意外なタイミングで、意外な会社から減配の恐れが出てきました。
米国株の中でも高配当銘柄と言われるAT&T (T) の配当利回りは、株価が30ドル前後で推移していることも手伝って、約7%です。
しかし、Barron’sによると、配当金の見直しを検討しており、会社が捻出する配当金を150億ドルから80億ドル程度へと半分近くにするという話が出ているとのことです。
にわかに出た減配の話と奮わない株価。気になります。
ワーナーメディアのスピンオフ
AT&Tは、過去にメディア企業の買収をしていました。それが2018年のワーナーメディアの買収です。
更に遡ること2015年には、DirecTVも買収しています。当時、AT&Tは有料ケーブルテレビに活路を見出していましたが、Netflixをはじめとするストリーミングサービスの躍進により、ケーブルテレビは期待通りの成果を出せていません。
ここ数年はメディア事業が重荷になっているのではないか、という事で株価は30ドル前後を行ったり来たり。
このような中、2021年5月17日に出てたニュースリリース。その内容は、ワーナーメディアをスピンアウトし、Discoveryと統合。新会社の株式の71%をAT&Tが保有する予定です。
これによりAT&Tは430億ドルを手にし、通信事業に集中できるようになるとのことです。この430億ドルの用途は明言されていないものの、1,600億ドルをこえる負債に充当するのではないかとも言われています。
余談で、このニュースと並行して、アマゾンがMGMを90億ドルで買収交渉という話も出ているのも興味深いです。
株価はどうなったか?
記者会見は米国東部時間の5月17日 午前7:30に実施され、市場が開いてから一週間の株価を見ると、Discoveryは一瞬株価がスパイクのように上がったものの、以降は下落し続け、5月21日の終値は31.47ドル。
AT&Tも瞬間風速の強さはDiscoveryほどではないものの、一瞬上昇した株価は下落し、5月21日終値は30.01ドルでした。
AT&T減配予測による影響
AT&Tが足枷となる事業を手放すことで、市場は好意的に見ているのかと思ったのですが、実はそうでもありません。
株価が上がらない理由を探ると、5月18日以降に出ている様々な記事で触れられている減配の模様です。冒頭で触れたBarron’sの記事は、減配は避けられないと思わざるを得ません。
ワーナーメディアはAT&Tのお荷物と言われていても、2020年度の売上は300億ドルとAT&T全体の17%を占めています。利益も出しており、それも全体の15%の寄与となります。
HBO Maxも開始し収入を得ている、しかし同時に負担にもなっている事業を手放すというのは、かなり難しい経営判断だったのではないかと思います。
そして、これに伴って配当金額も減少する恐れがある。
様々な思惑が巡る中、現状の投資家の判断はAT&Tを手放す。という流れになっているのではないでしょうか。
AT&T株の保有をどうするか
私の場合、配当株はETFの割合が多く、AT&T株はそれほど保有数が多くないため、このまま持っていても良いと考えています。
もしかすると、通信事業で大化けする可能性もあるかもしれません。
それにしても、超安定な配当株と思っていたのですが、こういうことがあるとは「絶対」は無いという事を痛感しています。