機織の街(TOYOTA Woven City)

ビジネス
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静岡コネクテッド・シティ

久しぶりにニュースを聞いてワクワクしました。米国ラスベガスで毎年行われるCESで、今年はトヨタ自動車が実証実験プロジェクトを発表しました。2021年初めには着工予定というものの、情報を寄せ集めても概要というよりもコンセプトに近い発表という印象です。

実証実験はモノやサービスをつなげる「コネクテッド・シティ」を2020年末閉鎖予定の静岡県裾野市にあるトヨタ自動車東日本株式会社 東富士工場の跡地を利用して街を作るというものです。広さは約70.8万m2と東京ディズニーランドの約1.4倍です。テーマパークとは異なり、この街に2000人程度の人が実際に暮らし、実証実験を現実の生活を通じて行っていきます。

プロジェクト・街はWoven Cityと名付けられています。街を走る道路が織物のように編まれていることから命名されているとのことですが、CESでの豊田章男社長はトヨタ自動車の前身が豊田自動織機であったことにも触れていました。

Woven Cityイメージビデオ
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プロジェクトの目的

トヨタの資料によると、プロジェクトの目的は実生活が営まれる環境で、自動運転、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、スマートホーム技術、AI技術などを導入・検証することで、そのために新しく都市を作るというスケールの大きな話です。

国土交通省も2019年6月に閣議決定された「統合イノベーション戦略2019」等に基づいて内閣府、総務省、経済産業省と一緒に官民連携で進めるための「スマートシティ官民連携プラットフォーム」を設立し多くの企業が参加していますが、このプロジェクトは民間企業が完全に主導権を取るものとなりそうです。

なぜ、このようなことをトヨタは始めようとしているのかを考えると、MaaSをはじめとするモビリティ関連の実験を日本国内で行う場合に多くの法律が妨げになるからではないでしょうか。 e-Palette Concept が2018年のCESで初めて発表されて、2020年の東京オリンピックでは本物のe-Paletteが走り出します。e-Paletteの東京五輪仕様は自動運転レベル4が実現され、選手村内を走る計画です。

2019年夏前に道路交通法が改正されレベル3(一定の条件で自動運転、緊急時は運転手が操作)の実用化が視野に入ってきましたが、自動運転の本格実用化に向けて、一見無関係に思える法律も改正が必要になってきています。

トヨタとしては法律やルールの整備を待っていると、官民連携のプロジェクトがあったとしても世界のスピードに追い付くことができず、私有地の中で街を作って実験をしてしまおうと考えたのではないでしょうか。

移動体通信

今でこそ筆頭株主は京セラですが、トヨタはKDDIの株式を12.82%保有する株主でもあります。KDDIの前身である日本移動通信(IDO)を孫会社(IDOの親会社は日本高速通信)として持ち、移動体通信には1980年代から参入をしていました。

そこから30年近く経ち、無線技術が進み5Gの商用利用が始まり、ようやくモノとインターネットをつなげることができる環境になりました。「従来のクルマをつくる会社からモビリティ・カンパニーにモデルチェンジする」とトヨタは宣言しており、 2018年にはソフトバンクとともにモネテクノロジーズを設立しました。

インフラを提供するKDDIの株主としてのトヨタ、モビリティカンパニーに生まれ変わるためのソフトバンクとの提携。 CASEを意識した事業展開を狙える環境になったといえます。

今後の自動車業界

トヨタが期待する早さではないかもしれませんが、道路交通法の改正をはじめとする法整備は動いており、いくつかの都市での実証実験も行われています。今回のコネクテッド・シティにより自動車業界は急速に変化するのか、どのように進化するのかはわかりませんが、目が離せない状況になっています。