久々に米国株式の状況を眺めていると、恐怖指数が注目されていることに気づきました。
確かに、2021年8月に入って一気に数値は上昇しています。とはいえ、2021年の二月初旬と比較すれば大きな動きではありません。
新型コロナウイルスによる2020年3月の暴落時には、この「恐怖指数」と言うものが話題になっていました。
「恐怖の指数」とは空恐ろしいものを感じますが、そもそも一体何なのか。ちょっと気になったので備忘録代わりに記事に認めます。
恐怖指数とは?
「恐怖指数」と日本語で情報を探したのですが、あまり良く分かりませんでした。
ということで、この指数を提供しているCBOEのサイトを見るのが手っ取り早いのではないかという事で、覗いてみます。
CBOEは、Cboe Global Markets, Inc. という会社で、この「CBOE」はChicago Board Option Exchangeの略。日本語ではシカゴ・ボード・オプション取引所と言われています。
同社は金融取引市場を運営していて、シカゴは全米でも最大の株式オプション取引所とのことです。
この取引所運営会社が提供している指数がVIX指数というもので、正式名称は「CBOE Volatility Index」と言います。
この指数の概要は以下の通りです。
- S&P500を対象としたオプション取引を使って算出
- 現在を示しているのではなく、将来の指標
- 指数の値は、市場の不確実さを示す
- VIXそのものは取引対象ではない
- VIXのオプション、先物はCBOEで取引されている
算出の技術的な説明は私の理解が追い付いていないので、咀嚼できた範囲が広がったら記事に追記をしていきたいと思います。
オプション取引を算出に使用
VIXはS&P500のオプション取引の情報を基にして算出されていて、その基本的な考え方は、投資家がオプションプレミアムをどれくらい払うのかというものになります。
コールオプション、プットオプションのどちらの取引において、プレミアムの支払いが発生します。株価のリスクが高い時はプレミアムも高くなり、リスクが低い時はプレミアムが低くなります。
この関連に絡めてみると、VIXの値が高い時は、プレミアムが大きくなっている。つまりリスクも高い(ボラティリティが大きい)と見られていると考えられます。
なぜ「恐怖」指数と呼ばれるのか
さて、VIXの名前には「恐怖」の「き」の字もないのに、なぜ日本語では「恐怖指数」と訳されているのかが不思議ですよね。
調べていくと、VIXが「Fear Gauge」や「Fear Index」と呼ばれることがあります。恐らく、刺激的な名称の方を日本語訳で使っているのではないでしょうか。
数字の見方
数字の大小
数字の見方は非常にシンプルで、数字が大きいほど不確実性が高く、逆に数字が小さいと安定的になると言われています。
過去の推移を見ていると、概ね10~20の間を行き来しているのですが、大きな出来事が発生すると数字が跳ね上がります。
直近では、新型コロナウイルスによる影響で60を超えていました。以降も20~40を上下してたものの、ようやく安定水域まで来たところで、今回の上昇が見られています。
数字の意味
上記で不安定になると数字が跳ね上がります、と言っても「そもそもそれって、どういうことなのさ?」と感じるでしょう。
VIX(恐怖指数)の数字を簡単に説明すると、今後一年でS&P500が、1σの標準偏差の中でどれくらいの値になるかを示している、という事になります。
例えば現在、S&P500が4,000ポイントであった場合、以下のように推計されます。
現在のS&P500 | VIXの値 | 1年後のS&P500の範囲(%) | 1年後のS&P500の範囲(ポイント) |
---|---|---|---|
4,000 | 10 | -10% ~ +10% | 3,600 ~ 4,400 |
4,000 | 20 | -20% ~ +20% | 3,200 ~ 4,800 |
4,000 | 30 | -30% ~ +30% | 2,800 ~ 5,200 |
VIXが10であれば、約七割の可能性でS&P500が3,600~4,400ポイントに納まるであろうと見ます。
VIXは30日のオプション取引を基に計算されていますが、指数の値としては年間に換算されています。そのため、VIXが10であった場合の一ヶ月後のS&P500は-2.89%~+2.89%の動きになります。
この指数で勘違いをしがちなのは、数字の大小で暴落などを予測することはありません。VIXが表す数字には正負の方向は全く示されていないのです。ただ、過去の傾向を見るとVIXとS&P500は負の相関関係を示しているということだけです。
S&P500の高値安定が迎えられていると思っていたところでの、恐怖指数の登場。
ドルコスト平均法で投資信託やETF積み立てている場合は、値が暴れても狼狽売りをせずに、淡々と継続をすることが重要です。
また、このような指数があることを念頭においておけば、来るべき「何か」が発生しても慌てることはないと思います。