AquaBounty Technologies (AQB) という遺伝子組換サーモンを内陸部で養殖する会社の株式を購入を2020年12月にしました。買い増しを行っていたこともありますが、穴の開いたバケツに水を注ぐことにもなっていません。
同社の株価は2020年後半から2021年前半に上昇したこともありましたが、株価は低迷し続けています。株価が下がり過ぎたために、上場基準を満たせなくなることを避けるため、2023年10月には1:20の株式併合も行ったものの、低迷した株価は、Penny Stockと呼ぶのにふさわしい株価となっています。
なお、平均取得価額は114.7528ドルです。かつては、6ドル弱だったのですが、これも株式併合により変わっています。
決算
2020年第4四半期決算振り返り
決算内容の詳細は同社のプレスリリースで発表されており、主要数値は以下の通りです。
- 売上:50,197ドル(前年同期46,367ドル)
- 営業費用:610万ドル(前年同期350万ドル)
- 純損失:610万ドル(前年同期340万ドル)
新型コロナウイルスによりレストランなど外食産業への販売に影響がありました。第3四半期の売上でる68,000ドルから見ると減少しているものの、売上は維持できています。
費用の増加はサーモンのバイオマスが増えたことと、その増えたバイオマス対応のために、サーモンの寄付を行ったことによります。遺伝子組換で成長が早いことが未曽有の事態で仇となり、バイオマスの急激な増加への対応が必要になりました。
2022年第4四半期決算振り返り
直近の第4四半期決算もプレスリリースから主要数値を拾います。
- 売上:45.1万ドル(前年同期41.8万ドル)
- 純損失:607万ドル(前年同期607万ドル)
今回はオハイオ州の養殖場建設に関する言及がメインでした。
通年決算推移
通年決算は2018年から比較可能なので、売上と純損益を経年比較します。
売上と損益を同じ尺度でチャートに表示すると、売上のグラフ棒が殆ど見えなくなっていましたが、2021年から100万ドルを超える売上となり、成長が見られるようになりました。
ところが、2022年をピークに売上が頭打ちとなり、2023年の純損失は27億ドルを超えています。
見通し
2022年第4四半期の決算では、2022年度通期の振り返りをしていて、オハイオ州の養殖場建設について触れ、物価高に伴い工事や設計の見直しを行っている事、2025年前期でフェーズ1、2を完了させる予定であると結んでいましたが、2023年6月2日に工費の高騰により、一旦工事を休止することをアナウンスしています。
加えて、2023年第1四半期決算のリリースでは、遺伝子組換サーモンに限定せず、遺伝子組換ではないサーモンにもビジネスを拡張、例えば米国外におけるイクラ生産など、会社を成長できるようにすることを言及しています。
その後も立て直しのための施策検討をしていた模様ですが、2024年12月11日のプレスリリースでは、カナダのBay Fortuneにある孵化場を終了させ、従業員削減や経営陣の退任もアナウンスしています。また、CEOもDave Melbourne氏が自己都合による退任。David Frank氏が暫定的にCEOの役を担います。
加えて、数か月で、工事を止めているオハイオ州の養殖場の検討や、売却可能な資産の検討も行う予定とのことです。
貸借対照表からは、自己資本比率が高そうに一見読み取れるのですが、殆どが有形固定資産。上に書いたように、売却可能な資産を検討していることから、直ぐに現金化できるものはなさそうです。
加えて、キャッシュフロー計算書も、営業活動キャッシュフロー、投資活動キャッシュフロー、財務活動キャッシュフローのすべてがマイナスで、事業縮小真っ只中の下手すると危ない会社かも、と見えてきます。
株の含み損が大きく、手放そうかどうか迷っているうちに、このような状況になっています。ここで一発逆転は望みにくいのですが、漁獲資源が危ないと言われる昨今、どこかの会社が買い取るというニュースに一縷の望みを託します。