ぶ)、成層圏、中間圏、熱圏と上昇していきます。熱圏を越えたくらいのオーロラが発生する高度です。

カーマン・ラインを超えるところでビジネスが成り立たないとUFOの組入銘柄にはなりません。

それを、ProcureAMはGPSを例に挙げて説明しています。具体的には、GPS機能スマートウォッチとナビゲーションシステムを搭載した自動車との比較です。

前者はGPS衛星とつながらないと機能が使えないのに対し、後者はGPS衛星とつながらなくても自動車という機能は成立するため、後者を製造、販売している会社を宇宙関連とみなさないといいう事です。

この説明にはありませんでしたが、スマートフォンもGPSを使わなくても通話、通信という基本機能の役目を果たすので、宇宙関連とは言わないでしょう。

UFOはこのような宇宙関連の定義を用い、ベンチマークを目指しているETFとなります。

ARKX

ARK Investのサイトにある投資目的を見ると、概要は以下の通り。

  • 本ETFのテーマである「宇宙探査・イノベーション」に事業従事する会社に投資
  • 総資産の最低80%を上記の会社で運用

ベンチマークは見当たりませんでした。

ARK Investの言う「宇宙探査・イノベーション」の「宇宙探査」は四つの企業カテゴリーで定義されています。

  • Orbital Aerospace Companies:人工衛星やロケットなど衛星軌道に打ち上げたり、軌道上で運用を行う技術やサービスを提供する企業
  • Suborbital Aerospace Companies:衛星軌道上にとどまることはない(基本的には低空)ものの、宇宙空間で運用を行う技術やサービスを提供する企業
  • Enabling Technologies Companies:航空宇宙事業を実現させるための技術を提供する企業
  • Aerospace Beneficiary Companies:航空宇宙事業の受益企業

UFOと異なり、カーマン・ラインという単語は使われていませんが、宇宙空間の事業を対象にしています。

とはいえ、現在の銘柄は航空宇宙事業を実現させるための会社、もしくは受益者となる会社が多く含まれている様に感じます。

例えば、記述のWorkhorseが含まれている理由を推察すると、WorkhorseはEVトラックだけではなく、ドローンによるHorseflyという配達システムやMetronというGPSによるトラック追跡システムを開発しており、同社は受益企業 (Aerospace Beneficiary Companies) と言えるでしょう。

更に、Netflixは宇宙開発が進んだり、より身近になったりするとそれらを題材にしたドラマを作成することで利益を得る、つまりAerospace Beneficiary Companiesであるという見方もあります。

ARKXは宇宙空間での事業だけではなく、その技術やサービスを使って事業をする会社まで幅広く投資するETFです。

UFOとARKXは範囲が異なる

UFO、ARKXと各ETFを見てきました。

どちらも視点は空を見上げていますが、その範囲が異なることが分かります。今回の記事を書くにあたって調べた結果を図表にまとめてみました。

イラスト:Loose Drawing に図画、文字追加

UFOは高度100km以上で使われる技術を使った事業を行っている会社が対象。ARKXは衛星軌道だけでなく、それ以下の高度も対象。更に宇宙につながるであろう革新的/イノベーティブな技術開発をしている会社も含む。

となると、小松製作所が組み入れられている理由も想像できます。

ただ、幅が広いが故にARK Innovation ETF (ARKK) やAutonomous Technology & Robotics ETF (ARKQ) との考え方の違いが分かりにくくなってきた印象です。今後銘柄の入替も行われていくと思うので、次第に方向性が明確になるのではないでしょうか。

宇宙関連のETFふたつ。似てそうで組入銘柄が異なる。その理由は事業と収益の関係、海抜高度が異なることが分かりました。

購入することは出来ませんが、宇宙関連は将来有望と言われています。

銘柄研究の際に参考にしてみるのも面白そうです。