2021年4月21日より楽天証券のiSPEEDアプリで米国株取引の逆指値注文をすることが可能となりました。
これまで逆指値とは無縁で全く何のことか分からなかったのですが、今回の機能実装に際して逆指値注文がどのようなものか理解に努め、前回記事にまとめています。
さて、逆指値注文とは、
- 株価が指定の市場価格になったら注文が出る
- 買付の場合、指定の市場価格以上の時
- 売付の場合、指定の市場価格以下の時
- 逆指値注文でも、指値、成行を指定可能
といったものです。
利用場面は、売付であれば損切りというのは想像し易いでしょう。
一方で買付での活用場合が良く分かりません。楽天証券のサイトでは「トレンドフォロー」とありますが、カタカナの謎の呪文、何のことなのか。
復習:買付の逆指値注文
買付の逆指値注文を振り返ります。iSPEEDアプリの画面をもう一度見ましょう。
「逆指値」を選択すると、市場価格が「○○ドル」以上なら指値か成行で注文が出されます。
買うのに「市場価格が○○ドル以上」というのが直感的に理解し難いものとなります。
どういうことなのか株価の動きを図表で示すと、株価が上がるのか下がるのか分からない時は静観して、上昇になったら買うというイメージ。
「こんなことはあるのか?」「安い時に買うべきでしょ」という意見が多くを占めるでしょう。
しかし、落ち着いて考えると、落ちてくるナイフを鷲掴みにすることは避けられそうです。
買付の逆指値注文:今回の銘柄選定
FuelCell Energy (FCEL)
今回の例は、FuelCell Energy (FCEL) です。
同社は水素燃料、燃料電池、それら関連事業を行うエネルギー企業です。燃料電池に使う水素は抽出と保管に膨大な電気やエネルギーを使うので地球にやさしいのか、という話はさておき、脱炭素社会を代表する会社です。
FuelCell Energy (FCEL) で含み損
上図のチャートを見ると、2021年1月下旬からきれいに斜面を滑り降りているのですが、下落の大きなきっかけは決算発表でした。内容はあまり褒められたものではありません。
高値だったFuelCell Energy株が下がっている。これはチャンスと、うっかり買ってしまったとします。
平均取得価額の17.3100ドルに対し、2021年4月16日時点は9.86ドル。43%の含み損。
水素燃料業界は悪くはない
FuelCell Energyに加えBloom Energy (BE) や二コラ (NKLA) など、最近では水素燃料関連銘柄が下落しています。
とはいえ、二コラは欧州のパイプラインの会社とパートナーシップを組んだり、FuelCell Energyも欧州のHydrogemFuropeに参加するなどニュースがあります。
現時点では発展途上の技術であるため収益化が困難なため株価が奮わないだけで、長期的に見れば大丈夫なのかもしれません。
個人投資家の最大の強みは時間を味方にできることです。直ぐに現金化する必要が無いのであれば、業界の発展を信じるのも悪くはないでしょう。
落ちてくるナイフを掴まない
いかんせん、将来性を期待できると言っても、先が読みにくい。
FuelCell Energyの株価は、現在10ドルと低い水準にあるものの、まだ下落するかもしれません。ここで株を買い増しして平均取得価額を下げたとしても、さらに下落して「落ちてくるナイフを掴んで血塗れ」になることもあり得ます。
そこで、逆指値注文の登場となります。
買付の逆指値注文:期待する値動き
逆指値注文での買付けで期待することを下記チャートに示します。
株価は下落し続けています。どこまで落ちていくのかは分かりません。
しかし、上昇に転じてその流れが確実になってきた時に注文を出します。ただし、注文を出した時点での市場価格から少しだけ低い価格で拾えると嬉しい、という希望を添えて指値での注文としています。
買付の逆指値注文:iSPEEDアプリで注文
実際にこの期待をiSPEEDアプリで注文してみます。
- 価格で「逆指値」を選択
- 逆指値条件は、
- 市場価格が12ドル以上なら
- 指値の11.90ドルで注文する
- 執行条件は四月末まで
もし、この逆指値注文で買うことが出来れば、平均取得価額も14ドル程度にまで下げることができる上に、上昇の波に乗れる可能性もあります。
頭と尻尾は食えないが、逆指値は便利
株式は安い時に買って、高い時に売ると利益が得られます。
しかし、一番安い時に買って、一番高い時に売るのは至難の業というよりも、不可能と断言します。
上記のFuelCell Energyの逆指値注文例を振り返ると、底をつけて跳ね返った時に買付注文を入れています。
このことからも分かるように、勿体ないけど、はしっこは諦めます。すると手堅い取引を狙うことになり、逆指値注文の威力を発揮します。
また、売付の逆指値注文では、損切に使えると述べましたが、別の場面でも使えます。例えば、ある程度含み益が出ている銘柄が下落基調に陥った時に一旦利益確定売りをしたいとします。その時に、指定の市場価格を下回ったら売付注文を出すようにします。
頭と尻尾は食えませんが、着実に売買益を得ることが出来そうです。
このように逆指値注文が便利な機能であることが理解できました。
最後に、この注文方法は長期投資というよりも、スイングトレードと言って短めの期間で売買を繰り返して利益を稼ぐ時に向いていそうなことを付け加えます。