「eMAXIS Neo」というキーワードで当ブログを訪問する件数が、2021年に入って増えてきました。
検索されている単語、フレーズで多いものは「eMAXIS Neo 自動運転」「eMAXIS Neo 自動運転 構成銘柄」など。なぜ、このキーワードで検索が増えるのか。
三菱UFJ国際投信のサイトで、eMAXIS Neo 自動運転のリターンを見てみると、一年で117.7%、三年では122.9%と紹介されています。
このリターンはベンチマークのS&P Kensho Autonomous Vehicles Indexだそうです。ちなみに、2021年2月19日時点におけるファンドの過去一年の騰落率は122.51%です。いずれにしても、元手が1.2倍になるという成長。
ここで頭打ちになることはなく、今後も成長が見込まれそうであることは想像に難くなく、読者の検索が増えていることに繋がっていると考えられます、
米国でも自動運転に関連するテーマは熱く、ARKQというティッカーで取引されているAutonomous Technology & Robotics ETFの動きは注目され、ファンドを運営しているキャシー・ウッドがどこに投資しているかというのを個人投資家たちは気にしています。
さて、過去記事でeMAXIS NeoフィンテックとeMAXIS Neo遺伝子工学をARK InvestのEFTと比較してきました。
これらに続き、今回は自動運転に関連するテーマで比較をします。
eMAXIS NeoとARK Invest ETFのテーマをマッピング
eMAXIS Neoの九つのテーマをARK InvestのETFの五つのテーマにマッピングしたものを掲載します。これは、別記事で作成した表と同じもので、私の独断と偏見に基づきます。
eMAXIS Neo | ARK |
---|---|
ナノテクノロジー | ARK Innovation ETF (ARKK) |
自動運転 ドローン ロボット | Autonomous Technology & Robotics ETF (ARKQ) |
バーチャルリアリティー ウェアラブル | Next Generation Internet ETF (ARKW) |
遺伝子工学 | Genomic Revolution ETF (ARKG) |
フィンテック | Fintech Innovation ETF (ARKF) |
宇宙開発 | Space Exploration (ARKX) 2020年3月開始予定 |
Autonomous Technology & Robotics ETF (ARKQ) で網羅しているテーマは、eMAXISに当てはめると、自動運転、ドローン、ロボットの三つのテーマが当てはまるのではないかと考えています。
比較:eMAXISとAutonomous Technology & Robotics ETF (ARKQ)
基礎情報
今回はeMAXISが複数ある比較となります。
eMAXIS Neo 自動運転 | eMAXIS Neo ドローン | eMAXIS Neo ロボット | ARKQ | |
---|---|---|---|---|
設定日 | 2019年5月28日 | 2018年12月31日 | 2018年8月6日 | 2014年9月30日 |
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 | 三菱UFJ国際投信 | 三菱UFJ国際投信 | ARK Invest |
信託報酬/経費率 | 0.792% (税抜 0.72%) | 0.792% (税抜 0.72%) | 0.792% (税抜 0.72%) | 0.75% |
信託報酬+売買委託手数料などの隠れコスト* | 1.160% | 0.966% | 0.963% | — |
総資産** | 281.42億円 | 33.71億円 | 12.77億円 | 170億ドル |
eMAXIS Neoの自動運転は三つのファンドの中で最も新しいにもかかわらず、総資産額がドローンやロボットよりも桁違いで多く、人気ぶりがここでも想像できます。
取扱い証券会社・銀行
eMAXIS Neo
取り扱いのある証券会社と銀行は、以下の16です。証券会社、銀行によって扱うファンドが異なります。
- 岩井コスモ証券
- auカブコム証券
- SBI証券
- 岡三オンライン証券
- 紀陽銀行
- ジャパンネット銀行
- 西日本シティTT証券
- 松井証券
- マネックス証券
- 丸三証券(マルサントレードのみ)
- 三菱UFJ銀行
- 三菱UFJ国際投信
- 三菱UFJ信託銀行
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 水戸証券
- 楽天証券
ARK
ARKのETFはサクソバンク証券およびIG証券の二社で、前者のサクソバンク証券は特定口座を開設することが出来るので、検討余地がありそうです。
組入銘柄
eMAXIS Neoの組入銘柄情報はPDFから拾う必要があるため、上位銘柄の掲載にとどめます。全銘柄の詳細は運用報告書で閲覧可能です。
eMAXIS Neo 上位十銘柄
各ファンドの組入銘柄総数は以下の通りです。
- eMAXIS Neo 自動運転:22
- eMAXIS Neo ドローン:24
- eMAXIS Neo ロボット:32
どれも組入銘柄数は20~30前後と、少な目な印象です。それ故に上位銘柄と言っても構成銘柄の半分近くを占めるものもあります。
eMAXIS Neo 自動運転 | eMAXIS Neo ドローン | eMAXIS Neo ロボット | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
1 | TESLA INC | 8.4% | AGEAGLE AERIAL SYSTEMS INC | 20.5% | IROBOT CORP | 5.8% |
2 | AMBARELLA INC | 7.2% | AEROVIRONMENT INC | 6.5% | ULTRA CLEAN HOLDINGS INC | 4.9% |
3 | VEONEER INC | 6.8% | KRATOS DEFENSE & SECURITY | 6.1% | OMNICELL INC | 4.2% |
4 | NIO INC – ADR | 6.0% | TEXTRON INC | 4.6% | TERADYNE INC | 4.1% |
5 | GENERAL MOTORS CO | 6.0% | RAYTHEON TECHNOLOGIES CORP | 4.4% | BROOKS AUTOMATION INC | 4.1% |
6 | FORD MOTOR CO | 5.9% | BOEING CO/THE | 4.3% | JOHN BEAN TECHNOLOGIES CORP | 4.1% |
7 | VISTEON CORP | 5.9% | LOCKHEED MARTIN CORP | 3.9% | GLOBUS MEDICAL INC – A | 4.0% |
8 | APTIV PLC | 5.6% | AMBARELLA INC | 3.8% | ABB LTD-SPON ADR | 4.0% |
9 | BAIDU INC – SPON ADR | 4.7% | IRIDIUM COMMUNICATIONS INC | 3.8% | BARNES GROUP INC | 3.9% |
10 | XPERI HOLDING CORP | 4.0% | WORKHORSE GROUP INC | 3.5% | INTUITIVE SURGICAL INC | 3.8% |
ARKQ上位十位銘柄
ARKQの組入銘柄は2012年2月19日時点で49銘柄で、上位十銘柄は以下の通りです。
ARKQ | 比率 | |
---|---|---|
1 | TESLA INC | 9.73% |
2 | BAIDU INC – SPON ADR | 5.67% |
3 | JD.COM INC-ADR | 4.52% |
4 | DEERE & CO | 4.43% |
5 | TRIMBLE INC | 4.35% |
6 | TERADYNE INC | 3.75% |
7 | KRATOS DEFENSE & SECURITY | 3.67% |
8 | ALPHABET INC-CL C | 3.61% |
9 | MATERIALISE NV-ADR | 3.23% |
10 | NXP SEMICONDUCTORS NV | 3.15% |
重複銘柄
ARKQの49銘柄とeMAXIS Neoの三つのファンドが保有する銘柄の対照表を示します。留意点として、銘柄はARKQは2021年2月19日時点、eMAXIS Neoは2020年8月17日時点で、同条件の対比とはなっていません。
縦方向にARKQの組入銘柄を列挙。右列記載の各ファンドで組み入れられていれば、「X」印が付記されています。
ARKQとeMAXIS Neoで重複する銘柄数は、
- eMAXIS Neo 自動運転:7
- eMAXIS Neo ドローン:9
- eMAXIS Neo ロボット:5
と、ドローンと重複する銘柄が最も多いことが確認できました。
ただし、全般的に重複銘柄は多くありません。
ARKQの組入銘柄には、Waymoという自動運転の部門を持つGoogle(Alphabet)、Apple Carの噂があるApple、米国郵政公社の配達トラック採用の期待が集まるWorkhorseといった会社があります。
またARKQで変わり種と感じるのは、3DプリンティングのNano Dimension、宇宙旅行および超音速航空のVirgin Galacticといった会社が含まれていることです。
一方で、eMAXIS Neoの自動運転にはGeneral MotorsやFord、トヨタといった、いわゆる自動車メーカーが含まれ、テーマに対する考え方の違いを感じます。
余談ですが、米国の自動車メーカーはEVや燃料電池車へのシフトを打ち出しています。
特にGeneral Motorsは賛否両論はありこそすれNikolaとの提携が2020年にあったり、企業ロゴも将来への転換に合わせて変更したりしており、ファンドに組み入れられるのは理解できなくはありません。
eMAXIS NeoとARKの重複から注目銘柄を考える
本来は組入比率も加味するべきところですが、eMAXIS Neoの組入銘柄の比率を算出していないため、ファンドとETFに採用されている数で拾い上げていますが、注目したい銘柄を挙げます。
Elbit Sytems (ESLT)
ARKQ、eMAXIS Neoドローン、eMAXIS Neoロボットで組入れ。
医療用診断機、自動車用の暗視装置、およびスポーツ向けのスマートグラスといった民生品だけではなく、軍事向けの製品を開発、製造しています。その中には無人航空機システムや陸上船舶輸送のシステムがあります。
株価は新型コロナウイルスでの下落から戻ったと思ったら、2020年夏に暴落しています。現在は回復中という動きでしょうか。
FLIR Systems (FLIR)
ARKQ、eMAXIS Neoドローン、eMAXIS Neoロボットで組入れ。
赤外線イメージングシステムや可視光イメージングシステムといったイメージングシステムの開発の他、計測・診断システムおよび脅威を検知するためのソリューション提供を行っています。ロボットやドローンそのものではないですが、中に入る部品を作っています。
株価は新型コロナウイルスでの下落前の水準に戻ってきています。
Lockheed Martin
ARKQ、eMAXIS Neoドローン、eMAXIS Neoロボットで組入れ。
過去の配当株物色記事でも触れたばかりの会社です。言わずとしれた防衛産業。航空宇宙関連、防衛関連の機器を開発および製造を行っており、宇宙開発でも注目をされつつあります。
新型コロナウイルスでの下落から株価は戻ったように見えますが、2020年秋以降じわじわと株価を下げています。
NVIDIA
ARKQ、eMAXIS Neo自動運転、eMAXIS Neoドローンで組入れ。
PCを自作する、もしくはPC関連に興味のある人には馴染みがある会社です。GeForceシリーズのGPUを開発、製造しています。AIに特化したプロセッサの開発も行われており、自動運転向けのチップセットを自動車市場に提供しています。
2020年3月を境に株価は上昇していますが、2020年後半は500ドル前後の踊り場で推移していました。最近になり600ドルの大台を目指しています。
ファンドやETFの変則的な活用方法
両者の比較をしてきて、この記事をどの様にまとめるか非常に悩んでしまいます。
テーマに基づき、企業を分析して組み入れるARK InvestのETFには一見関係なさそうな銘柄が含まれていてますが、その企業の事業を調べると「なるほど」と思うことがあります。
細かく分かれたテーマに対してAIが選定するeMAXIS Neoの銘柄には、意外な発見は少なく、「この分野では、この辺りの企業が狙い目」なのか、という印象を抱きます。
ARKのETFは現在取引している証券会社では取扱いは無い。そこで代替としてeMAXIS Neoに1%前後の費用を支払いながら保有するかというと、その選択肢は私にはありません。
理由は、投資信託にテーマを求めることは考えておらず、テーマよりもむしろ企業の事業内容から個別銘柄を選定するほうが、自分の中では納得できるためです。
情報収集の手段として、これらファンドやETFの公開情報は役に立ちます。特に、ARKは常に保有銘柄の情報更新を行っているため、売買の状況もリアルタイムとは言えないまでも、タイムリーに把握可能です。
そういった情報を見ながら個別株の選定をしていくのが、私のテーマ別の投資信託、ETFの活用方法です。
もちろん、これは数多ある投資のやり方の一つであって、「○○のテーマで、あの銘柄もこの銘柄も、そしてその銘柄も持ちたい」というのであれば、投資信託を活用するほうが適しているといえるでしょう。
最終的には、自分の資金、時間といったリソースを何に割いて投資をするかという事に他なりません。