2020年6月6日に、MAXIS米国株式(S&P500)上場投信とVOOのパフォーマンス比較の記事を書きました。
六月時点では購入時よりも株価が下回っていましたが、三ヶ月経過して九月になった今は上回っているため、改めて試算をしてみようと思います。
2558 vs. VOO 第二ラウンド
MAXIS米国株式(S&P500)上場投信(以下、2558)とVanguard S&P 500 ETF (以下、VOO)の比較第二ラウンドです。
価格推移
まずは、2558とVOOの価格推移を見ます。グラフ作成の前提は以下の通りです。
- 比較期間:2020年1月10日~2020年9月4日
- グラフ表記:2020年1月10日の2558とVOOの終値を「1」として、取引日の終値を指数化して算出
- 注意点:折れ線グラフで途切れている箇所
- 日本と米国での休場日
- 一部データに取得不可の欠損あり
六月の確認時と同様に、折れ線グラフは相似形を描いています。また、VOOはきれいにS&P500と連動してるのに対し、2558はS&P500と乖離が発生しているのも同様です。
試算前提
前回の記事と同様に、2020年1月10日に2558とVOOを購入、9月4日に購入した数量全てを売却した場合の試算をします。試算前提は以下の通りです。
- 日本円で10万円分購入
- 2558:9株
- VOO:3株
- 購入時価格は各市場の前場寄付
- 2558:10,300円
- VOO:300.74ドル
- 売却時価格は各市場の前場寄付
- 2558:10,430円
- VOO:317.71ドル
- VOO取引時の為替レートは、1月10日と9月4日の高値と安値の中間値(実際に適用されるレートは異なります)
- 2020年1月10日:109.56円/ドル
- 2020年9月4日:106.29円/ドル
- 売買手数料・為替手数料は楽天証券で購入したとする
- 米国株は特定のETFの買付手数料無料、売却時は0.495%(税込み)が発生
- 日本株は「いちにち定額コース」を利用と想定し無料
- 日本円とドルの為替手数料が25銭/ドル発生
- 米国株式の譲渡益の税金
- 楽天証券では米国の非居住者申請を包括で行っているため、米国での譲渡益課税は無し(注:配当には10%の税金がかかります)
- 課税対象額算出に際しては、取得価額は米ドル金額に約定日のTTSである110.55円、譲渡価額は米ドル金額に約定日のTTBである105.17円を適用
- 楽天証券が使用しているTTSとTTBを遡れず、代用としてみずほ銀行のレートを使用
- 日本では、20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の申告分離課税
- 信託報酬手数料は基準価格に含まれているため本試算では考慮しない
試算結果
売却益
VOOに関する使用為替レートと税金計算の関係で実際の運用結果と異なることをご了承ください。試算結果は次の通りです。
銘柄 | 購入時支払額(円) | 売却時取得額(円) | 税額(円) | 税引後取得額(円) | 利益(円) |
---|---|---|---|---|---|
2558 | 92,700 | 93,870 | 238 | 93,632 | 932 |
VOO | 99,099 | 100,569 | 102 | 100,467 | 1,368 |
興味深いことに、前提を基に計算するとVOOの方が額面上の利益が、2558よりも大きいにも関わらず、譲渡益に対する課税対象が為替レートに影響されるため、税額が小さくなり、少しだけ利益が大きくなっています。
分配金
2020年9月4日に売却をするとなると、分配金の支払いがあります。各銘柄の分配金支払いは以下の通りでした。
- 2558:2020年7月17日
- VOO:2020年3月13日、7月2日
これら分配金はどのようになっていたでしょうか。VOOの無理矢理な円換算に際しては、支払日のTTBをみずほ銀行のレートで算出しています。(3月13日:104.05円、7月2日:106.48円)
銘柄 | 分配金支払日 | 分配金単価 | 分配金合計 | 分配金(円) | 税額(円) | 税引後分配金(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
2558 | 2020年7月17日 | 27円 | 243円 | — | 24 | 219 |
VOO | 2020年3月13日 | 1.178ドル | 3.534ドル | 368 | 104 | 264 |
VOO | 2020年7月2日 | 1.433ドル | 4.299ドル | 458 | 130 | 328 |
2558は上場して間もないこともあり、VOOよりも分配金の支払い回数が一回少なくなっています。
第二ラウンドもVOOの利益が大きい
今回の試算で売却益は、436円とはいえVOOの方が利益が大きくなりました。
また分配金を考慮すると、VOOの方が373円多く支払われています。上述の通り、支払い回数が異なるため完全比較にはなっておらず、参考としてください。
一回の買付と売却だけの試算なので判断はしにくいですが、どのようなものかは雰囲気がつかめたと思います。
ただ、実際には十万円を一回限り投資するという事は無く、定期的に積み立てて年単位の運用となるのに加え、為替の動きも更に大きくなることで、結果が異なるでしょう。
この結果だけでVOOの方が優秀と判断をするのは早計。どちらに投資をするかは多面的に分析し、ご自身の判断で行ってください。
三年経過後の譲渡益の試算もしてみましたので、ご覧ください。