大和アセットマネジメントが運用している投資信託に、iFreeレバレッジ NASDAQ100 という商品があります。
いわゆる「レバナス」と呼ばれるもので、NASDAQ100にレバレッジをかけている投資信託です。
2020年3月の暴落以降、米国の株式市場は強い戻りを見せ、2021年後半まで右肩上がりでした。この時期は強気な発言も多く、「レバナスは定期預金」といったフレーズまで目にすることがありました。
しかしながら、2022年以降は一転して下落相場。「レバナス」に対する楽観的なフレーズはあまり見ない印象です。
iFreeレバレッジ NASDAQ100 は、レバレッジをかけていることもあり、NASDAQ100という指標を冠していてもインデックスファンドではなく、信託報酬も税込で0.99%と高いコストがかかります。
値動きが指標の二倍と、荒いことから万人受けではないことは火を見るよりも明らかなのですが、一部の人にとっては投資の仕方によっては副次的なメリットがあります。
本記事の情報は、2023年5月時点で確認が取れているもので、楽天証券での投信積立についてのみ言及しています。また、投資信託をポイント還元のために即売却といった事は推奨していません。
楽天証券での投資信託に対するポイント還元率変遷
2023年4月13日に、楽天証券から「楽天カードクレジット決済のポイント進呈率を引き上げます!」というお知らせが発表されました。これは、2022年に楽天証券における投信積立に対するポイント還元率変更から新たな変更となります。
2022年の変更
過去、投信積立における楽天カードクレジット決済のポイント還元率は1%でしたが、2022年に以下の通り還元率が変更されています。
- 信託報酬の内、楽天証券が受け取る手数料が年率0.4%(税込)以上の投資信託は、楽天カード決済で1%還元
- 信託報酬の内、楽天証券が受け取る手数料が年率0.4%(税込)未満の投資信託は、楽天カード決済で0.2%還元
- 投資信託の銘柄にかかわらず、楽天キャッシュ決済で0.5%還元
基本的に、楽天キャッシュへのチャージではポイント還元は無いものの、2022年8月から12月の買付期間は楽天カードからのチャージでも0.5%還元があり、最大1%の還元を受けることが出来ていました。
楽天証券が還元率低下という施策を打った後、SBI証券やマネックス証券などが投信積立へのポイント還元で積極的な攻勢を図っていました。
2023年の変更
そんな中、楽天証券は2023年4月13日にポイント還元率を引き上げるという案内を出しました。変更自体は2023年6月買付分からとなり、その変更内容は以下の通りです。
- 信託報酬の内、楽天証券が受け取る手数料が年率0.4%(税込)以上の投資信託は、楽天カード決済で1%還元のまま
- 信託報酬の内、楽天証券が受け取る手数料が年率0.4%(税込)未満の投資信託
- 楽天プレミアムカードでのクレジット決済:1%還元
- 楽天ゴールドカードでのクレジット決済:0.75%還元
- 楽天カードでのクレジット決済:0.5%還元
最低の還元率が0.5%に引き上げられ、キャンペーンを除けば、競合他社と遜色のないものとなっています。また、プレミアムカードやゴールドカードといった上位カードを持っている場合は、還元率が高くなります。
注意点など
クレジットカードによる投資信託の買付は上限が五万円となり、これは楽天証券に限らず、競合他社でも同様です。
しかし、楽天証券では、投信積立に楽天カードでのクレジット決済と楽天キャッシュを併用することが出来るため、合計十万円まで投資をすることが出来ます。
iFreeレバレッジ NASDAQ100
レバナスと呼ばれる投資信託は複数ありますが、ここでは、iFreeレバレッジ NASDAQ100 について見ていきます。投資信託の基本情報は以下の通りです。
iFreeレバレッジ NASDAQ100 | |
---|---|
運用会社 | 大和アセットマネジメント |
設定日 | 2018年10月19日 |
信託報酬(税込) | 0.99% |
純資産 | 1,821.54億円 |
指標はNASDAQ100としており、「レバレッジ」と名前に含まれる通り、NASDAQ100の値動きの二倍になる様に運用されていきます。
二倍の動きを視覚的に理解できるように、QQQとQLDのチャートを示します。QLDはNASDAQ100に対して、二倍のレバレッジがかかっています。
レバレッジは株価上昇時と下落時の両方に影響を及ぼすため、NASDAQ100が好調な時は、気持ち良いほど線が上向きますが、下落時は崖を転げ落ちるように急落していきます。そのため、2021年後半のQLDはQQQを大きく引き離していたものの、2022年後半から2023年にかけては差が縮まっています。
iFreeレバレッジ NASDAQ100のチャートを見ても同様です。ただし、ひとつ留意点があるのは、iFreeレバレッジNASDAQ100は為替ヘッジがあるため、円安時の影響は加味されていません。為替の影響を加味した投資を検討する場合は、ETFのQLDで取引を候補に入れることが出来ます。
レバレッジがかかっている場合、基準価額の動きは、特殊なものになると理解する必要があります。この動きについては目論見書で詳しく説明されているので、納得できるまで読むことをお勧めします。
その上で、iFreeレバレッジ NASDAQ100を楽天証券で積み立てる決意をすると、楽天カードでも、1%のポイント還元となります。
過去と今回のポイント還元率の変更にかかわらず、1%のまま。
それは、この投資信託は、楽天証券が受け取る手数料が年率0.4%(税込)以上であることによります。改めて目論見書の「ファンドの費用・税金」の箇所を確認すると、楽天証券が受け取る手数料が0.4%を上回ることが分かります。
料率等 | 費用の内容 | |
---|---|---|
信託報酬 | 年率0.99%(税抜0.9%) | |
委託会社への配分 | 年率0.435% | ファンドの運用と調査、受託会社への運用指図、基準価額の計算、目論見書・運用報告書の作成等の対価。 |
販売会社への配分 | 年率0.435% | 運用報告書等各種書類の送付、口座内でのファンドの管理、購入後の情報提供等の対価。 |
受託会社への配分 | 年率0.03% | 運用財産の管理、委託会社からの指図の実行の対価。 |
このことから、楽天カードでクレジット決済をすれば、1%のポイント還元を受けることが出来ます。
もうひとつ注意点を加えるとすると、楽天カードでのクレジット決済による投信積立では、日付を選択することが出来ず、毎月1日となります。積立に際して日付のこだわりがある場合、注意が必要です。
ポイント還元は副次的なメリットと考える
過去の別記事でも触れている様に、長期投資において、ポイ活を目的にすることについては消極的です。しかしなら、何かしらのメリットがあるのであれば、それを活用するのは悪くないと思っています。
ポイ活と長期投資の目的が入れ替わってしまい、とあるサービスが改悪したら、ササっと乗り替える。ポイントを得るために借金をしてまで投資信託を買うといったことは本末転倒になってしまうため、この記事ではポイント還元はあくまでもおまけ、副次的なものであるという事は強調します。