2021年度証券投資に関する全国調査

投資

日本証券業協会が定期的に実施している、証券投資に関する全国調査の結果が、2021年12月15日に公開されました。

本調査は昭和39年以降、三年おきに実施しています。前回調査が平成30年度(2018年)ということで、今回は三年ぶりに最新の状況を把握することができます。

日本証券業協会のサイトから結果のダウンロードは可能です。ただ、38頁にも及ぶため、本記事では気になる点をいくつかピックアップしていきたいと思います。

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調査概要

調査対象やサンプル数は以下の通りです。

  • 調査対象:日本全国の20歳以上の男女個人
  • 標本数:7,000
  • 調査方法:訪問留置法
  • 調査時期:2021年6月11日~7月26日

7,000のサンプルを訪問留置法で集めるというのは、かなり手がかかっている調査と言えます。また、7,000の回答があれば、代表性についても問題がなく、今の日本人の考えを表していると言って良いでしょう。

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結果から:株式や投資信託に興味がない方がマジョリティ

私が結果を見ていて、得られたことをまとめてみました。

  • 三年前(前回調査)と比較すると、預貯金よりも、株式や投資信託に興味を持っている人は増えた。
  • これに伴い、株式や投資信託を保有する人も、僅かながら増え、特に投資信託保有割合は、株式保有よりも伸びている。
  • 金融商品で重視する点も、出し入れの自由さ、元金の安全さ、また利回りといった預金にまつわる理由よりも、値上がり期待が増えている。
  • とはいえ、投資信託について知らないという割合は半分を占めている上に、興味がない割合も高い。

金融商品に対する興味は、預貯金一辺倒であることは変わりありません。

それでも株式や投信信託に興味を持ち、保有する人も増えています。しかし大半は、無関心層であり、投資信託に関する知識もない人がいます。

このブログにたどり着く人の視点に立てば、「S&P500への投資」「いやいや、時代はNASDAQ、むしろレバナス」という様な単語やフレーズが日常で、投資信託に興味がある方がマイノリティと言うのは、受け入れ難いかもしれません。

結果詳細 – 金融商品全般(抜粋)

金融商品に対する興味・保有

興味を持っている金融商品では、預貯金を選ぶ人の割合が最も高いのですが、その割合は、三年前から0.9ポイント減少しています。一方で、株式は2ポイント増加、投資信託に至っては3.6ポイントと大きく増えています。

加えて、興味を持っている金融商品はないと回答した割合も、1.3ポイント減少しており、証券等への興味が集まっている様子がうかがえます。

画像引用:2021年度証券投資に関する全国調査、日本証券業協会

保有実態を見ると、興味の高まった株式が1ポイントの増加、投資信託は1.6ポイントの増加となっており、実際に保有している人も増えています。

預貯金は0.6ポイント減少しているのですが、これは株式や投資信託に資金が移動したというよりも、「いずれも持っていない」の割合が0.5ポイント上昇していることから、コロナ禍に鑑み、預貯金を取り崩して金融資産が無い状況になっているのではないかと考えられます。

画像引用:2021年度証券投資に関する全国調査、日本証券業協会

金融商品の重視点

依然として、出し入れの自由さ、元金の安全さ、および利回りの三つは最も割合が高く、預貯金にまつわるものが重視されていますが、重視する人は時間を経るごとに減っています。

一方で、値上がり期待を重視する人の割合が三年前よりも1.4ポイント増加しています。そして、伸びが顕著なのはインターネット取引で、選択した人は一割に満たないものの、3.5ポイントの増加となっています。

画像引用:2021年度証券投資に関する全国調査、日本証券業協会

結果詳細 – 証券投資に関する意識(抜粋)

証券商品に対する知識

株式などの証券商品に対して知っていることを選択する設問では、株式を保有することで、株主優待や配当金が受け取れることは充分に知られ、知っていることは無いと回答した人の割合も四分の一程度と少ないことが分かります。

しかし、投資信託に目を向けると、「上記の中で知っていることはない」と回答した人は半分を超えます。

現在もなお、投資信託は証券会社以外でも購入可能であったり、株式の配当金に相当する分配金が存在したりすることはおろか、分散によるリスク低減は知られてないことが分かります。

画像引用:2021年度証券投資に関する全国調査、日本証券業協会

証券商品の購入理由・非購入理由

株式、投資信託ともに、購入理由は分かり易く、株式は配当・株主優待、そして値上がり期待で資産運用といったものです。

投資信託を購入した人の半数以上が長期の資産運用を理由としていて、商品の性格と理由に大きな乖離は無いと言えそうです。また、投資信託の特徴として挙げられそうな、少額、積立、分散のキーワードを選択する人は二割から三割でした。

加えて、つみたてNISAで投資信託を購入と回答した人の割合は15%弱となっています。

画像引用:2021年度証券投資に関する全国調査、日本証券業協会

反対に、株式、投資信託を購入しない理由で最も多いのは、興味がないというもので、株式でも半数を超えており、投信信託に至っては、三分の二近くとなっています。

株式をギャンブルの様に感じていたり、値下がりの危険があることで避けている人は、それぞれ四分の一未満にとどまっています。投資信託で同様の理由で避けている人は更に減り、二割に届きません。これは、想像していたよりも少ないという印象です。

画像引用:2021年度証券投資に関する全国調査、日本証券業協会

結果詳細 – NISA・つみたてNISA(抜粋)

NISA口座を開設している人は、10.4%と一割程度です。証券を保有している人の45%がNISA口座を開設しています。必ずしもNISA口座が開かれる訳ではなさそうです。

画像引用:2021年度証券投資に関する全国調査、日本証券業協会

つみたてNISAに限定します。

つみたてNISA口座を開設している人は、全体の5.4%でした。NISA口座を開設している人の半分近くが、つみたてNISAを選択していると言えます。

画像引用:2021年度証券投資に関する全国調査、日本証券業協会

この5.4%という割合が、今回の気になる点で、前回調査から増えたでしょうか。それを確認します。

前回調査は選択肢が細かく分かれていたのですが、今回調査の結果を見ても、選択肢が前回と同じだったのか判断がつきません。

そのため、前回調査の選択肢である「口座を開設、口座で投資あり」と「口座を開設、口座で投資なし」の合計値が、つみたてNISA口座保有者と判断します。

画像引用:平成30年度 証券投資に関する全国調査(個人調査)、 日本証券業協会

すると、前回調査でつみたてNISA口座を保有していた人は、2.8%となり、2018年から2021年にかけて2.6ポイント増加していることが分かります。

更にデータを見ると、「知らない」と回答した人も、68.6%から53.5%へ15ポイント以上減っているのも注目点と言えます。三年で認知は得られていると言えます。

さいごに

結果の一部を抜粋して見てきました。

三年前と比較すると、証券商品への投資のハードルは下がってきていることが数字で確認できました。また、投資信託やつみたてNISAに関して、実際に口座を開設したり、投信信託商品を購入したりしている割合も増えています。

とは言っても、全体からすると、まだまだその割合は小さいものです。

ここで「興味や関心のない人に啓蒙活動をしていかなければならない」と言うつもりは全くありません。しかし、「手を出さないのは、勿体ないな」と感じることもあります。

できることと言えば、聞かれたら自分の知っている範囲で話をする。最後の判断は本人次第。こんなスタンスで良いのではないかと思います。