未来のFAANGに投資するゴールドマンサックスのETF – GTEK(動画解説あり)

動画解説(メカブ投資channel)

FAANG、GAFA、GAFAMと様々な呼称はありますが、米国のビッグテックと言った会社に投資をしようと思うと一株購入にも多額の資金を要するケースがあります。

値がさ株となった銘柄も、かつては低廉な株価であった時期もあり、企業の成長と共に株価が上昇、ひいては時価増額の大きな巨大企業となっています。

ゴールドマンサックスが、2021年9月に運用を開始した新たなETF、Goldman Sachs Future Tech Leaders Equity ETF (GTEK)は、次世代のビッグテック候補となる企業をポートフォリオに組み込んだものとなります。

何か聞き覚えのあるフレーズ。デジャブかな?

イラスト:Loose Drawing

米国では、ARK InvestのETFが競合として引き合いに出され、報じられています。

ただ、ゴールドマンサックスのポートフォリオマネージャーであるSung Cho氏は、ARK Investの名を挙げながらも、投資対象企業の半分近くが米国外であること、時価総額が1,000億ドル未満であることに言及し、棲み分けを示唆しています。

さて、この新しいETFはどのようなものか、見てみましょう。

スポンサーリンク

国内の主要なネット証券などでは買えない

私が現在取引している楽天証券ではGoldman Sachs Future Tech Leaders Equity ETF (GTEK) を購入することは出来ません。SBI証券やマネックス証券でも取り扱いはありませんでした。

なお、サクソバンク証券は「2,700銘柄のETFやETN」と謳っているので、扱っていそうな雰囲気ですが、取扱いは確認できていません。

過去の別記事でUFOを扱いました。その時に触れたことと同じように、現在買えない銘柄であったとしても、どのような考えで、どんな銘柄を組み込んでいるかを見ることは悪くないと思います。

スポンサーリンク

VOICEROID解説動画

GTEKについてもVOICEROIDによる解説動画を作成しました。動画内の情報は作成時のものですのでご了承ください。

Goldman Sachs Future Tech Leaders Equity ETF (GTEK) の基礎情報

本ETFの基礎情報を確認します。

設定日2021年9月14日
運用会社Goldman Sachs Asset Management
経費率0.75%
純資産2億3,496万ドル
2023年6月2日時点

経費率は、この種のアクティブ運用のETFと同水準となっています。そして、純資産はこの記事の初稿を書いた2021年9月時点の7,900万ドルから、約四倍にまで膨らんでるのに反して、株価は2023年6月2日終値が25.13ドルで、設定来の騰落率は -30% 程度の落ち込みです。

組入銘柄

組入銘柄

2023年6月1日時点の組入銘柄数は62です、本記事の初稿を書いた2021年9月21日時点では66銘柄だったので、銘柄数を見れば4つ減っています。

個別に銘柄の入替状況を見ると、22銘柄が新規で、二年以内にかなりの入替わりが起きていると言えます。

2021年9月21日および2023年6月1日付、Goldman Sachs Asset Managementのデータから筆者作成、記載は組入比率の降順

2023年5月のNVIDIA決算発表で物色されたMarvell Technologies (MRVL) は2021年9月、2023年6月共に、3.14%と最も高い組入。人事基幹システムを提供しているWorkday (WDAY) も一時期AI関連と注目された時期があり、当該銘柄も上位10銘柄に含まれています。

一方、顧客サービスのプラットフォーム提供のTwilio (TWLO)は組入銘柄から外れているだけではなく、意外にもC3.ai (AI)も外れています。

米国外の銘柄に目を向けると、2020年頃に米国人の投資系YouTuberが頻繁に触れていたMercadoLibre (MELI) は健在。そして、日本企業は四銘柄のままですが、TDKではなく、浜松ホトニクスと入れ替わっています。

  • HOYA(7741):2.07% → 2.35%
  • 日本電産(6594):1.82% → 1.36%
  • 東京エレクトロン(8035):1.75% → 1.47%
  • TDK(6762):1.02% → なし
  • 浜松ホトニクス(6965):なし → 1.60%

GTEKは組入銘柄の時価総額を1,000億ドル未満としています。1,000億ドルを日本円に換算すると、13兆円を超えます。日本で時価総額が13兆円を超える企業は以下の四社です。(参考:みんかぶ、2023年6月2日時点)

余談ですが、2021年は日本円換算で10兆円と閾値を置いてたため六社ありましたが、四社に減ってしまいました。日本も安くなり寂しいものです。

  1. トヨタ(7203):32,784.967百万円
  2. ソニーグループ(6758):17.087,658百万円
  3. キーエンス(6861):17,031,834百万円
  4. NTT(9432):14,632,931百万円

時価総額に制限を設けているため、小さめの会社に投資と勝手に思っていたものの、日本人の感覚としてはHOYAや日本電産は大企業。

ビックテックがいかに巨大なのか。Appleの時価総額はおよそ2.8兆ドル。日本円では360兆円を超えており、比較になりません。

セクター構成

セクター構成を2021年9月と比較します。IT関連の比率は更に高くなり七割を超えています。ITに次いでコミュニケーションという順位は変わりません。そして、2021年には無かった金融が、三番目というのも大きな変化です。

2021年9月21日および2023年6月1日付、Goldman Sachs Asset Managementのデータから筆者作成

国別構成

当初、投資の半分近くを米国外にすると言っていたような気がするのですが、米国の比率が小さくなるどころか、僅かに大きくなっています。また、かつては日本は二番目でしたが、台湾と中国に抜かれています。

2021年9月21日および2023年6月1日付、Goldman Sachs Asset Managementのデータから筆者作成

目論見書に書かれていること

本ETFの特徴を探るべく、目論見書を見てみます。

Invest Objective

目論見書の最初に必ず記載されている目的は、「The Goldman Sachs Future Tech Leaders Equity ETF (the “Fund”) seeks long-term growth of capital.」となっており、長期的な成長を狙っています。

Principal Investment Strategies

非常に長く説明がなされているので、いくつか抜粋します。

  • 資産の80%以上を国内外の株式に投資
  • 時価総額が1,000億ドル未満の企業を対象
  • 銘柄選定に際しては現在の市場を打破、より効率化を図る技術を持っている企業を対象
    • 選定に際して、ESGの要素も加味することがある

その他

銘柄入替の時期や考え方を探したのですが、該当する者は見当たりませんでした。インデックスファンドと異なりますね。

また、分配金が発生した場合は、ETFを保有している投資家に支払いが行われ、再投資をすることはありません。

株価

最後に株価を確認します。

設定後すぐ、株価下落に遭遇してからやや戻りを見せたものの、2022年の下落相場と同期するように価格は下がっています。2023年の前半から少しずつ戻り始めています。

参考までに下記チャートの「QQQ」をクリックするとQQQの値動きを見ることも出来ます。

「AIバブル」と囁かれ始めています。メタバースバブルよりも盛り上がってはいる印象ですが、GTEKがどの様になっていくのか。どこかの機会に見てみたいと思います。