はじめての投資 9-3. 投資信託「THE 5G:次世代通信関連 世界株式戦略ファンド」とQQQの構成銘柄を比較

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「投資をしよう!」と思ったあなたに、細かい説明を極力省略して簡潔に説明をする「はじめての投資」です。


投資信託商品にどのようなものがあるのかを、ランキング比較で紹介し、買われている投資信託商品は信託報酬が高いことに着目しました。

信託報酬が高い投信信託の中で「THE 5G:次世代通信関連 世界株式戦略ファンド」を取り上げ、目論見書や運用報告書からの情報をまとめたのが前回までの記事です。

前回の記事でカバーしきれなかった、THE 5Gのポートフォリオを今回はQQQとの比較をしながら見ていきます。

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THE 5Gのポートフォリオ

THE 5G:上位10銘柄

THE 5Gは三井住友トラスト・アセットマネジメントのサイトにある「組入ファンドの保有明細(2019年12月30日)」という資料によると、2019年12月28日時点で46銘柄で構成されています。

前回の記事で紹介した2020年1月7日決算の運用報告書の44銘柄から、二銘柄増えています。加えて、上位10銘柄も前回記事にある顔ぶれとは一部変わってきます。データ取得のタイミングが文書により異なることによるのでしょう。

順位銘柄%
1太陽誘電4.38%
2ServiceNow Inc.3.72%
3T-Mobile US Inc.3.44%
4Xilinx Inc.3.41%
5Keysight Technologies Inc.3.41%
6Qorvo Inc.3.36%
7村田製作所3.35%
8Lumentum Holdings Inc.3.17%
9Analog Devices Inc.3.12%
10Altice USA Inc.3.09%
合計34.45%
三井住友トラスト・アセットマネジメント資料から書起し

最も割合が高い太陽誘電は、日本のメーカーです。私はThat’sというブランドのカセットテープでお世話になった会社ですが、現在は積層セラミックコンデンサ(MLCC)というスマートフォンや自動車をはじめとするIoT機器に組み込むコンデンサの受注で好調な会社です。

ServiceNowは企業のITヘルプデスクでサービスリクエストのチケットを切るシステムを提供というと、頭に浮かぶ方もいると思います。

T-Mobile USはドイツテレコムを筆頭株主に持つ携帯電話会社で、米国ではベライゾン、AT&Tに次ぐ規模です。

四位以下になってくると、聞いたことのない会社が出てきます。Xilinx、Qovo、Analog Devicesは半導体関連の会社。七位の村田製作所はご存じの方も多いでしょう。2019年はHUAWEIショック時には株価が大きく乱高下したように、通信機器関連のパーツを提供しています。

46銘柄を眺めると、消費者向けのサービスや商品を提供しているというよりも法人向けの会社が多いことに気づきます。

THE 5G:業種別構成

次に、THE 5Gを構成する銘柄が属する業種を見ます。

三井住友トラスト・アセットマネジメント資料を基に作成

Semiconductors(半導体関連)が四分の一を占めていて、銘柄数では20です。Telecommunicationsは9銘柄の15.81%となり、Internetは7銘柄で14.87%となります。

Telecommunicationsに含まれる会社には、上述のT-Mobile USやAT&T、China Mobileといった携帯電話会社の他に、Cisco Systemsや業務用無線機とサービスを提供するMotorola Solutionsなどがあります。

Internetでは、Amazon.com、Wix.comといった日本人でも聞いたことがある会社に加え、Proofpointと知っている人は知っている電子メールのセキュリティサービスを提供する会社が含まれます。

THE 5G:国別構成

THE 5Gは世界中に投資を行います。三分の二以上が米国で、日本、中国と続きます。

三井住友トラスト・アセットマネジメント資料を基に作成

この構成割合が歪かを検証するのに、MSCI World Index*と比較します。

*MSCIのFact Sheet Searchページで「World Index」でキーワード検索すると最新版が閲覧できます。

MSCI World Indexは日本を含む先進国の大型株と中型株を対象にした指数で、投資対象の性格上、先進国が中心となるTHE 5Gの国別構成に対して、参考程度にベンチマークにはなりそうです。

2020年5月29日時点の資料では、米国が65.82%とほぼ三分の二、日本が8.22%と続きます。THE 5Gの資料では中国、台湾、韓国などの詳細割合が分かりますが、MSCI World Indexの資料ではアジアの国々はおそらく「その他」に含まれているのではないでしょうか。その他の割合は14.96%です。

THE 5GとMSCI World Indexを構成する会社数が全く異なるので、あくまでも参考の比較となりますが、米国に偏っている様に見えるのは、それほど歪でもなさそうです。

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代用としてQQQ / iFree NEXT NASDAQ100はありか?

THE 5Gは複数国に渡り、半導体、通信、インターネット関連の会社に投資していることが分かりました。

しかしTHE 5Gで引っ掛かるのは、高い信託報酬だけではなく、今では十年残っていない短い投資期間です。コツコツと投資信託を積み立てていくのにはどうしても躊躇してしまいます。

そこで、テクノロジー関連が多いNASDAQ上場企業から構成されるNASDAQ100に投資しているETFのQQQ、ないしは投資信託のiFree NEXT NASDAQ100が代用にならないかを調べます。

下記はQQQの情報を基に掲載していきます。

QQQ:上位10銘柄

QQQの上位10銘柄は、2020年6月19日現在のものです。QQQは103銘柄で構成され、時価総額ではNASDAQの70-80%に達します。そして、上位10銘柄で54%を占めます。

順位銘柄%
1Apple Inc.11.80%
2Microsoft Corp11.45%
3Amazon.com Inc.10.27%
4Facebook Inc.4.43%
5Alphabet Inc. (Class A)3.78%
6Alphabet Inc. (Class C)3.76%
7Intel Corp2.51%
8NVIDIA Corp2.23%
9Adobe Inc.2.04%
10Netflix Inc.1.96%
合計54.23%
フィデリティ資料から作成

一覧にある会社名は一度は聞いたことがあると思います。また、5Gの普及時には何かしらの恩恵を受けそうな印象を受けます。

QQQ:業種別構成

業種名はTHE 5Gと完全に一致となりません。またQQQの上位十業種を掲載しているため、グラフの合計値は84.07%となります。

QQQの業種別構成を見ると、ソフトウエアが約17%で最も多く、半導体、インターネットおよびEC、インタラクティブメディア、ハードウエアが約12%となります。

業種をくくったセクター(産業)みると、Information TechnologyやCommunication Service企業への投資が多いことが分かります。

THE 5GとQQQの上位銘柄の重複

THE 5GとQQQの上位銘柄で重複を調べます。

THE 5G

THE 5Gは46銘柄で構成され、複数国を対象に投資銘柄を決めているため、重複の銘柄は少ないです。46銘柄中30銘柄が米国企業でQQQとの重複は十社のみです。結果として上位銘柄では三社だけです。

順位銘柄(%)
THE 5G
(%)
QQQ
1太陽誘電4.38%
2ServiceNow Inc.3.72%
3T-Mobile US Inc.3.44%1.30%
4Xilinx Inc.3.41%0.23%
5Keysight Technologies Inc.3.41%
6Qorvo Inc.3.36%
7村田製作所3.35%
8Lumentum Holdings Inc.3.17%
9Analog Devices Inc.3.12%0.44%
10Altice USA Inc.3.09%
合計34.45%1.97%
三井住友トラスト・アセットマネジメントとInvesco資料から書起し、作成

QQQ

逆もまた然りで、QQQの上位銘柄でTHE 5Gと重複するのは三社のみでした。

順位銘柄(%)
QQQ
(%)
THE 5G
1Apple Inc.11.80%
2Microsoft Corp11.45%1.55%
3Amazon.com Inc.10.27%0.91%
4Facebook Inc.4.43%
5Alphabet Inc. (Class A)3.78%
6Alphabet Inc. (Class C)3.76%
7Intel Corp2.51%
8NVIDIA Corp2.23%
9Adobe Inc.2.04%2.72%
10Netflix Inc.1.96%
合計54.23%5.18%
フィデリティと三井住友トラスト・アセットマネジメント資料から作成

比較のまとめ

今回は投資対象銘柄を中心に比較をしてきました。

情報が散らかってきたので、ここで一旦まとめます。

THE 5GQQQiFree NEXT NASDAQ100
投資商品投資信託ETF投資信託
つみたてNISA不可不可不可
信託期間2017年12月15日~2028年1月7日無期限無期限
投資対象*Next Generation Connectivity Fund JPY Unhedged ClassNASDAQ100NASDAQ100
投資対象銘柄数**46社(2019年12月30日)103社103社
信託報酬***年率1.188%(税抜1.08%)年率0.2%年率0.495%(税抜0.45%)
各社目論見書から作成

*投資対象は分かり易くするための表記
**QQQとiFree NEXT NASDAQ100は2020年6月19日現在
***QQQは税抜き

これらの比較に付け加えるならば、パフォーマンスです。

THE 5Gの運用報告書の期間2017年12月15日~2020年1月7日で騰落率を比較をします。

  • THE 5G:20.2%
  • QQQ:36.7%
  • iFree NEXT NASDAQ100は2018年8月31日設定であるため、騰落率は非掲載

QQQ / iFree NEXT NASDAQ100はTHE 5Gの代用となるでしょうか。

第五世代移動体通信というテーマにこだわり、銘柄選定をしたいという目的では、NASDAQ100の銘柄はテクノロジー系が多いとはいえ航空株、飲料株などが含まれます。そのノイズが邪魔であればQQQやiFree NEXT NASDAQ100は代用になり得ません。

一方で、THE 5Gの投資対象銘柄は通信サービスやメディアもあるとはいえ、半導体をはじめとするメーカーが中心です。5Gサービスでは機器製造に限らず、サービスを提供する会社にも裾野は広がることが見込まれるため、現在の構成銘柄では心もとないとも言えます。

そして投資の基本となる、時間と費用のコストが自分の投資目的に適っているかは大事な要素となります。

私はインデックス+α

前回、今回と二回に渡り、THE 5Gという今まさに熱い投資対象で運用する投資信託商品を深掘りしてきました。

私の投資の考え方は、投資信託やETFを積立購入し「バイ・アンド・ホールド」なので、償還期限が比較的目の前にある商品は選択肢に入りません。

さらに、プロのファンドマネージャー厳選の銘柄に投資をしているとは言っても、高額な信託報酬を支払わずとも ーあくまでも現時点ですがー それ以上のパフォーマンスを上げているインデックス投資で充分であると考えています。

すこし味付けを加えて退屈な投資にスパイスを入れるのであれば、運用会社の資料を参考にして、現在のインデックス投資に個別銘柄の売買を追加するというのが適切なのではないかと感じました。

あくまでも投資は自己責任なので、ご自身の判断でお願いします。