インデックス投資で成功した人を見かけないけど、実際どうなの?(ゆっくり解説動画あり)

動画解説(メカブ投資channel)

つみたてNISAも浸透してきて、指数に連動するインデックス投資も特別なものではなくなってきています。

ところが、「インデックス投資で儲かった」といった話は耳にした記憶がありません。

一体何故なのでしょうか。

そして、儲かった人の話を聞かないのに、何故こんなに推されるのか。

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話題の投資信託は最近のもの

日本でNISA制度が開始されたのは、2014年1月。その四年後の2018年1月につみたてNISAが開始されました。

発足当時につみたてNISA対象となった投資信託のリストは手元には無いものの、話題の eMAXIS Slim米国株式 (S&P500) の設定日は2018年7月3日です。他にもS&P500へ投資する商品があります。例えば、 iFree S&P500 インデックスの設定日は2017年8月31日でした。

更に、他のeMAXIS SlimシリーズであるeMAXIS Slim全世界株式(除く日本)の設定日を調べると、2018年3月19日と、最近話題の信託報酬が抑えられている商品は比較的最近です。

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インデックス投資信託は過去からある

では、インデックス投資信託商品は最近のものであるかというと、そういう訳でもありません。世界株式への投資を行う、MSCIの指数に連動する商品を挙げてみます。

  • SMTグローバル株式インデックス・オープン:2008年1月9日
  • 三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド:2011年4月18日
  • <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド:2013年12月10日

上記の世界株式に投資する商品は十年以上前から存在しています。

ただ、記憶を辿ると当時は「投資信託=アクティブ投資」という印象が強く、ファンドマネジャーの○○氏が銘柄を選定。なので、信託報酬も1.7%などといったものが目に付いたことを思い出します。

投資信託で投資する人たち

一旦横道に逸れます。

そころで、投資信託商品を購入する人はどれくらいいるのでしょうか。

日本証券業協会では、個人の証券保有実態や証券投資に対する意識等を調べる調査を昭和37年から行っています。現在は三年毎の実施で、最新データは2018年(平成30年)のものとなります。

調査には投資信託の保有を問う設問があります。その結果を抜粋すると、投資信託を保有している人の割合は8.8%で、過去に保有したことがある人を含めても13%強です。

ちなみに、回答者数が7,000ということもあり、かなり実態に近いと言えますが、これは個人的には驚きの少なさです。

画像引用:平成30年度 証券投資に関する全国調査(個人調査) 日本証券業協会

更に、つみたてNISA口座の保有状況も設問に含まれます。

つみたてNISAの口座を開設し、かつ投資を行っている人の割合は1.5%でした。

画像引用:平成30年度 証券投資に関する全国調査(個人調査) 日本証券業協会

つみたてNISAが導入されて一定期間経過後の調査は2021年に行われると思いますので、その結果が気になります。増えていて欲しいです。

6年間インデックス投資をしてみたら

閑話休題。

つみたてNISAをきっかけとしてインデックス投資をすると投資期間は三年。長期投資が前提であるため、現時点で結果を評価するには短いです。

長期投資の効果を知る材料はないか。

たまたま保有している投資信託があります。長い期間とは言っても六年なのですが、そのパフォーマンスを振り返ってみましょう。現在、その投資信託の積立は止めており、保有のみです。

SMTグローバル株式インデックス・オープン

三井トラスト・アッセトマネジメントが運用する投資信託で、MSCIコクサイ・インデックスに連動する成果を目指しています。その他基礎情報も加えます。

  • 投資対象地域:日本を除く世界主要国
  • 地域構成:
    • 北米:75.1%
    • 欧州:20.8%
    • アジア・オセアニア:3.9%
    • 中東:0.2%
  • 設定日:2008年1月9日
  • 信託報酬:0.55%(税抜 0.5%)

パフォーマンス

運用成績は運用会社が発行する運用報告書で確認できます。

ここでは、実際に積み立てた後に途中で止めた場合、どうなっているかをチャートに示します。チャートの凡例は以下の通りです。

  • 青線:基準価額推移
  • 薄緑面:保有口数推移
  • 青面:保有資産推移
  • 注:直近の基準価額は2021年4月1日時点

投資を開始した時の基準価額は14,709円で、現在は24,185円まで上昇しています。しかし積立開始後に基準価額が下落という目に遭っていました。

また、2017年に積立を止めているため、保有口数はそのまま維持で薄緑の上辺は水平となります。

保有口数は一定でも、基準価額の上昇に伴って資産は増加していきます。

基準価額の上下に惑わされずに放置をした結果として171%の含み益になっています。

筆者作成、数値の変化は初回買付を1として指数化しているためY軸ラベルは省略

成功者に逢えなくても、失敗しているとは言えない

本当は十年くらいのデータがあればよかったのですが、残念ながら六年のデータが最長でした。

とはいえ、どのようなパフォーマンスが得られたのかは参考になったと思います。

本記事のタイトルでもある、インデックス投資で成功の声を聞かないのは何故か?

つみたてNISAの開始が三年前。

投資信託で投資をしている人は一割に満たない。

これらに鑑みれば投資信託、インデックス投資信託で儲かりましたという生の声に出逢うのは難しいのも理解できます。

成功者がいないことをどう考えるのか。

成功者がいないことを、失敗であると考えるのは早計でしょう。

しかし、投資信託とは言え、株式投資なので基準価額の上下は発生します。いざ現金が必要となった時に大暴落の憂き目に遭遇するかもしれません。

では、資産の全部を現金で持っておくのはどうなのか、全部を株式につぎ込むのはどうなのか。一部を債権で持っておく、REITなど不動産で持っておく、選択肢は沢山あります。

そして、インデックス投資で一攫千金を掴むことは難しいです。そこで他の資産に分散すると値動きはもっと緩やかになります。

現在の自分の状況とリスク許容度を踏まえた上で、運用する資産配分を決める必要があることは言うまでもありません。

つみたてNISA口座でインデックス投資をしても億万長者にはなれない、という動画

本記事の最後は、歯に物が挟まったような〆となっていますが、インデックス投資だけで億万長者になるのは難しいという動画を用意していますので、ぜひご覧ください。