はじめての投資 10-1. いきなり本番で大金投入ですか?

はじめての投資

「投資をしよう!」と思ったあなたに、細かい説明を極力省略して簡潔に説明をする「はじめての投資」です。

今回は投資をするにも練習が必要、という話の前編です。


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いきなり本番

練習せずに試合に臨むなんて本気ですか?

ランニングが流行るようになって久しいです。新型コロナウイルスでこのような状況になる前は、各地でマラソン大会が行われ、東京マラソンのような人気大会は申し込んでも参加できないこともあります。

さて、健康を気遣うようになったあなたは友人に誘われ、ランニングをはじめます。

ランニング初心者のあなたに友人が言います。

「じゃ、今度の日曜日に○○川で大会があるから集合!当日エントリーできるから10kmのレースに出ようねー。」

イラスト:Loose Drawing に吹き出し追加

なんと、いきなり大会参加。しかも10km。

ランニングを大人になってはじめた人なら分かると思いますが、初めて走る時は1kmはおろか500mでも息が切れてしまいます。そんな状態で大会に出るのは適切ではないどころか、むしろ危険です。

まずは、長距離に耐えられる筋力をつけ、スピードを上げつつ走行距離を伸ばしていくといった練習が必要です。

スポーツに限らず、楽器演奏も歌も同じです。練習をせずにいきなり演奏会。

「この歌は唄ったことないけど、演奏会は任せて」という人は、稀有な才能を持つ人でなければ無理でしょう。

投資にも練習が必要

練習を飛ばしていきなり大会や発表会に臨むことは尋常ではないと理解できたと思います。

そこで湧いてくる疑問。

「投資に本番があるのか」

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もちろん、全国投資大会や投資選手権などといったものはありません。

しかし、退職時に退職金や企業年金の一時金といった形でまとまった額の支給を受ける人はいるでしょう。もしくは遺産でまとまった金額を受け取る人もいるかもしれません。

そのまとまったお金を取り崩し続けるだけでは、瞬く間に消え去ってしまい困窮します。

画像:ぱくたそ | www.pakutaso.com

となると、お金を増やすための運用は必要になってきますが、練習もなしに、いきなり投資に手を出すと痛い目に遭いかねません。

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あなたのお金は狙われている

最近では、退職金制度の代わりに前払い退職金を導入している企業も増えています。

幸か不幸か、退職金制度がある企業に勤務している、もしくは企業年金があり退職時に脱退一時金の形でお金を受け取ることが可能な場合、まとまった額が手に入ります。

そのようなお金は給与振込口座に振り込まれることになります。

銀行口座のお金の動きを知っている銀行は「この顧客は退職金が振り込まれた」と営業をかけてきます。

「せっかくの退職金は運用しましょう。この投資信託は過去一年間で90%も成長していますよ」

過去の運用成績は未来を確約するものではありません。しかし、そんなセールストークを聞けば脳内では、まだ見ぬ線を右上がりに描いてしまいます。

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心が傾きかけたところで、羊の皮の隙間から狼が垣間見えます。

投資信託を勧めてくる販売員は販売のプロ

「羊の皮を被った狼とは、販売員に失礼じゃないか」「ちゃんと販売員が説明してくれるから大丈夫だよ」と反論する人もいるかもしれません。

しかし、何故インターネットでも購入可能な投資信託をわざわざ窓口販売という手間も費用も掛かる方法で売っているのでしょうか。

そして、そこで売られている商品の性質はどのようなものか。


販売員は販売のプロであって、必ずしも投資のプロではありません。

会社からは利益を上げられる投資信託を売ることを求められているでしょう。であれば、手数料が高いものを売りたい。

販売時にはたくさんの説明があります。それは法令で求められているからです。


もう少し突っ込んで、あなたが販売する立場になって考えてみましょう。

売りやすい投資信託とは。

直近のパフォーマンスが良く、話題性のあるテーマの投資信託が挙げられます。例えば、5GやEV、自動運転などです。

退職金運用を考える人であれば、5GやEVといった言葉くらいは難なく理解できるし、すごそうに感じてもらえるでしょう。

三井住友トラスト・アセットマネジメント|次世代通信関連 世界株式戦略ファンド運用成績

しかも都合が良いことに、これらをテーマにした投資信託は手数料が高く、パフォーマンスが良く、勧めない理由がありません。

突然、投資に興味が湧くあなた

これまで「投資なんか面倒くさいし、後でいいや」と投資から目を背けてきたあなた。

ところが、「これまでのように給与が定期的に振り込まれることがない」と不安になってきます。

そして販売員から提示される過去の運用成績。

「過去一年間で二倍近くまで増えた投資信託なら、すごい期待できる。」

フラフラ~と購入を決断してしまいそうです。

しかし、決断前に質問。

  • 目論見書はちゃんと読みましたか?
  • 運用報告書も読みましたか?
  • これらの書面に書かれていることが理解できましたか?
  • それらに納得して購入(投資)をしますか?

上記の単語の意味が分からないまま購入をするのであれば、あなたは立派なカモネギ。

イラスト:illust image | https://illustimage.com/?id=2220

「カモネギとは失礼な!」と憤慨する前に、続きの記事をご覧ください。