2023年前半、日本ではChatGPTは異常な加熱具合で、ごり押しと感じるくらいにもてはやされていました。
米国のニュースでも、「生成AI」という単語を見ない時はなく、2023年5月はAI狂想曲が流れ、NVIDIA (NVDA) の株価は決算発表の前後から上がり始め、同社の決算発表の5月24日以降は、テクノロジー関連株が上昇し、NASDAQ総合指数も急激に上昇していきました。
AIは一過性のブームなのかとも思ったものの、一年を経過した2024年の半ばは、NVIDIA株は130ドル近い水準。「130ドルって高くないのでは?」と思うかもしれませんが、株式分割によるもので、2021年に四分割、2024年に十分割が実施されています。
過去に同社株を保有していたことがありました。配当株ではなかったため、月次の報告の対象外としています。
配当金の代わりに値上がり益を狙えるかもしれないという思惑でしたが、短期間で手放してしまったため、大きな利益を得ることはありませんでした。
持ち続けていれば・・・と後悔があるものの、未来は予言出来ないので、その時点の判断は最適であったと思うしかありません。これこそ「投資は自己判断」と言わざるを得ないもので、同社株を買ってから売却するまでの経緯を振り返ります。
【注意】本銘柄は個人の意見として記載しているのみで、推奨されるものではありません。企業の財務状況やビジネス内容を確認した上で、ご自身の責任で投資判断を下してください。
NVDA購入
NVIDIA株を購入した当時は株価が500ドル前後ということもあり、2020年の夏から2021年の春までの間、複数回に渡り購入。平均取得単価は502.24ドルでした。
NVDA売却
購入していた期間は下記チャート緑の網掛。株価はボックス圏内の動きで平均取得単価を下げる訳でもなく、我慢をすることも出来ずに痺れを切らしてしまったのが、2021年4月のこと。ここで574.55ドルの指値で売却です。
売却後は株価が下落していたので「うまく売り抜けた」とほっとしたのもつかの間、株式分割のニュースが流れて同社の株価は上昇していきます。
今から振り返ると、分割後の八月に売却すれば、倍近くの価格で譲渡益が得られたのに、と後悔してしまいます。

株価推移
NVIDIA株は過去五年で3100%を超える上昇をしています。
「五年前に買って放置していれば三十倍になっていたはず」と「なぜ、買わなかったのか?」とのダブルの後悔。しかし、2019年のNVIDIAから、誰が現在の姿を想像したでしょうか。
2023年前半のAIブームで関連銘柄が一気に上昇した時にNVIDIAも、冒頭に記載した通り2023年5月下旬に300ドルから400ドル近くとなった事が弾みとなり、上がり続けます。
上昇は長期間に及び、株価は上がっていきますが、2024年6月の株式の十分割が更なる上げを招いているかというと、どうでしょうか。
AIバブルは、勢いは落ち着いてきているものの、収まる様子はありません。気が付けば、NVIDIAの決算発表はAI市場の動向を探る材料にもなっています。
2025年2月26日の決算発表では、2025年度の売上は 1,305億ドル(対前年比114%増)、純利益は 729億ドル(対前年比145%増)でした。
2025年第4四半期でも393億ドルの売り上げを叩き出し、純利益も220億ドルです。また調整後1株当たり利益(EPS)は0.89ドルと、アナリスト予想の0.84~0.85ドルを上回っています。
2026年第1四半期の売上高見通しは430億ドルで、市場予想の417.8~421億ドルを上回る予測は強気です。
ただ、この発表を受けて、株価は上下しています。
売却のタイミングも自己判断
2020~2021年に購入していた株をそのまま放置し、現在も保有していれば、評価額で約九倍の含み益になっていたことでしょう。
しかしながら、配当金も殆ど出ず、暗号通貨のブームも下火になったと判断した時点で、ボックス圏内で値が動くNVIDIA株を保有しておく理由は当時の自分にはありませんでした。それよりも、損が出ない程度の値に戻ったら現金化して、別の銘柄を購入する方が賢明ではないかという判断をしました。
株式分割、AIバブル・ブーム。これらは予見できません。
2025年1月下旬には中国のDeepSeekが、DeepSeek-R1をリリース。低廉なチップの使用、利用が無料といった事が、米国のテクノロジー企業の脅威になるかもしれない。一気にNVIDIAの株価は下落し、5,900億ドル、日本円では88兆円近くの時価総額を失ったと言われています。
一方で、DeepSeekについても、廉価版チップの使用や、知的財産の侵害といった疑念や憶測に加え、米国にとっては地政学的なリスクの評価も行おうとしています。
これら状況の変化により、テクノロジー企業の株がどのように推移していくのかは分かりません。
最適な株式投資は「購入後、放置」とも言います。
ただし、米国株の場合、銘柄によっては放置した結果、紙くず同然になってしまう恐れもあります。なので、完全放置をすることも憚られます。
放置か売買か。
ここで自己判断が必要となります。購入する銘柄、購入タイミング、売却判断、売却タイミングなど、複数の場面で判断をしていきます。判断を下して、どのような結果を招いたとしても、自分で行った判断であれば時間を要したとしても「その時には最適だと思った」と消化することが出来るはずです。
これが他人の声に従った結果だとすると、後悔は長期間に渡るかもしれないし、「あの時に、あの人が、あんな事を言ったから」と他責が極まって逆恨みに転じる恐れもあります。
ここで立ち戻る必要があるのは、最終的に行動を起こしたのは自分だということ。
今回、ちょっとした含み益で売却を決め、未来にやってくる含み益を逃してしまいました。しかし、当時は最適の判断だったと消化するしかありません。これが、投資は自己判断、ひいては自己責任と言われる所以です。