SPYD 2021年7月の銘柄入替 – そもそもどうやって銘柄を入れ替えるのか?

Power BI

SPYDの銘柄入替が2021年7月に行われました。

今回は銘柄入替を確認しつつ、SPYDの銘柄入替の考え方にも触れていきたいと思います。

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ゆっくり解説動画

本記事についても、ゆっくり解説動画を作成しています。更に、動画では配当金がどのように決められるのかを試算で再現しようともしていますので、ぜひご覧ください。

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入れ替わった銘柄

2021年1月からの変化は九銘柄の入替です。九銘柄が外れて、九銘柄が追加となっています。

追加となった銘柄は以下の通りです。

聞いたことがある会社は、ケロッグ、キンバリー・クラーク、メルクくらいでした。メルクは日本ではMSDと言われていますが、旧万有製薬というと思い出す方もいるでしょう。

State Streetの資料から作成(追加9銘柄)

そして、今回SPYDから除外された銘柄は以下の九銘柄です。

State Streetの資料から作成(除外9銘柄)

ゼロックスやインベスコ、AIGなどが聞いたことのある会社です。今回は金融の銘柄が多いですね。

セクター構成の変化

セクター構成の変化を見ます。今回からはPowerBIで作成したチャートなので、これまでとは若干見え方が異なります。

金融銘柄が四つ抜けていることもあり、金融の比率が下がっています。また全般的にこれまで構成割合が高かったセクターが平準化されています。

State Streetの資料からチャート作成(単位:%)

銘柄入替方法

過去も複数回記事を書いてきましたが、そもそもSPYDがどうやって銘柄入替を行うのかを調べたことがないことに気づきました。

今回、ちょっと調べてみたので、それを整理します。

SPYDにも指数がある

お恥ずかしながら、SPYDにも指数が存在することを知りませんでした。

その指数を提供しているのはもちろんS&P Global(厳密には、S&P Dow Jones Indices)で、名称は「S&P500 High Dividend Index」と言います。概要を以下に引用します。

The S&P 500 High Dividend Index serves as a benchmark for income seeking equity investors. The index is designed to measure the performance of 80 high yield companies within the S&P 500 and is equally weighted to best represent the performance of this group, regardless of constituent size.

S&P Dow Jones Indices

高配当の銘柄を80選定し、企業規模にかかわらず均等に配分するという指数で、SPYDそのものですね。

S&P500 High Dividend Indexで示されている入替方法

この指数ではどのように80銘柄を選定し、どのように入替を行うかがサイトで説明されているものの、個人的には分かりにくいと思い、なんとか理解できたポイントを抽出します。

1. 銘柄選定

  • S&P500銘柄の中で年間の配当金額が0ではない、つまり1セントでもある銘柄を対象
  • この銘柄を配当利回りで高い順に順位付けをします。配当利回りは基準日の株価を基にして算出(基準日は銘柄入替のある月、つまり一月と七月の一月前の最終営業日)
  • この順位を基に組み入れ銘柄が決まる

2. 銘柄入替

  • 基準日に銘柄が80銘柄残っていた場合、上位80%の銘柄、すなわち64銘柄はそのまま残る
  • 一方で、下位20%の16銘柄は入替の検討対象となる
  • ここでもう一度、S&P500の銘柄から配当利回りで順位付けを行い、上位96位までを抜き出す
  • この96銘柄と先ほどの16銘柄で配当利回りを比較し、配当利回りが高いものを組入れ、全体で80銘柄になるようにしていく

興味深いのは、入替のタイミングで都度都度、80位までの順位を使う訳ではなく、20%の銘柄を入れ替えるという方法を採っていることです。その際、20%分余裕を持たせた順位を使っています。これをS&P Dow Jones Indicesでは、「A 20% buffer」という表現をしています。

S&P500 High Dividend Indexで示されている他のルール

この他にも細かいルールを設けており、銘柄入替を行わない期間である、1月~7月、ないしは7月~1月では、銘柄の追加は例外を除いては行うことがなく、除外だけが発生すると説明されています。

この追加の例外事項は、企業のスピンオフで、スピンオフした会社もS&P500にある場合のみと限定的なものです。

SPYDはState Streetの勝手ETFではない

あまり深く考えたことはなかったのですが、個人的にはSPYDは運用会社のState StreetがS&P500銘柄の中から、配当利回りや配当金について何らかのルールを設けてETFにしているのかと思っていました。

ところが、S&P本家から指数が設定されており、State Streetもその指数に基づいてETFを運用していることで、経費率の低さも理解が出来ました。

こういったルールを理解したうえで次回の銘柄入替を確認すると、面白いと思います。