iFreeレバレッジNASDAQ100を積立てて一年が経過しました。
NASDAQ100の運用はQQQで行っているのですが、レバレッジをかけるとどれくらい貯められるかを試したいという気持ちで始めたのが、昨年の夏の終わり。
米国の株式市場は、2020年3月の暴落から現在まで、概ね右上がりで順調に推移しています。そこでNASDAQ100にレバレッジをかけたらどうなったのでしょうか。
ゆっくり解説動画
本記事の関連動画として作成しています。ぜひご覧ください。
iFreeレバレッジNASDAQ100とは
大和アセットマネジメントのiFreeレバレッジNASDAQ100は、iFreeNEXT NASDAQ100インデックスとは異なる投資信託商品です。
目論見書に書かれている「ファンドの目的」は以下のように書かれています。
日々の基準価額の値動きがNASDAQ100指数(米ドルベース)の値動きの2倍程度となることをめざします。
iFreeレバレッジNASDAQ100目論見書
レバレッジをかけて値動きを指数の二倍にするように運用されていきます。レバレッジの詳細説明は省略しますが、二倍のレバレッジがかかっている投資信託は指数が10%上昇すれば、20%上昇するという動きをします。
これだけ聞くと「上がり調子の今、買うしかない」と思う方もいるでしょうが、世の中そんなに甘くありません。
下落が続けば指数よりも大きく下がります。上下変動を繰り返すと、基準価額も押し下げられます。レバレッジが無い場合、二倍だったケースで価格変動を下記チャートで示しています。
上昇している時は大きく跳ね上がるのですが、下がる時も暴落となるため、戻りが弱いとレバレッジがないケースに追い付きにくくなることがあります。

このような性質があるのに加え、信託報酬も0.99%(税込)と高いです。ただ、先物で運用を行うので、必要経費と言えばこれくらいはしょうがないのかもしれません。
以上のように落とし穴がところどころにある投資信託商品なのですが、昨今のYouTubeの投資系チャンネルでは「レバナス」と書かれた煽りのサムネイルを見かけることが増えている模様です。
その裏付けなのか、実際に楽天証券の買付ランキングを見ると、この記事を書いている2021年8月29時点で7位に位置し、純資産も1,083億円で、対前年+346%と大きな投資信託となっています。
上昇基調の時は良いのですが、乱高下があった場合に、「指数が10%下落すると、投資信託は20%下落する」という意味を正確に理解していないと恐ろしいことが起きる。こういったことが周知されているのか気になります。
過去一年の値動き
本投資信託がどのような値動きになるのかを追ってみます。
積立の約定日における基準価額を基に以下の通り、紺色の線で示しています。そして、初回積立の2020年8月27日の基準価額を1として、以降は指数化しています。
また、QQQおよび、三倍のレバレッジがかかっているTQQQの値動きも一つのチャートに納めて比較できるようにしています。
なお、TQQQも米国ETFですが、楽天証券などでは取扱いがありません。

振り返ってみると、NASDAQ100は昨年の九月~十月にかけて下落はあったものの、以降は上昇し続けています。
三倍のレバレッジがかかっているTQQQは、現在1.87と最も高く、二倍のレバレッジがかかっているiFreeレバレッジNASDAQ100が1.53と続き、QQQは1.29という結果でした。当然の結果ですね。
QQQでも30%近く上昇しているので、十分と言えば十分ですが、レバレッジがかかっていると含み益はもっと大きくなります。
積み立てて一年経つと
さて、実験結果です。
毎月5,000円を最初の三ヶ月、四ヶ月目から10,000円という変則的な積立を行っているので、きれいな結果ではありませんが、凡その目安にはなるでしょう。
下記チャートの上段は、iFreeレバレッジNASDAQ100の基準価額の推移です。昨年の今頃は25,000円を割っていましたが、現在は40,000円に届きそうな勢いです。
積立結果は下段です。累計の積立金額に対して+29%の運用結果となっています。前項のチャートで示した1.53ほど大きく膨らんでいないのは、ドルコスト平均法で積み立てているためで、基準価額が上昇すれば購入口数が少なくなるため、運用結果は下振れします。

積立の場合、出口戦略が難しい
簡単に積立結果を見てきました。
この一年間はNASDAQ100が右上がりだったので、短期間でも30%近い成績を簡単に得ることができました。
しかし、冒頭で触れたように、レバレッジ商品は指数に対して大きく値動きが発生するため、下落時の対応と出口戦略が悩みどころです。
積立を続ける場合、ドルコスト平均法のセオリーとして、そのまま無心に積立を続ければ良いと思うのですが、積立を止めてから取り崩す場合、日本でよく引用されるトリニティ・スタディの考え方を導入してよいのか悩みます。
この懸念は今後考えていきたいと思いますが、本投資信託をメインに将来の準備として運用するのは危険であると、個人の感想で閉めたいと思います。