GameStop(GME)株の暴騰と買付停止まで、何が起きたか(ゆっくり解説動画あり)

テスラ(イーロン・マスク)

ゲーム関連株はActivision Blizzard(ATVI)とCorsair Gaming(CRSR)を保有しているのですが、GameStop(GME)は視野には入っていませんでした。

しかし、1月27日夜にYahoo! Financeで株価確認をしていたところ、同社株が話題になっていることを知りました。1月28日には株価はとんでもないことになり、一時は483ドルをつけています。

10ドルを下回っていた株が一体なぜここまで暴騰したのか。

そして不思議なことに、米国の一部証券会社では個人投資家の買付ができなくなり、私が取引している楽天証券でも買付ができなくなりました。

米国の金融市場は透明性が高い先進的な市場と思っていましたが、今回は疑問を感じ得ない面があり、記録として認めます。

スポンサーリンク

GameStopとは?

ゲームの販売会社

GameStopはテキサスに本社がある、ゲーム、家電、コレクションアイテムなどの小売店です。日本で言うとヨドバシカメラ? でもないしソフマップとも違うし、まんだらけでもなく、合致する会社が見当たりません。

同社のビジネスは実店舗での販売が主たるものとなります。このビジネスモデルであるが故に、業績は芳しくなく、2019年、2020年は赤字となっていました。

株価

決算で損益を出している2019年から2020年の株価を見てみると、2019年前半から下落しはじめ、10ドルを下回る期間が一年近く続きます。

Yahoo! Finance(GME、2019~2020年の株価推移)

しかし2020年9月以降は株価を上げています。その理由はいくつかありそうです。

まずは、2020年8月から12月にかけてペット用品通販会社であるChewy(CHWY)の創業者Ryan Cohen氏がGameStopの280万株を超える株を購入しました。

この株の購入には伏線があります。2021年1月11日のGameStopのニュースリリースではRyan Cohen氏を含み、かつてのChewyの役員三人がGameStopの役員に就任。会社のビジネスをオンラインに転換させていく予定です。

加えてGameStopのような業態は新型ゲーム機の販売により業績が上がることが見込まれるため、2020年11月に発売されたPS5とXbox Series Xによる売上上昇が期待されて株が買われていることが推測されます。

更に、マイクロソフトとGameStopの契約の噂が2020年10月にありました。それは店舗で販売されたXbox本体に対して、ゲームのダウンロード販売が発生した場合など収益をマイクロソフトとGameStopでシェアするという内容です。この話は一時的に盛り上がった様子ですが、続報が見つけられず実際のところは不明です。

いずれにしても、株価の上昇には理由がありそうでした。

スポンサーリンク

何が起こったか

概略をゆっくり解説動画にて

概略をゆっくり解説動画にまとめています。まずは文字情報よりも動画で把握したいという場合は、ぜひご覧ください。

【ゆっくり解説】GameStop株 – 2021年1月最終週までに何が起きたのか?

空売り

ヘッジファンドと呼ばれる機関投資家がいます。ヘッジファンドである必要もないのですが、機関投資家は株式の売買を「安い時に買って、高い時に売る」という現物取引以外の手法も積極的に使います。

実は、株式を安い時に買って、値上がったものを売ってその差額を利益とするだけではなく、高い株が安値になっても利益を得ることができます。

それが空売りと呼ばれる取引で、SMBC日興証券の説明が分かりやすいので、引用します。

空売りは、証券会社から株式を借りて売り建て、決済期日までに買い戻して株式を返却し、その差額で利益を狙う取引です。
現物取引では、株価が下落する局面に遭遇した場合、投資行為自体を見送るか、株価が下げ止まるのを待つことしかできませんが、信用取引の空売りを活用すれば、逆風の投資環境下においても、利益を得ることが可能となります。

https://www.smbcnikko.co.jp/products/stock/margin/knowledge/012.html

下がることを前提としている取引の中では儲けが出やすいと言えます。ヘッジファンドを運用する投資家はどのような相場でも利益を出したいので、空売りも活用しています。

元々の目論見

GameStopは小売の実店舗を持っており、オンライン取引の増加やゲームのダウンロード販売が主流になりつつある現在、ビジネスモデルとしては古臭いとも言えます。

こういった斜陽産業にある会社は機関投資家にとっては、株価が下がる、つまり空売りすれば儲かる可能性が非常に高いと言えます。

冷静に考えると、ビジネスを成長させて儲けを出し、かつ将来株価が上がる会社を探しだして、株価が上がるまでじっくりと待つよりも、行き詰まりのある会社を見つけ出し、息の根が止まることに賭けた方が儲けやすそうです。

正月の記事でも言及しましたが、空売りで儲けている機関投資家はあらゆる手段を取っていて、例えば、ややもすれば風評被害を招きそうなレポートを発行し、個人投資家の狼狽売りを煽って株価下落を狙うこともあります。

そのため、空売りで儲けを狙っていた投資家にとってGameStopの株価が上がることは困ります。

外れた目論見

機関投資家は空売りを仕掛けていたのですが、年末から目論見が狂い始めます。

上述のRyan Cohen氏による株の買付、新型ゲーム機の発売、マイクロソフトとの契約は安すぎる株価を上昇させる材料となります。

既に空売りを仕掛けています。期日が来たものは買い戻しが必要なのですが、GameStopの株式で市場で売買されている数量は多くなく、空売り数量を下回ります。

株価は需給関係で決まるため、大きな需要に対する極度に少ない供給は株価を押し上げていきます。

突然の株価上昇と大きな空売りの信用残。これに気づいたのが、Redditという米国の巨大掲示板の「Wall Street Bets」というコミュニティにいる個人投資家達。

個人投資家がGameStopの株を買って、そのまま保有し続ければ高値どまりする。すると、空売りを仕掛けている機関投資家は決済期日までに株の買い戻しをする必要があり、株を高値で買い戻さなければいけない。

機関投資家は高額な株価で買い戻せは大きな損失を被ります。

GameStop株価

このような経緯でGameStopの株価が一時483ドルまで届く事態となりました。3ドル、4ドルの頃から見れば100倍の値です。

Yahoo! Finance(GME、2020年1月の株価推移)

後だしでルールを変えられた

2021年1月28日のNY市場は、GameStopに限らず、同じような目に遭っている株も乱高下しています。最も有名な銘柄は映画館を経営しているAMC Entertainment Holdings(AMC)も100倍とは行かないまでも五倍程度の暴騰です。

個人投資家は株を買えない?

同日米国では、Robinhood、Eトレードをはじめとするいくつかの証券会社でGameStopの株式買付が、現地時間の1月28日 午前10:00に停止されました。

楽天証券でも日本時間の2021年1月29日 0:11のお知らせで買付が停止されています。続報が入り、日本時間の1月29日 18:55には解消されたとの連絡が入っています。

この買付が出来ず、売付しかできない状況に、米国の個人投資家は怒りをあらわにしています。

2月に入ってすぐ、イーロン・マスクとRobinhoodのCEOであるVladimir Tenev(日本語読みはウラジミール・テネフ)とのClubhouse上での会話で担保の支払いなどの理由が話されました。イーロン・マスクは「誰か人質に取られてないか?」と冗談を言っているところに駆け引きを感じます。

怒れる人たちの言い分

今回、個人投資家達が取った行動は株価操作という意見もありますが、特に違法性はないと考えられています。

個人的には掲示板での会話で起きた事柄は日本流に言えば「祭り」が発生したというものと捉えています。

要人の発言やニュースで株価は動きますが、それは株価操作といいません。ただし、事前にその話を知っているという立場を利用して株式を売買するのは株価操作ではありませんが、インサイダー取引という犯罪となります。

機関投資家は違法スレスレで株価を操作し、個人投資家に損をさせ、自分達はおいしい思いをしている。今回立場が逆になったからと、個人投資家の取引を制限するところまで手を回すのはおかしいのではないか、という意見も見かけました。

自分(ウォール街の金持ち)達が作ったルールで、自分が設けているうちは何も言わないけど、負けた途端にルールを変えようとするのは汚い、という発言もあります。

加えて興味深いことに、あのイーロン・マスクが立腹の様子で、本件について二回ツイートしています。直近のものは下記にある通り少々皮肉が利いています。

実際に何が起きているのかは分からず推測するしかありませんが、怒れる人たちの言い分を端から拒絶できるものではありません。実際に海を超えた日本でも買えなくなったことは事実で、記憶の範囲でこのような話は聞いたことがありません。

この後何が起きるのか、このままフェードアウトするのかは分かりませんが、モヤモヤする事象です。

同様のことは日本では起きるのか?

日米ともに空売りや信用取引の仕組みを完全に理解しているわけではないのですが、日本ではストップ高、ストップ安の仕組みがあるため、1月28日のGameStop株のような四倍以上の値動きをすることはありません。

なので、このようなことが起きることはないと考えています。

一方で、米国株はサーキットブレーカーという市場全体での取引停止はあっても個別銘柄の取引を売買ともに止めるという仕組みがないため、予想もしないところで巻き込まれることがあるという事が分かりました。

ただ、米国人も今回の事件は「かつてない」という表現をしているので、誰も予想できなかったのでしょう。


GameStop株の件は続きそうです。この記事の続編としてRobinhoodがしたことについて、その背景として噂されている話を別記事にしています。