アカツキ(3932)CEO 塩田元規著のハートドリブンから自己受容について改めて考える

ビジネス

星をつけないブックレビュー

投資とは別に、読んだ書籍の中でおススメしたいものを紹介します。全て5つ星=おススメ。なので、評価はせずに内容や思ったことを綴ります。

第一回は「ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力」


スポンサーリンク

書籍「ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力」

アカツキ株を購入した後、電車の中吊りで書籍の広告を目にしました。

「ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力」というタイトルです。初見は「随分クサいタイトルだな」といった印象です。広告に目を通すと、アカツキのCEOが著者であることを知り、株式を購入したこともあり、どのような内容なのか気になったため早速購入しました。

内容を簡単にまとめると、大きく三つのことが書かれています。

  • アカツキ起業の経緯
  • 塩田氏の内省
  • 内省を通じて現在アカツキで行っていること

267頁とそこそこの厚さのある本とはいえ、文字も行間もゆったりとレイアウトされているため、読破に要するのは二時間程度です。

スポンサーリンク

この本が言いたいことを自分なりに解釈

塩田氏が悩んだこと、苦しんだこと、克服していることが書かれ、それらは自分にとって長年悩んでいること、耳が痛いことが並べられています。

アカツキ起業の経緯

塩田氏が大学生の時に企業を決心した理由の一つに「ハッピーカンパニープロジェクト」が挙げられています。成長し、かつ社員が幸せそうな会社の社長にインタビューするというものですが、これだけでも一冊の本が作れ、2019年に一瞬だけ目に触れる機会が増えた「サードドア 精神的資産のふやし方」よりも面白くなるのではないでしょうか。

大学院で経営学を学び、DeNAに入社した塩田氏はハードワークな日々を過ごし、三年の後、アカツキを興します。

とにかくひたすらに走り続け、大変ながらも会社を成長させますが、常に順風満帆ではありません。

塩田氏の内省

企業を経営していると当然のことながら逆風に出会うこともあります。

家庭環境もあり、一人でとにかく頑張らないといけないという考えに縛られ、心身ともに苦しくなり、実際に身体にも変調をきたします。

この「一人で頑張る」という染みついた固定観念が曲者で、周囲へ助けを求められない、一人で悩みを抱える、そして周囲をコントロールしようと、自分の理念とは異なる行動を採るといった負の循環に陥ります。

このネガティブな固定観念に対峙していくことなりますが、それは辛い作業です。それでも対峙して受け入れ、克服することで自分だけではなく、周囲にも寛容になってきます。アカツキの職場環境は、社員がありのままでいられることを目指しています。

アドラー心理学でも「自己受容」という言葉で似たような概念を説明しています。今自分が感じていること、自分の能力や器でできることを受け入れて、次の一歩を進めていきます。

内省を通じて現在アカツキで行っていること

モーレツ仕事人間である自分の内面を見つめるために、仕事から離れる時間を敢えて確保し、海外旅行やセミナー参加をしています。

氏は、パワースポットとして紹介されたこともある米国、アリゾナ州はセドナへも訪問しています。余談ですが、私も20年前にセドナを訪れたことがあり、その当時撮影した写真を掲載します。昔のカメラなので30万画素程度で画像サイズが小さいのと画質が荒いのはご容赦。

共同創業者である香田氏と一緒にセドナに行った体験をはじめ、瞑想など、ややスピリチュアルともいえる内容が書かれています。各体験に共通することは内省と自己受容であり、それを社員同士がありのままを受け入れながら仕事を進めていくか、という環境作りにつなげていきます。

書籍の後半では、アカツキの経営スタイルについて述べられています。その中で心に残ったのは「Why」を考えることです。

Whyとは意義。「なぜその仕事をするのか」は忙殺されていると忘れてしまいがちで、どうしても「何を」「どう」やるかという作業に陥ってしまいます。そこで出来上がったものは単なる「物」でしかなく、それに理念や価値を見出すことは難しく、やがて誰からも忘れ去られてしまいます。

ここで私が愕然としたのは、自分が人生のほとんどの時間を過ごす会社で作っているものは最終的に誰にも見向きもされないゴミなのではないか、と考えさせられたことです。サラリーマン経験が長い人ほど陥ると思います。

株価を追いかけながら応援もしたくなった

タイトル同様に、クサいことが一人称で書かれていたというのが読後の感想です。時にスピリチュアルなことも書かれています。しかしながら、内容はアドラー心理学や仏教でも語られている、自分との対話が中心となっています。

それらの要素が、氏が経営するアカツキという器の中でどのように使われているか、そして創業当時に描いて「ハッピーな会社」を目指しているという点に収束します。

短期間で企業規模を大きくし、モバイルゲームや遊戯施設など様々なプロジェクトを次々と遂行し、社員のプレッシャーも相当なものと想像できます。仕事がハードだからこそ、会社をセーフプレイスにしようというところは好感が持てます。

今回縁あって株式を保有していますが、見る目が少し変わりました。

本記事で紹介の書籍