つみたてNISAでeMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) を積み立てています。
積立をするのであれば、S&P500に連動する投資信託商品、もしくは全世界株式を対象とした投資信託商品にしておけ、という話はよく聞きます。
しかし、米国の厳選された500社でもなく、全世界の企業でもない商品があります。それは楽天・全米株式インデックス・ファンド。主に、バンガード・トータル・ストック・マーケットETF (VTI) に投資をする商品です。
2020年に eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) と楽天・全米株式インデックス・ファンドについて記事を書きました。
当時の記事ではパフォーマンスよりも特徴をまとめていたのですが、実際に2020年12月から両者を積み立てて資産がどのように増えるか実験をしています。
さて、米国の大企業約500社を対象に投資する商品と、米国市場で投資可能な企業ほぼ全部へ投資する商品のパフォーマンスにはどれくらい違いがあるのでしょうか。
VTIとは
VTIの正式名称は、Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF Shares (VTI) で、日本語ではバンガード・トータル・ストック・マーケットETFと呼ばれています。
名前の通り、バンガード社の商品です。商品概要は、
- CRSP US Total Market Indexに連動することを目指す
- 大企業および中小企業に幅広く投資
- 低コストでかつ低い乖離を目指す
といったものになります。ETFということもあり、投資信託で信託報酬に相当する経費率は0.03%となっています。
2023年3月31日時点で3,907銘柄に投資をしていて、最も比率の高いセクターはテクノロジーで27.3%を占め、一般消費財の14.2%と続きます。
なお、指標のCRSPとはCenter for Research in Security Price LLC.という会社です。同社は1960年から証券に関する過去の価格やパフォーマンスに関する情報について研究を開始し、データベースの構築を進めてきました。
時代は下って2012年、同社はCRSPインデックスを世に出すことになります。このインデックスはベンチマークとしても使われ、バンガード社は同社の一部のETFに対するベンチマークとして採用することを発表しています。
投資信託基礎情報
eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) と楽天・全米株式インデックス・ファンドの基礎情報は以下の通りです。
eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | |
---|---|---|
ベンチマーク | S&P500 | CRSP US Total Market Index |
設定日 | 2018年7月3日 | 2017年9月29日 |
信託報酬(税込) | 0.0814% | 0.132% |
純資産 | 69,219.59億円 | 18,517.22億円 |
eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) の方が信託報酬が低く、純資産も楽天・全米株式インデックス・ファンドを上回っています。
両投資信託は2021年2月から総資産が増額していますが、比較をするとeMAXIS Slim 米国株式 (S&P500)の増え方は驚異的です。2025年の純資産額を見ると、新NISAで一気に増えたことは想像に難くありません。

株価による資産額増を加味しても、eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) の増え方は大きく、振り返ると異常なまでのS&P500推しに鑑みると日本人の付和雷同を感じざるを得ません。しかし、そうは言っても銘柄の構成や世情から、強いパフォーマンスをしていることは否めないことも事実です。
二つの投資信託の純資産の差は、いずれかの投資信託が良い、悪いという事を示すものではないことは言うまでもありません。
余談ですが、SBI証券でもVOOに投資する「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」とVTIに投資する「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」を扱っています。どちらも信託報酬が年0.0638%(税込)で、eMAXIS Slim、楽天・全米株式の信託報酬を下回っています。
比較
ETF
積立の比較の前にETFのパフォーマンスを見てみます。
2020年のコロナ騒ぎによる株価暴落後から2025年までの五年間のVOOとVTIを比較すると、VOOのパフォーマンスがやや上回っています。
S&P500とCRSP US Total Market Indexの銘柄の重複は502であるものの、構成割合では85%が重複しています。残り15%が、このような結果に繋がっていると言えるでしょう。ただ、基本的には拮抗しているため、切り取った期間によってはパフォーマンスが逆転することもあり得ます。

積立
さて、つみたてNISAの枠を最大まで使った場合、両者でどれくらいの差が出るのでしょうか。
比較における条件、留意事項は以下の通りです。
- 積立期間:2020年12月約定分から2024年4月約定分まで
- 積立金額:どちらも33,333円
- 評価額は保有口数に単価を乗じたもので、信託報酬や再投資などの要素は加味せず
これまで966,957円をそれぞれの投資信託に投資をしてきていますが、差は僅少です。三万円ほど eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500)の方が運用成績が勝っています。

当然の事ながら、そもそも投資対象が異なること、二年間強程度の短い期間での比較ということもあり、これだけの情報で各投資信託に優劣を付けるのは適切ではありません。
動画解説
本記事についてVOICEROIDとCeVIO AIによる解説動画を作成しています。比較期間は動画作成時点であるため、本記事と数値等が異なる点は注意してください。