はじめての投資 9-1. 投資信託ランキングを見比べる

はじめての投資

「投資をしよう!」と思ったあなたに、細かい説明を極力省略して簡潔に説明をする「はじめての投資」です。

第九回は分割してお届けします。


「はじめての投資」第一回から八回までで、証券口座の開設からつみたてNISA口座で投資信託をするところまでを学びました。

投資の一歩として、つみたてNISA口座で積立が可能なインデックス投資に踏み出しているわけですが、ややもすれば「インデックス投資は退屈」とも言われます。

加えて、つみたてNISAのみでは充分ではない、と心配であれば、少し冒険したくなる気持ちが出てくることも否めません。

そこで、世の中にはどのような投信信託があるのかを見てみたいと思います。

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投資信託ランキング

どんな投資信託があるのか、闇雲に片っ端から見ていくよりも、ランキングという軸で見ていきます。

ただ、「ランキング」と言っても多様な切り口があります。ここでは次のふたつのランキングを参考にします。

ザイ・オンラインの2019年に買われた投資信託ランキングは「2019年に純資産額が増加した投資信託」という切り口です。純資産額が増加しているのであれば、多くの人が購入しているという考えです。

投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019は、投信ブロガーたちが、自分たちにとって本当によいと思える投資信託を投票で選ぶランキングです。「投資ブロガー」とはじ条件に適えば自称として投票可能で、最終判断は運営委員会が判断します。

この二つのランキングを並べてみます。

順位2019年に買われた
投資信託ランキング
投信ブロガーが選ぶ!
Fund of the Year 2019
1ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
2グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
3THE 5G[次世代通信関連 世界株式戦略ファンド]eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
4円奏会(毎月決算型)[東京海上・円資産バランスファンド]<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
5ダイワJ-REITオープン(毎月分配型) eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
6グローバル3倍3分法ファンド(隔月分配型)楽天・全米株式インデックス・ファンド
7円奏会(年1回決算型)[東京海上・円資産バランスファンド]セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
8J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型) グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)
9未来の世界[先進国ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)]バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)
10グローバル全生物ゲノム株式ファンド(1年決算型)SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド
*ザイ・オンラインと投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019のサイトから引用し表を再構成

2019年に買われた投資信託ランキングで2位、投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019で8位の「グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)」を除いて共通の商品がありません。

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各ランキングでの特徴

名称から特徴を探る

両者のランキングを眺めていると特徴が浮かび上がってきます。

例えば、2019年に買われた投資信託ランキングの投資信託には、インデックス投資信託ではなく、株式と債券など複数の投資対象を組み合わせたものや、テーマに特化したもの、分配金がある、といったことが商品名からわかります。

一方で、投資ブロガーが選んだ投資信託はインデックス投資の商品が目立ちます。

数値を使って特徴を探る

他にも特徴を探すべく、純資産と信託報酬を抜き出してみます。情報は2020年6月5日時点です。

2019年に買われた投資信託ランキング

順位2019年に買われた
投資信託ランキング
純資産額(億円)信託報(税込)
1ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) 10,286.721.81%
2グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)3,993.230.484%
3THE 5G[次世代通信関連 世界株式戦略ファンド]6,028.651.848%
4円奏会(毎月決算型)[東京海上・円資産バランスファンド]6,730.070.924%
5ダイワJ-REITオープン(毎月分配型) 2,956.560.792%
6グローバル3倍3分法ファンド(隔月分配型)2,125.560.484%
7円奏会(年1回決算型)[東京海上・円資産バランスファンド]2,873.100.924%
8J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型) 3,221.221.1%
9未来の世界[先進国ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)]1,297.121.87%
10グローバル全生物ゲノム株式ファンド(1年決算型)900.631.804%
*ザイ・オンライン、楽天証券および運用会社のサイトから引用し表を再構成

投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019

順位投信ブロガーが選ぶ!
Fund of the Year 2019
純資産額(億円)信託報(税込)
1eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)317.430.1144%
2eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)1,101.570.0968%
3eMAXIS Slim 先進国株式インデックス1,059.100.1023%
4<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド1,773.190.1023%
5eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)546.330.154%
6楽天・全米株式インデックス・ファンド1,091.110.162%
7セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド2,060.820.59%
8グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)3,993.230.484%
9バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)13.582億ドル0.08%(経費率)
10SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド406.050.0938%
*投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019、楽天証券、SBI証券、運用会社のサイトから引用し表を再構成

純資産額が異なる

この表を見て個人的に驚いたのは、2019年に買われた投信ランキングにある商品の純資産額です。年間で純資産が増えたという視点でのランキングなのですが、買われるだけあって純資産額が大きく、1位のピクテ・グローバル・インカム株式ファンドは10億円を超えています。

9位の未来の世界や、10位のグローバル全生物ゲノム株式ファンドは2019年1月に設定された若い投資信託商品にもかかわらず、一年未満で2018年7月に設定のeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)はおろか、2017年9月設定の楽天・全米株式インデックス・ファンドに匹敵、ないしは凌ぐ純資産額の投資信託となっています。

信託報酬が異なる

こちらは予測していた通りで、2019年に買われた投信ランキングに掲載されている投資信託の信託報酬が高額であることです。そのランキングの中で最も低いグローバル3倍3分法ファンドでも、0.484%となっていて、0.1%程度の数字を見慣れた私としては、信託報酬の違いに驚いています。

両者のランキングで信託報酬が最も高いTHE 5G[次世代通信関連 世界株式戦略ファンド](1.848%)と、最も低いSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド(0.0938%)の差は一目瞭然です。(※バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)はETFであるため、除外します。)

100万円の投資信託を保有していると、前者では18,480円が毎年手数料としてかかるのに対し、後者は938円です。実際には信託報酬は毎日計算されるため、ここにある金額はあくまでも目安として考える必要があるといっても、この差は無視しにくいです。

信託報酬が高い商品を深掘り(つづく)

この記事では売れ筋と投資に関するブログを書いている人が選択する商品の違いを見てきました。

ランキングの差異は商品だけではなく、信託報酬にも差があることが確認できました。

次の記事「9-2. 投資信託商品「THE 5G:次世代通信関連 世界株式戦略ファンド」を深掘り」では、目論見書、運用報告書などからいくつかの情報を抜粋して特徴を探っていきます。