AIが銘柄選定する投資信託eMAXIS NeoとARKを比較してみる – 遺伝子工学編

投資

三菱UFJ国際投信のeMAXIS NeoとARK InvestのETFとの比較記事を2020年11月に書きました。

eMAXIS NeoとARKのETFのテーマ分けが異なるため、Apple-to-Appleでの比較が出来そうなものが限定的です。

前回はフィンテックで比較をしてみました。改めて両社のテーマを見比べ、遺伝子工学は比較可能な気がしたため今回記事にします。

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eMAXIS NeoとARK Invest ETFのテーマは何が異なる?

eMAXIS Neoは、S&P Globalのグループ会社であるKensho社のインデックスをベンチマークとする投資信託です。

Kensho社のAIが選択するインデックスには九つのテーマがあり、バーチャルリアリティ、自動運転など名前を見るだけで未来な雰囲気を醸し出しています。

一方で、創業者のキャシー・ウッドがファンド運営をするARK InvestのETFは五つのテーマに分かれ、未来の生活を変える破壊的イノベーションを持つ企業への投資を方針としています。

下記にeMAXIS NeoとARKのETFの各テーマをマッピングしてみました。言わずもがな、このマッピングは私の独断と偏見です。

eMAXIS NeoARK
ナノテクノロジーARK Innovation ETF (ARKK)
自動運転
ドローン
ロボット
Autonomous Technology & Robotics ETF (ARKQ)
バーチャルリアリティー
ウェアラブル
Next Generation Internet ETF (ARKW)
遺伝子工学Genomic Revolution ETF (ARKG)
フィンテックFintech Innovation ETF (ARKF)
宇宙開発Space Exploration (ARKX) 2020年3月開始予定

eMAXIS Neoのナノテクノロジーは行き先がなく、しかしイノベーションの基礎技術だからARKKに近いかな、バーチャルリアリティとウェアラブルはインターネットと相性がよさそうだから、ARKWに似ているかも、というくくりにしました。

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比較:eMAXIS Neo 遺伝子工学とGenomic Revolution ETF (ARKG)

Apple-to-Appleで比較できそうなものが、遺伝子工学とGenomic Revolutionという事で早速見ていきましょう。

基礎情報

eMAXIS Neo遺伝子工学、Genomic Revolution ETF (ARKG) 共にフィンテックの投資信託、ETFより設定日が古く、ARKGに至っては七年近く前に設定されています。

信託報酬は両者で近い水準ですが、eMAXIS Neoには信託報酬に加えて、売買委託手数料、有価証券取引税、その他費用といった隠れコストもあります。2020年8月17日付の運用報告書を見ると、信託報酬および他の費用で1.096%になります。

総資産は二桁の差があります。

eMAXIS Neo遺伝子工学Genomic Revolution ETF (ARKG)
設定日2018年8月6日2014年10月31日
運用会社三菱UFJ国際投信ARK Invest
信託報酬0.792%(税抜 0.72%)0.75%
総資産22.51億円
2021年2月12日時点
76.7億ドル
2020年12月31日時点

取扱い証券・銀行

eMAXIS Neo

取り扱っている証券会社と銀行は、以下の16です。証券会社、銀行によっては扱っているファンドが異なります。

  • 岩井コスモ証券
  • auカブコム証券
  • SBI証券
  • 岡三オンライン証券
  • 紀陽銀行
  • ジャパンネット銀行
  • 西日本シティTT証券
  • 松井証券
  • マネックス証券
  • 丸三証券(マルサントレードのみ)
  • 三菱UFJ銀行
  • 三菱UFJ国際投信
  • 三菱UFJ信託銀行
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
  • 水戸証券
  • 楽天証券

ARK

対するARKのETFはサクソバンク証券およびIG証券の二社です。

組入銘柄

各商品の組入銘柄を比較します。

前回記事と同様に、銘柄一覧の公開がPDFとなっているeMAXIS Neoと、CSVファイルのARK Investでは作表も一筋縄ではいきません。なので、今回も上位十銘柄の比較のみにとどめます。

eMAXIS Neo 遺伝子工学上位十銘柄

下記が上位十銘柄です。2021年1月29日時点での銘柄数は54です。

eMAXIS銘柄比率ARKG有無
1NANTKWEST INC3.5%無し
2EDITAS MEDICINE INC3.4%無し
3VIR BIOTECHNOLOGY INC3.2%無し
4INTELLIA THERAPEUTICS INC2.9%有り(1.14%)
5FATE THERAPEUTICS INC2.8%有り(3.22%)
6LIGAND PHARMACEUTICALS2.7%無し
7KRYSTAL BIOTECH INC2.6%無し
8VERICEL CORP2.6%無し
9ROCKET PHARMACEUTICALS INC2.4%無し
10CRISPR THERAPEUTICS AG2.4%有り(2.85%)
eMAXIS Neo:2021年1月29日時点、ARKG:2021年2月12日時点

ARKG上位十位銘柄

ARKGは2012年2月12日で55銘柄を有しており、以下が上位十銘柄です。

Genomic Revolution ETF (ARKG)比率eMAXIS有無
1TELADOC HEALTH INC8.11%無し
2PACIFIC BIOSCIENCES OF CALIF6.64%無し
3TWIST BIOSCIENCE CORP5.00%有り*
4REGENERON PHARMACEUTICALS4.13%有り*
5EXACT SCIENCES CORP4.11%無し
6CAREDX INC3.77%無し
7ROCHE HOLDINGS LTD-SPONS ADR3.77%無し
8NOVARTIS AG-SPONSORED ADR3.49%有り*
9VERTEX PHARMACEUTICALS INC3.38%有り*
10FATE THERAPEUTICS INC3.22%有り(2.8%)
eMAXIS Neo:2021年1月29日時点、ARKG:2021年2月12日時点、「*」はeMAXISでも保有しているが比率不明

重複は12銘柄

一社一社何をしている会社かを調べてはいないので、eMAXIS NeoとARKGの特徴を導き出すのは難しいものの、重複はフィンテックと同様に多くないことが分かりました。

重複銘柄

両者で組み入れられている銘柄は以下の通りです。

  • CELLECTIS – ADR
  • CODEXIS INC
  • CRISPR THERAPEUTICS AG
  • EDITAS MEDICINE INC
  • FATE THERAPEUTICS INC
  • INTELLIA THERAPEUTICS INC
  • IOVANCE BIOTHERAPEUTICS INC
  • REGENERON PHARMACEUTICALS
  • SYROS PHARMACEUTICALS INC
  • THERMO FISHER SCIENTIFIC INC
  • TWIST BIOSCIENCE CORP
  • VERTEX PHARMACEUTICALS INC

上記銘柄の中で、上位十銘柄での重複はFATE THERAPEUTICSのみでした。

FATE THERAPEUTICSはがんや免疫疾患の治療法を開発している会社で、免疫細胞を遺伝子的にプログラムして病気を治す治療法を開発しているようです。更に、小野薬品工業株式会社と開発・販売に関する提携、契約をしています。

ARKGには意外な銘柄がある

eMAXIS Neoの銘柄は製薬や治療法を開発していると思われる会社が並ぶのに対して、ARKGには意外な銘柄があります。

  • ALPHABET INC-CL A
  • AQUABOUNTY TECHNOLOGIES
  • TELADOC HEALTH INC

AlphabetはGoogleの親会社。AquaBountyは別記事で書いた通り、遺伝子組換の鮭を養殖。Teladoc Healthはコロナ禍で話題になった会社でもあり、バーチャルヘルスケアという遠隔医療サービスを提供しています。

必ずしも直接的に人間の遺伝子に関する医療や製薬に限定した銘柄を組み入れている訳ではないのが興味深いです。

運用状況

直近の基準価額で運用状況を確認します。どちらも2021年2月12日時点。

eMAXIS Neo遺伝子工学Genomic Revolution ETF (ARKG)
設定日2018年8月6日2014年10月31日
設定日基準価額10,000円20.37ドル
現在基準価額16,644円111.92ドル
参考:ARKGの取引価格は112.01ドル

投資期間が異なるので純粋な比較とは言い難いですが、ARKGの基準価額は七年で五倍以上となっています。eMAXISもなかなかのパフォーマンスと言えます。

eMAXIS Neo遺伝子工学はARKGに似ているようで、組入銘柄は異なる

基礎情報、組入銘柄、運用状況を見てきました。

繰り返しとなりますが、全ての会社の事業内容を精査している訳ではないので、銘柄の違いが何とも言えないものの、eMAXISは医薬品開発や治療に遺伝子工学技術を活用しようとしている会社を組入れているのに対し、ARKGは全てがそうではないというのが大きな違いと言えそうです。

ただし、依然として重複が12銘柄という少なさは個人的には引っ掛かるところで、これは何から来るのかが気になります。

先日、キャシー・ウッドのインタビューでARK Investの調査チームがどのように銘柄選定をしているかという話を聞きました。

彼女曰く、ARKのETFにはスタートアップも含まれ、その会社の財務状況は赤字であることも多いのだが、投資の回収をどの程度で行うかも調査、分析して予測するという事を言っていました。

人力調査とAIによる調査の違いが、組入銘柄の差となって表れているのでしょう。

ARKのETFが一般口座のみのサクソバンク証券、IG証券のみの取扱いという現在、eMAXIS NeoがARKっぽい商品に手軽に投資をしたいというニーズを満たすのか、銘柄選定が異なるため判断しかねます。

インタビューを聞いて、キャシー・ウッドの銘柄に対する考えかが好きになったので、ARKのETFや類似の投資信託を購入するよりも、個別銘柄選択の際に参考にしようと思います。

関連記事

更に、自動運転やロボット、ドローンをテーマにeMAXIS NeoとARKのETFを比較してみました。ぜひご覧ください。