MarketWatchの2020年8月21日(米国東部時間)の記事でAppleの時価総額が二兆ドル超えたことが触れられています。日本円で200兆円を超えます。
このAppleの時価総額は、時価総額二位であるAmazonのそれを4,540億ドル上回ると書かれているものの、額が大きすぎで想像がつきません。比較として日本の時価総額が最も大きいトヨタを並べると、その額は23兆円なので、Appleはトヨタに対して十倍近い時価総額を有する企業となっています。
Appleが四分割の株式分割を発表してから株価は上がり続け、8月21日の終値は497.48ドルです。
過去には世界で最も売れなかったゲーム機といわれているピピン・アット・マークや、PDAの先駆けでありながら、世に出るのが早すぎたニュートンなど、Apple製品には影の歴史もありますが、そのような成功とは程遠い経験があるからこそ、今の姿があるのだと思います。
未来のAppleのような成長企業を見つけられれば、資産も成長してくれるのでしょう。ただ、そのような会社を見つけだすのは、なかなか難しいです。それでも、少しもがいて、挑戦できないかを考えます。
成長しそうな企業は米国株で探してみる
独断と偏見ですが、日本株で成長株を見つけるのは困難だと思っています。それでも、エムスリー (2413)のように四ヶ月で3,000円から6,400円まで一直線に上昇している銘柄は存在します。
ただ、社会変化に対応した新商品やサービスを作り出して、それを普及させていく力のある会社は米国株を物色するほうが見つけやすいと考えており、気になった銘柄を備忘録として並べています(楽天証券での取り扱いがあるもののみ)。
【注意】以下記載の銘柄は上昇が約束されている事はなく、推奨されるものではありません。企業の財務状況やビジネス内容を確認した上で、ご自身の責任で投資判断を下してください。
気になる銘柄とりあえず三選
では、現在気になる銘柄を三つ挙げていきます。
業種は金融、IT、メーカーと偏らないようにしています。
Block(SQ)
BlockはTwitterの共同創業者ジャック・ドーシーがCEOを務めており、将来決済ビジネスの中で、エコシステムを構築するのではないかと言われています。以前の社名はSquareと言っていましたが、現在はBlockと改めています。
日本語の企業サイトもありますが、現在日本では店舗向けの決済サービスとなっています。
本国米国では店舗向けの決済サービスのみならず、Cash Appというアプリを提供して、個人間での送金、デビットカードに加え、ローン、株式投資やビットコインといったサービスで個人ユーザーも取り込んでいます。
株価
同社のサービスは旧来の銀行ビジネスの仕組みを変える可能性があるプラットフォーマーと期待されていて、2020年8月21日時点の株価は155.10ドルであり、過去一年で151.1%上昇しています。
決算
2020年第2四半期の決算発表では、売上が19億ドル、売上総利益が6億ドルで当期純損益1,100万ドルでした。特に個人向けサービスでの費用が大きくなっていますが、Cash Appユーザーが大幅に増加している中、成長段階での投資として考えれば妥当ではないかと思っています。
Okta(OKTA)
OktaはITセキュリティサービスを提供しています。当社も日本語のサイトはあるものの、詳細の説明は英語サイトにリダイレクトされます。
セキュリティの中でも、アイデンティティセキュリティに特化しているクラウドID管理会社です。と言っても何のことだか分かりにくいと思います。
ざっくりというと、企業では複数のシステムが動いています。そこでいくつものIDやパスワードを従業員がいちいち覚えて、ログインすると面倒、業務効率の低下などに加えセキュリティの問題もあります。そこでシングルサインオンを安全行うための仕組みを提供しています。
他にもPCに限らずスマートフォンやタブレットなど複数の端末を有するユーザー向けのサインオン管理といったサービスもあります。これらに加えて多様なサービスがありますが、詳しくは企業サイトをご覧ください。
株価
新型コロナウイルスの影響で事務所外から会社システムにアクセスすることが増え、セキュリティ確保という面で当社のサービスに対する需要は増えています。
2020年8月21日時点の株価は208.39ドルで、過去一年で57.3%上昇しています。
決算
Oktaの2020年第2四半期決算は8月27日です。そこで第1四半期を見てみると、売上は1億8,290万ドルに対して当期純損益が5,800万ドルでした。
第2四半期の売上予測も1億6,000万ドルと言われ、当社は今後三年くらいは利益を出せないのではないかと予測されています。
当社は現在8,400社まで顧客企業を増やしている一方で、法人相手のビジネスであるため、契約まで時間がかかること、販促費や関連費用がかさんでいる状況を懸念し、手を打とうとしています。
五月~七月の第2四半期決算を見た上で投資判断するのでも遅くはありません。
Workhorse(WKHS)
現在米国では、EVやゼロエミッションの自動車が注目されています。
テスラ(TSLA)の株価が2,049.98ドルと2,000ドルを超え、過去一年で869.7%の増加という状況に引っ張られてか、二コラ(NKLA)やNIO(NIO)などの競合(?)メーカーも良くない話も含め注目されています。
そんなEVメーカー達の中で、米国郵政公社(USPS)の次世代配達トラック入札を巡って話題になっているのが、ラストワンマイル配達用のEVトラックを製造しているWorkhorse(WKHS)です。
USPSの契約を一社で獲得すれば、18万台、60億ドルの契約になります。しかし、一社独占は考えにくく、複数社で契約は分け合うと言われており、そのうちの一社として当社の落札が期待されています。
最終決定は2020年中と言われていますが、郵政公社の会計年度の関係および過去の経緯を踏まえると九月に何か動きがあるという声が大きくなってきています。また、今後の大統領選の結果によりどう転ぶかはわからないものの、USPSが現在使用している配達トラックは非常に古いため、置き換えが必要であることには変わりありません。
株価
先の二社と比較すると一株当たりの株価は16ドル前後と絶対価格は低いです。しかし過去一年で291.0%の上昇をしています。
決算
2020年第2四半期決算では、売上が92,000ドルで当期純損失は1億3,100万ドルでした。売上は前年同期は5,500ドルでしたので、一応増えています。
会社は2007年に設立されたスタートアップで、2016年からUPSから受注し始め、第二世代のトラックも1,000台受注しているものの、苦戦を続けています。
一方で、Workhorseの元CEOであるスティーブ・バーンズがLordstown MotorsというEVピックアップトラック会社を設立。旧GMの工場を買収したり。特別目的会社の買収により上場を目指したりしています。
なぜLordstownという会社が関係あるかというと、Workhorseは同社が有するEVピックアップトラックの知的財産に関して三年間の独占的ライセンスをLordstown株式の10%と引き換えに付与します。
これでWorkhorseは自社でピックアップトラック生産と販売を止めますが、Lordstownが販売したトラックの総販売価格の1%に相当するライセンス料を今後二年間、200,000台分まで受け取ることができるようになります。
会社が創設されて13年経過し、風向きが変わってきた会社です。
株価は高い、利益はまだない、さてどうする?
これら三社の株価は、気づいた時点ではかなり値が上がっていて、もっと早く見つけていればよかったと思っているものばかりです。
しかし、日本株と異なり米国株は長期保有前提であれば、逆張りを大きく意識する必要はなく、自分が妥当と感じる株価になったら注文を入れればよいでしょう。
長期保有で気にする点は、その会社のビジネスが将来的に拡大が見込まれるものなのか、現状の金銭的な状況はどのようになっていて、懸念は解消されるのか、などなどです。
現在1.6兆ドルの時価総額となっているAmazonも、2000年前後は「闇雲に取扱商品を拡大している」「赤字から脱却できないのでは」と言われており、誰も現在の姿を想像できなかったと思います。
一攫千金とまで言わなくても、ETFやインデックス投資を退屈に感じて少し冒険してみたいと思うことがあれば、気になる企業を見つけて企業研究してみてはいかがでしょうか。米国株の中でも特にスタートアップ企業を物色していると、日本企業・社会との差にも気づかされます。